コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「アイツ…何処だ…」
尋問終了後、用があるというのに中々見つからない彼に嫌気がさしつつ
此処になら居るんじゃないか、と期待を込め向かった先は喫煙室。
趣向品を咎めるつもりは無いが、最近多いし、消費しているのではないか
と思い、向かえばそこに目当ての彼は居て
「おいカズイ…」
そう声を掛けても、彼は呼び声に応じない。
なんなんだ…と、少しイラつきながらも、用があるので喫煙室の中まで入り、
肩を叩く
「おい、カズ…イ、?」
顔を覗き込みそう言えば、カズイの瞳は揺れて、哀しさを帯びていて。
まるで、何かに怯えるように、握られた煙草は既にぐしゃぐしゃになっている
「どう…したんだ、?」
この状況下なら、この精神でも何もおかしくは無いのだが
何せ、いつもヘラヘラしてたカズイが…だ、そうなれば、少し訳が違う
…一人だから、といえばそうなのだが
此処は喫煙室で、誰かが来る可能性だってある
「…看守、くん。」
か細く、そう発せられた声は、震えていて
「どうした」
「…あ…いや…えぇ、と…」
無意識下で、呼んだのだろうか、僕が返事をしてやれば
正気に戻ったかのように焦りだし、いつものヘラヘラとした雰囲気に戻り
「どうしたんだい?喫煙室に来るなんて珍しいじゃない」
と、話を逸らそうとする。
「…僕は、どうした、と聞いている。」
そう言い、カズイの目を見据えれば、バツの悪そうな顔をし、目を逸らし
「…さっき、おじさんの情緒不安定は聞き飽きただろう?」
と笑う
「お前が言ったんだろ、嘘を暴いてって…隠さない方がいいんじゃないか」
そう言うと、カズイは観念したように認める。
「…そうだね、にしても…まるで子供をあやすみたいに言うじゃない、珍しい」
「うるさい、お前が子供だからだろう」
「いや、もう40手前なんだけど…?!」
はぁ…と溜息をつきながら
「…嘘を、つかない…様にしようと思ったんだけどね…その…」
と、口篭りながらも、ポツポツと話し出し
「あー…皆に、会うと、やっぱり…難しいものだよね…はは」
自嘲するように笑う。
「はぁ…最初から、成功する訳無いだろう」
苦笑してるカズイに呆れながらそう言ってやれば、はは、と声を漏らし
「…ほんと、敵わないなぁ…君には…そう…だね…エス、暴いてくれ。ちゃんと」
それじゃ、おじさんはお暇するとしようかな、ありがとね、と付け足し、
カズイは喫煙室から出て行く。
「…え、いや…用があったんだが…」
と言うも、既にカズイの姿は消えていて。
はぁ…と溜息をつきながらも、まぁ明日でいいか…と、思ったのだった