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レイスは息を荒げながら、暗闇の中で目を見開いた。
「また……か……」
額には汗が滲み、心臓が不規則に脈打っている。
何度目になるのか──この悪夢に苛まれるのは。
過去の戦場。
死にゆく仲間たちの叫び。崩れゆく瓦礫の下で、助けを求める人々。
そして、あの日──
「お前のせいで、死ぬんだ、レイス!!」
「裏切ったな……!貴様だけは信じていたのに!!」
「違う……俺は……!」
レイスは必死に叫ぶが、亡霊たちは彼を責め続ける。
まるで奈落へ引きずり込むように──。
「やめろ……やめてくれ……」
夢の中の彼は膝をつき、顔を覆った。だが、背後から聞こえた声に、血の気が引く。
「……まだ終わっていないぞ、レイス。」
その声は、かつての師であり、王国を守ろうとした英雄のものだった。
ゆっくりと顔を上げると、そこには血まみれの王の姿があった。
虚ろな目で彼を見つめながら、冷たく告げる。
「お前があの日、もっと強ければ……」
「違う、俺は……!」
「お前が選んだ道が、すべてを滅ぼしたのだ。」
レイスの心臓が締めつけられる。
「俺は……俺は、あの日、最善を尽くした……!」
「本当にそうか?」
血に塗れた仲間たちが次々と現れる。
恨めしそうに彼を見つめながら、同じ言葉を繰り返す。
「お前のせいだ、レイス。」
「やめろ……やめてくれ……!!」
レイスは頭を抱え、絶叫した。
──そして、目を覚ました。
バッ!!
荒い息遣い。汗で濡れたシーツ。
薄暗い部屋の天井を見上げながら、レイスは震える手で顔を覆った。
「また……あの夢か……」
夜はまだ深く、窓の外では静かに風が吹いていた。
レイスはベッドから身を起こし、深く息を吐いた。
「……終わっていない。」
悪夢が消えないのは、過去がまだ終わっていないからだ。
「アレクシス……貴様がすべての元凶なのか……?」
彼の瞳に、かつてないほどの決意が宿る。
レイスは剣を手に取り、静かに呟いた。
「なら……今度こそ終わらせる。」
夜明け前の闇の中で、彼の影は静かに動き出した。