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「報告します──まどかの討伐、完了しました。」
静寂が支配する《黒影》の作戦司令室。闇に溶けるような装束をまとった一人の男が、アレクシス・ヴァンガードの前に跪いた。
アレクシスは、僅かに目を細める。
「……そうか。報告の詳細を。」
跪いた男──グレイヴは、感情を表に出さず、淡々と口を開いた。
「10月16日、王都南部にてまどかを発見。彼女はすでにサブ、みりん、萌香とは別行動を取っており、単独で動いていました。奴は我々の接近を察知し、即座に抵抗を試みましたが──」
グレイヴはわずかに口元を歪める。
「我々《黒影》の暗殺部隊の前では無力でした。」
アレクシスは静かに頷く。
「遺体は?」
「確認済み。魔術による蘇生の可能性を排除するため、徹底的に処理しました。」
アレクシスはしばらく沈黙したあと、ゆっくりと口を開いた。
「よろしい。次の標的は?」
グレイヴがすぐに答える。
「サブ、みりん、萌香──この三名です。」
アレクシスは無表情のまま、短く命じた。
「始末しろ。」
グレイヴが深く頭を下げ、静かに部屋を去っていく。
王国を覆う闇は、ますます深くなっていた。