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斗環です‼︎6話目も見てくれてありがとうございます♪♡嬉しいです‼︎ 沢山作品見ているはずなのに、アメリカも、別に見てないけど、東京、大阪も分からないよ〜!!誰か教えて下さい、、、お願いします。 あと、ちょっと投稿頻度がカスッカスですが、物語の構成も結末も考えているのに書けないんです。気長に待ってくれると嬉しいです。
瞼が開くと、視界が徐々にくっきりと見えてくる。此処は、何処か分からないがあまり衛生的ではない部屋だった。
舞った埃が肺に入り、咳き込んでしまう。咳をする度に、細かい針に刺されたかのように痛む。
「起きましたか。体調は大丈夫ですか?」
「え‥‥。」
目の前には白い服を身に着けた人が座っていた。
この人は誰?見たことあったかな?
「大丈夫ですか?」
「ぇ、あの‥誰?」
「あー、もしかして、記憶がないのですか?」
その人は、目を見開きこちらを見てくる。圧を感じ、ここから逃げたくなる。手からは、汗がじっとりと滲んできた。
「ご自身のことを覚えていますか?」
「名前とか。」
はやく答えなきゃ、と思う一方で頭の中は空っぽで何も出てこない。誰も踏んでいない雪のようにまっさらだった。
「ぁ、えと、ご、ごめんなさい。」
「そうですか‥。」
「大丈夫ですよ。きっと、今はまだ混乱しているだけです。」
「ぁ、わ、わかりました。」
何も答えられない不甲斐なさで、この人の顔が見れない。ずっと下を向いていたから、態度が悪く見えたかも知れない。
その人は、少し人を呼んできます、と言って部屋から出て行った。
『記憶がない』
そう言われた。確かに、何も分からない。思い出そうとしても何もない。それどころか、脳を切り裂くように痛み、何故か呼吸がうまく出来なくなる。
鼓膜を打つかのように強くドアを開ける音がして、男の二人組が慌てたように入ってきた。先ほどまで走っていたのか息があがっていた。
「ぁ、あの、ぇえと‥?」
ドシドシと遠慮もなく近づいてくる二人に、怖気付いた。逃げようとしても思ったように体が動かなかった。
「目を覚まされたんですね。」
「もう、大丈夫なん?」
「ぁ、えと、どちら様?」
「え‥‥?」
この人達が誰なのか、どう言う関係なのか何も分からない。でも、今の私の言葉に深く傷ついたことは分かった。
「な、何を言っとるん?」
「だって‥‥なぁ。」
「ぁっ、ぅ、その、あ。」
何か言わなきゃ、でも何も出てこない。なんて言えば、どうすれば伝わる?どうしよう、どうしよう。
私が目を回していると、おそらく後から追って走って来たのだろう、あの白衣の人が入ってきた。
「あぁ、もうその辺にして下さい。」
「彼女が困惑しています。」
私を守るようにして二人の前に立ち塞がり、何やら説明していた。けど、うまく聞き取れなかった。多分‥私のことだろう。
「成程、話は分かりました。が、これから彼女はどうなるのですか?」
「今はまだなんとも言えませんが、此処には長く置いて置けません。」
「もう戦争が終わったと言っても、怪我人はまだまだ居ますから。」
「そうやんな‥。」
「え、あの『戦争が終わった』ってどういうことですか?」
ほぼ反射的に聞いていた。何故だかは分からなかったけど、胸騒ぎがして仕方がなかった。
「あぁ、ずっと眠っていましたからね。我々は、我が国は、アメリカに、負けたのです。」
「あ、そ、ぅですか。」
アメリカ、その名前を聞いた時、頭がチクリと傷んだ。でも、何も思い出せはしなかった。
「‥それで、彼女の容体を見るに怪我は後数日もすれば回復します。」
「ですが、記憶の方はよく分かりません。」
「どうしてですか?」
「まあ、少し座って話ましょうか。」
そう言って、埃の被った錆びついているいるを運んできた。
「あなたも、聞いていてください。」
白衣の人は、私を見るときはふわっと優しく声をかけてくれるけど、迷惑をかけていることに罪悪感を感じる。
白衣の人曰く、私は今解離性健忘という記憶障害になっているらしい。それも、ただの記憶障害ではなく、
「全般性健忘になっている可能性が極めて高いです。」
「これは、自己同一性や、過去の経験全て、時には習得した技能や世界に関する情報を忘れてしまうものです。」
「なんでや?どうしてそうなったんや?」
「記憶健忘は、心的外傷やストレスによって引き起こされます。」
「何か、心当たりはありますか?」
「ぁ、えと、何も‥。」
「すみません。」
「謝らないで下さい。焦らないで大丈夫ですからね。」
優しい言葉使いのはずなのに何故か私の心はチクチクと痛んでいた。
「は、はい。」
「お二人は、何かありますか?」
「あぁ、そう言えば‥
何か、この人が言おうとした瞬間、鼓膜が破けるんじゃないかというくらいの音を出してドアが乱暴に開いた。
「hey‼︎久しぶりだな、アメリカだぞ‼︎‼︎」
先程までのしんみりとした真面目な空気が、そこの馬鹿でかい声の人のせいで蹴り飛ばされるように吹き飛んでいった。
「こんにちは、アメリカさん。本日はどのようなご用件で?」
アメリカ?さっき聞いた名前だ。この人に負けたのか。こんな人に?
今し方初めて会った人だが、もうすでに私は見下していた。それに、嫌悪感も感じていたほどだ。
「今日はな、この子を連れて行くことにしたんだ‼︎」