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・こちらはsxxn様の二次創作です。ご本人様には一切関係ございません。
・キャラ崩壊注意です。
・六人交際、六人同棲設定です。今回は主に🩷様視点、合間に🩵様視点でお送りします。
・この連載の第一話「きっと、特別な。」の続きものですが、単独でも読めるは読めると思います。
・ホワイトデーから一日遅れですが気にしないでください。
・本当にいつの間にか終わってた、と書き手が自負するくらいには突然終わります。
・コメントしてくださる場合、検索避けを徹底してくださるようお願い致します。
以上が大丈夫な方は、どうぞご覧ください。
今日はホワイトデー。バレンタインのお返しをするために生まれた、日本独自の文化である。
バレンタインはチョコのイメージがとても強烈にある「一強」タイプだが、ホワイトデーはこれといってイメージがない「分散」タイプ。つまり、ホワイトデーはバレンタインより圧倒的に、プレゼントする者のセンスが問われるのだ。
「行ってらっしゃい、気を付けてね」
「新作忘れんでな〜!!」
ということは、彼らの趣味嗜好を熟知している俺たちであっても、お返しの難易度がMAXなのである。
「よし、みこちに頼まれた新作は最後に寄るか。で、お前らどこ行きたいー?」
ここは、近くの駅前のショッピングモール。1ヶ月前のバレンタインにすちとみことにチョコレートや手作りスイーツをもらった俺たちは、そのお返しを見つけるべくここに来ていた。
「こさめゲーセン行きたい!」
「それはただのこさめの願望、却下」
「俺本屋!!」
「お前はすぐエロ本手に取るからダメ、却下」
「無難にアクセサリーショップ行かね?」
「そうだな、そこ行くか」
真面目にお返しをする気があるのか怪しいクソガキッズは置いといて、俺といるまで彼の提案したアクセサリーショップに向かう。後ろから「こさめー、マジでらん酷いよなー」「ほんまに、らんくんのひとでなしー」という声が聞こえるも、俺は聞く耳を持たないまま歩みを進め続けた。変な意見を言ったのはアイツらだかんな。
「ほら、あそこ。新しくオープンしたんだよ。前から気になってたんだよなー」
「へー、あそこ元々雑貨屋だったよなぁ。あそこ俺好きだったのに…うさちゃんとか色々いて…」
「てか、とりあえず来たけどどうするよ。あいつらピアス穴開けてるし、ピアスでも見る?」
「無視すんなよ!!まぁそうだな、ピアス見るか…」
いるまが指を指した先にあるアクセサリーショップはなんだかすっごくオシャレで、いかにも入りにくい雰囲気を醸し出している。元々俺が好きだった、うさちゃんのグッズなどがあった雑貨屋とは似ても似つかない。
いるまの背後に隠れるようにして、なんとか俺はアクセサリーショップに入る。店内の至る所にある、照明を反射して輝くアクセサリーに夢中になっていたら、いつの間にピアスコーナーに着いていたようだ。
「ぉわ〜…すっげぇオシャレ」
「んー、アイツらだったらスタッドピアスだよな…あ、イヤーカフプレゼントするのもありか…」
「いるまが訳分からん名詞を呟いている…」
いるまの呟く内容に疑問符を浮かべながらも、この店の雰囲気に慣れてきた俺は、いるまの元を離れてコーナー内を探索することにした。
シルバーのやつだったり、ゴールドのやつだったり、宝石が埋め込まれていたり。はたまたチェーンが付いていたり、リングの形だったり。コーナーをちょっと見て回っただけでも色んな種類があって、頭がこんがらがってくる。あいつらがしてるのは、なんかこういう突き刺しタイプかな。少なくとも、チェーンとかリング状のものではなさそうだ。
「…お、なんかいい感じのはっけ〜ん!」
色々なピアスにくまなく目を通しながら歩いていると、見慣れた形の、下の方が赤に輝くピアスを発見した。横を見ると、他にも宝石違いの亜種がずらりと並んでいる。これは俺たちの理想に限りなく近いと直感した俺は、少し離れた所でまだブツブツ呟いているいるまを呼びに戻った。
「いるまいるま、ちょっとこっち来てよ!いい感じのやつあったんだけど!」
「え、お前のセンス信用できねぇんだけど…」
「ちょ、安定で酷いよなお前…店内だから感情任せに怒ることもできねぇんだけど?」
「まぁいいわ、見る価値はあるだろうし。どんなの?」
「えーとねー、こっち」
別に彼が酷いのはいつもの事なので、過剰に反応せずに彼をさっき見つけたピアスの元に案内する。そのピアスを目の前にした彼の瞳は見開かれ、少年のような輝きを取り戻していた。その様子は、まるでエロ本を目の前にしたなつのようだ。…例えが下品だな。
「な、これいいだろ?」
「お前にしては中々いいセンスだわ…お、エメラルドにシトリンもある」
俺が見つけたピアスというのは、シルバーで出来たト音記号の形をしたものに、ト音記号の下の方にある丸みたいなところに宝石が当てはめてあるピアス。人気なのかカラーバリエーションも豊富で、しかも宝石の種類も色々ある。
「どうせならメンバー全員のカラー揃えたいけど…やっぱ高ぇしなぁ」
「お前と俺で協力してちょい痛い…くらいか」
「ん〜、いやまぁけど…予算こんくらいだよな?」
「最大限出せるようにしたら、まぁ」
「せっかくだし買おうぜ」
「…ん、だな」
値段は、片耳のもので4000円ほど。多分ピアスの相場はこのくらいなのだろうけど、普段アクセサリーをあまり買わない俺にとってはちょっと痛い出費だ。
まぁだけど、せっかく見つけたなら買うのがリーダーというもの。3つ買って12000円だ、大したことじゃない…はず。2人には6つを仲良く使ってもらおう。
「じゃあ俺、アクアマリンとアメジストとエメラルド買うね〜」
「じゃ、俺はルビーとピンクトパーズとシトリンか。…普通関西と関東とかで分けん?」
「え、だってそれぞれ寒色と暖色似合いそうじゃん。髪色黄色と緑なんだし」
「まぁたしかに…なんか?」
なんだか納得いってなさそうないるまを置いてレジに行きたいところだけど、店内の雰囲気に慣れたと言ってもレジは普通に怖いので、いるまを無理やり引っ張って一緒にレジへと向かった。
無事に買い物を終えると、俺の手には店のサービスでやってもらったオシャレなラッピングに包まれた、身の丈に合わないピアス。冷静に「俺すごい買い物したな…」と思いにふけていると、俺は今更ながらある事実に気がついた。
「なぁ、なつとこさめは?」
「………あ」
「なんからんくんたちいないんですけどー!?」
「お前が急にトイレ行きたいとかいうから…」
「む、なつくんも行ってたクセに?」
「俺はお前につられただけ」
こちらはこさめ。トイレになつくんと2人で行っていたら、連れ2人に置いていかれました。
いや冷静に考えてスマホで電話すればいいんだけど、なんだかそれは気に食わない。だから、なつくんと2人で行動しようと思います。
「はぁ…ちょっと待ってろ、今いるまに電話すっから」
「いや、待ってよなつくん」
「え、なに?」
「今はらんくんもいるまくんも、俺らを止める奴はいないんだぞ!?このチャンスを逃してどうするんだよ!」
「…確かに!!じゃあこさめ、ゲーセン行こうぜ!!」
「っしゃキタぁ!!」
軽く早歩きをしだしたなつくんの横に並んで、こさめたちはすぐ近くにあるゲームセンターに入り込んだ。
中を軽く回ってみると、某女児向けアニメや某小さくて可愛いやつのぬいぐるみ、なつくんやいるまくんが好きそうなフィギュアとか、お菓子がたくさん積み上げてある系のものなど、夢の塊がたくさん設置されている。やっぱいつ来てもテンション上がるよなぁ。
「…おっ!こさめ、ちょっとこっち」
「ん、どしたなつくん?」
「ほら見て、ア〇ャモ!!」
「おーっ!!」
なつくんにちょいちょいされた先に向かうと、そこにはすちくんが万バズしていた、某ポッケに入るモンスターのキャラクターのぬいぐるみが置いてあった。ちょっと雑に置かれてて、うつ伏せになっているのがまた愛くるしい。どうやら等身大のぬいぐるみらしく、ちょっと大きめだ。
「取っちゃう?取っちゃう??」
「俺両替してくるから!!こさめ守っといて!」
「あいよっ!」
両替に行ったなつくんを見送って、こさめはその場に立ち尽くしながら辺りを見回す。そしたら、ちょっと遠くの方にあるものを発見した。
「こさめあんがと!アチ〇モ待ってろよ、今捕獲してやるからな…」
「あ、なつくん!こさめちょっとあっち行ってくるから頑張ってて!」
「え、何か見つけたん?」
「ちょっとね〜、ではご武運を!」
きょとんとするなつくんから離れて、こさめはあるところへと向かった。
こさめの向かった先にあるのは、みこちゃんが好きな某ポムポムしているゴールデンレトリバーの男の子のぬいぐるみ。普通に50cmくらいありそうな、抱きしめられるくらいでっかいやつだ。
「よっしゃ、絶対取ったる…!!」
覚悟を決めてから、こさめは両替するために「キープ」ボタンなるものを押してから両替機に向かった。今どきのクレーンゲームって凄いんやな。
片手いっぱいに100円を握りしめて、いざポムポム〇リンに立ち向かう。なんでこういうでっかいやつは1回プレイするのに200円もいるのだろうか。詐欺だろ詐欺。
「…っし、いけいけ…あー、いやまぁ結構動いたぞ?」
「おっけおっけ…いや最近のアーム弱いよな〜」
「くぅ〜あともうちょい…!!」
さて、余裕で1000円溶かしてしまった。今日はどうやら調子が悪いらしい。ちょっとシュンとしながらキープボタンを押して、また両替に向かった。
小銭のジャラジャラ感というのはいつになってもワクワクするけど、2回目以降は結構虚しい。それが自分の金なら余計に。
「ポムくん…こさめ的には君を早めに捕獲したいのだよ…」
「おっおっおっ…いいのでは!?これいけちゃうのでは…っし、ポムくんセンキュー!!」
いや、どうやらまぁまぁ調子は良かったらしい。合計金額1400円にして、こさめは巨大なポムポ○プリンをゲットした。抱きしめてみても大きさと肌触りが心地よくて、達成感と幸福感でいっぱいになる。
そこら辺にあった無料の大きい袋をもらって、その中に捕獲したポムくんを入れてから、なつくんの所へと向かう。そしたらなつくんも取ったぬいぐるみを袋に入れているところで、お互い「ナイスー!」と言ってハイタッチを交わした。
「アチャ○取れたんやなー!さすがなつくん!」
「今回は結構調子良かったわ。てかお前何とったん?」
「こさめー?こさめはね、ポムポ○プリン!」
「お、いいじゃないっすか〜」
目的を果たしたこさめたちは一旦ゲーセンから出て、なつくんがいるまくんに電話をかけてくれることになった。そしたら相手の方もちょうど買い物が終わったところらしく、フードコートに集合な、といるまくんが言ったところで電話が切れた。
で、今はフードコート。時計を見ればもう昼頃を軽く過ぎていて、時間の流れは早いなぁとしみじみ思う。
「え、お前らゲーセン行ってきたの?」
「そ、俺はこいつでこさめはそいつ」
「これ!」
「うわでっか。よう取れたね〜」
いるまくんがこさめたちの分のお昼ご飯も注文してくれている間、らんくんにこさめたちの戦利品を自慢する。らんくんにも「何買ったの?」と質問を投げかけると、結構とんでもない返答が返ってきた。
「俺ら?ピアス買ったよ、いるまが言ったアクセサリーのとこで」
「うわ、ピアス?高くね?」
「結構ね〜。せっかくだしメンバー全員分のカラー買って、俺といるまで合計24000円」
「「24000!?」」
「2人分のプレゼント合わせてだけど」
いやそれでも高いわ、となつくんと2人でツッコミを入れる。どうしてこうもうちのツートップは、メンバーのこととなると財布の紐が緩むのだろうか。いや、まぁそんな所も好きなんだけど、いくら何でも心配になるよ。
「注文してきた〜」
「お、いるまおけーりー」
「いるまくん!!2万はさすがに使いすぎだと思う!」
「こさめに同じく」
「え、何お前ら。らんからなんか聞いたん?」
「「聞いた!!」」
「よく分からんけど口滑らせちった」
「何やってんねん…」
らんくんの横に座ったいるまくんは、少し溜息をついてかららんくんに呆れた視線を向ける。「え、これ俺が悪いの!?」と言いたげならんくんの額に肯定するようにデコピンをしたいるまくんは心底楽しそうに笑っていて、何かその2人の周りにだけ花が舞っている幻覚が見えてきた。
なつくんと顔を合わせて、お互い口に出したいセリフを察する。掛け声の代わりに息を吸う音でタイミングを合わせて、「あーもうやだやだ、これだからバカップルは」となつくんと口を揃えてから、震える呼び出しベルを手にこさめ達は席から立ち上がった。
「え、いやお前らの方がバカップルでは…?」
「言うてやるな、てか俺ら全員バカップルだよ」
『ただいま〜』
「おかえり!!新作買ってきてくれた?すっちーは今お仕事中よ!」
「みこちはいっつも元気だねぇ、ほら新作」
「うわぁやったー!ありがとらんらん!!」
俺らが同時に帰ってきたら、玄関にて出迎えてくれたのはみこと。俺が彼に新作を渡すと、彼は軽く飛び上がってニッコニコで新作を受け取った。…なんか、心做しかこいつ、いつもよりもほわほわしているような、浮かれているような。
「…わ、なつこさは一体何取ってきたん…?」
「あ〜、いやまぁちょっくらゲーセンへとね」
「それはな…後でのお楽しみ、だよ」
「うわぁなんかキュンとしたっ!」
なつこさのどデカい景品に釘付けになっているみことの横を何気なく通り過ぎて、俺はピアスを隠しに自分の部屋に向かう。階段を上がると後ろにいるまも居て、2人して忍び足で1番奥の自分たちの部屋に向かった。
「あれ、らんらんといるまちゃんだ。おかえり〜」
その時左側のドアが開いて、仕事が終わったのか一旦の休憩なのか、その部屋の主の緑髪が顔を出してきた。
もうそりゃ、分かりやすく手に荷物を持っている俺達は汗ダラダラ。特に目の前の彼はうちの家計簿担当なので、お金を使ったらしいことに関しては徹底的に問い詰めてくるしもう終わった。
「あら、2人とも何か買ったの?」
「…あー、うん。ちょっとね」
「そっかぁ」
すちはそれだけ言うと、「抹茶オレ飲みたい…」と言いながら階段に向かって廊下を渡って行く。
あれ、なんで問い詰めないんだ?…いや、さすがにメンバー個人の使い方には口を出さなくなったのだろうか。俺らももう立派な大人だし。
「な、なんかすちなんも言わないんですけど…」
「ちょ、すっちーも空気読んでくれたんじゃねぇの」
「ホワイトデーって分かってるから?」
「そうそう」
「…あー、確かにそうだわ、すちなら有り得る」
だったらサプライズの意味無いけどな、といるまとこそこそ笑い合う。まぁサプライズしようとも思っていたわけじゃないけど、サプライズとドッキリは紙一重みたいなもんだし、ドッキリグループのリーダーとしてはできればサプライズしたかったよな。いや歌い手グループだわ俺ら。
「じゃあ隠す意味もないよね〜。渡しに行く?」
「そうすっか。あいつらまだ下にいるよな?」
いるまと並んで、さっきのぼってきたばかりの階段を下り始める。そこにはソファにゲーセンで取ったぬいぐるみを袋ごと置いて、それを背中の方に回して守るようにソファに座るなつこさと、新作をダイニングテーブルにて飲むみこと、キッチンで抹茶オレを作るすちという、なんともいつも通りのみんながいた。
なつこさの方に「そろそろ渡すぞ」と耳打ちをして、すちもマグカップを持って合流したらしいダイニングテーブルに4人で向かった。
「おぉいお前ら…聖人組ぃ!!」
「いや戸惑うなよ」
「そこは堂々といこうぜ!?」
「いこうぜ!!」
「おわ、みんなどうしたん?」
「おや、どデカい袋がなつこさの後ろに」
座りながら目をぱちくりさせる目の前の2人の前で、俺らの後ろに待機するクソガキッズが袋からぬいぐるみを出す。彼らを俺らの前に出すと、彼らは袋から出したぬいぐるみを2人の目の前に差し出した。
「「ハッピーホワイトデー!!」」
「これこさめが取ったー!」
「これ俺が取った」
「おぉお…え、ありがとうこさめちゃんっ!!すげぇでっかい…!」
「これひまちゃんが取ってくれたのか…えぇ、ありがとねひまちゃん…!!」
目を輝かせながら受け取る2人は、それはそれはもう可愛くて。なつこさは2人でハイタッチをしてから、「次はお前らの番だよ」と言うように俺らの背中を軽く押した。
「…よし、いくぞいるま!!せーのっ」
「「ハッピーホワイトデー!」」
「俺らからのプレゼント、2人共用で使ってくれたら嬉しいです…」
「さすがに予算が足りんかったわ、すまんな」
俺らはそう言って、彼らの前に綺麗にラッピングされたピアスを差し出す。2人はその高級感にすっかり恐縮してしまったらしく、手が震えながらもそのラッピングを開けた。
「…ぴ、ぴあす?」
「ぜ、絶対高いじゃんこんなの…いくらかかったの?」
「「2人合わせて24000円」」
「「24000円!?!?」」
「ホワイトデーにそんな高いもん買ってまうか普通!?」
「6個はさすがに買いすぎでしょうが!!」
「えー、だって全員分揃えたかったし…」
「えーじゃない!!もー全く2人ときたら〜…」
何故かすちに説教される流れになったらしい俺たちはその場に正座を要求されて、こうなったすちには反抗する術もなく俺らは揃ってその場に正座する。…こんなんでも、俺らツートップって称されてるんですよ。本当なんです。
「あいつら、俺らのぬいぐるみの10倍近く金かけてんだよ」
「まぁでも、みこちゃんもなんだかんだホワイトデーには期待しとったやろ?見るからに浮かれとったし」
「期待はそりゃしとったけどさぁ…ここまで高いもんやと素直に喜べんよ!!俺の想像を軽々ぴょんって越えてきたもん!!」
「「だよな〜」」
すちの説教から意識を飛ばして、少し離れたところに避難して会話をしているなつこさみこの会話を盗み聞きしてみると、やっぱり俺らのプレゼントは少し高かった模様。いやけど、普通に普段の感謝の気持ちも込めたらこんなんだよな、と俺は心の中で言い訳をする。
「…まぁけど、らんらん、いるまちゃん」
「「…はい」」
「値段が予想外すぎただけで、プレゼントはめちゃくちゃ嬉しいよ。ありがとね」
ふと目の前の彼はしゃがんで、正座状態の俺らに目線を合わせる。その状態で彼が紡いでいった言葉は、俺らの心にいい意味で刺さって抜けなくなってしまった。所詮心を掴まれたというやつだ。
「…うわどうしたのよすち、俺惚れちゃう」
「もう惚れてんでしょうが」
「すっちー、俺一生あなたについて行きます」
「よしいるまちゃん、俺についてきな!」
照れを隠すようにして俺らが悪ノリしていると、少し離れた所にいた3人が何事かと戻ってきた。それと同時に無事みことからも「ありがとう!」という言葉がもらえて、俺はほくほくとした気持ちに浸る。今日はなんていい日なんだ。
「俺どれが似合うかなぁ?」
「黄色の補色は紫だから、アメジストじゃないかな。その理論で言ったら俺はルビーか」
「お、お前ら着け終わったら言えよ。記念に写真撮りたいけぇ」
「ピアスかっけぇ…こさめもつけてみようかな…」
「おーおーおー穴開けてないのに着けようとすんな?」
リビングはいつも通り騒がしくて、ソファにはさっきクソガキッズが聖人組に渡したぬいぐるみ達が、さも昔からいたように腰掛けられている。聖人組が笑みを浮かべながらピアスを付けていたり、なつがスマホを持って待機していたり、こさめがピアスをつけようとするのをいるまが止めていたり。そういう光景を見ると、俺は心の底から幸せを感じるんだ。
みことが「らんらーん!」と俺を呼ぶ。どうやら新しいピアスを褒めて欲しいみたいだ。いつもの騒がしい空間に飛び込んで、俺は今日もこう思う。
嗚呼本当に、今日はなんていい日なんだ!