さ…
…さ…しば…
猿芝_
その声で目を覚ました。
隣には、ベージュ色の髪が太陽の光に照らされ、その白眼でおれを見つめているいつもの重森|がいた。
重森: 猿芝〜♡やっと起きましたか?おはようのキスでも_
重森が言葉を言い終える前に、おれはすぐにコイツの頬に1発ビンタした。
猿芝: 朝からうるさい。静かにしろ。
そうおれが言うと、コイツはビンタされた頬を押さえて一瞬目を閉じたあと、すぐに赤く頬を染め、大きな目を細め、恐ろしい程口角を上げてニッコニコの笑顔でおれの 手を自分の頬に当てておれの言葉に答えた。
重森: …はは…、♡朝から猿芝は積極的ですねぇ?とても愛らしい…
相変わらずその白眼には太陽の微笑みでもなく、鳥の合奏でもなく、おれだけが映っていた。
このままでは埒が明かないので無言で起き上がって台所に向かい、朝ごはんを作る。
コイツはというと、相変わらずその長身でおれを背後から抱きしめ、おれがただ朝ごはんを作る様子を酷く愛おしそうに
見つめている。
_朝ごはんを作り終えた、メニューは白米と鮭の塩焼き、味噌汁という定番メニューだ。最近は味噌汁に芋や玉ねぎなど、豆腐等とは違って少しマイナーな物を入れてみたりするのが朝の楽しみだ。
そう考えながら朝ごはんを机に置くと、さっきまでおれに抱きついていたコイツが一瞬消え、気づけば机に頬杖したままおれに言う。
重森: おや、美味しそうな朝食ですね?あーんしてあげましょうか?
相変わらず胡散臭いまであるニッコニコの笑顔でこちらを見つめながら箸を持ち上げる。
おれはその姿に少しイラッとして、無言で自分の箸を持って白米を1口掬って食べる。
そんなおれを見たコイツは、微かに頬を赤く染め、口角を上げて朝食を食べるおれを見つめる。
猿芝: …なに、おまえもこれ食べたいの?
おれはコイツにじーっと見つめられることに居心地の悪さを少し感じながらも、少し躊躇してからそう話しかける。
コイツは少し間を空けたあと、恍惚とした表情で頬杖を解き、おれの頬をすっと撫でてから言う
重森: …美味しそう…いえ、とても可愛らしく食事をするんですね。
コイツが言いかけた言葉が気になるが、なんと言ったのかはあまり聞こえなかった。…美味しそう?いや、そんなわけないか。
おれはそんな考えを放棄し、コイツが言った言葉に答えた。
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