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呟く感じ、自然体
失うものはあるけど、なくても大丈夫
「ねえ、聞いたことある?」
「死にたい人が集まる、不思議な部活。」
「なにそれ、こわーい。」
「部員は三人だけなんだよね?」
「何でも、そこに入っていた先輩が
飛び降りて、二人だけになったとか。」
学校非公認、活動場所は屋上。
活動時は部員がグループLINEで相談。
いつやっているか部員しか知らないため、
見学するのは困難。
そんな部活に所属している
二人の内の一人が、僕だ。
今日も、一人でそこへ向かう。
「あれ、遅かったね。久しぶり。」
はじっこで体育座りをしているのは、
もう一人の部員だ。
きっとさっきまで泣いていたんだろう。
悪気はなかったとはいえ、
先輩たちを苦しめてしまったのは、
紛れもない僕たちなのだから。
「私のせいだよ、私が何も言えなかったから」
「僕だって、無責任なことを言ってしまった」
「私が殺しちゃったんだよ」
「人を殺した私なんて、なおさらいらないよ」
「なら僕も一緒だよ」
僕だって、使い回しの無駄に明るい言葉を、
何も考えずに言ってしまった。
たぶん、どちらかのせいである。
言えなかった君と、言ってしまった僕。
どちらかを責めるのは、誰も出来ない。
「誰が悪かったかは、もう分からないからさ」
「一旦、前を向こう、互いに」
「そうだね、ごめん」
「ごめんじゃなくてー?」
「ありがとう!だね」
君は悲しそうに笑った。
作り笑いが上手になってしまった。
また、思い出して苦しむだろうけど。
「人の魂は21g、って前話したじゃん?」
「あれ、蒸発した水分の重さだったらしい」
「魂の重さなんて、なかったんだよ」
「死んだって何も変わんない」
「きっと、生きる意味も、存在価値も」
「あると勘違いしてるだけ」
「誰かの記憶には残らないの?」
「すぐ忘れるよ。人間なんてそんなもん」
「ねえ、約束しよう」
「僕がいなくなったらさ、」
「一日一回、僕のこと思い出して」
「もちろん!」
「私が先にいなくなったら、」
「私のこと、思い出してね。一日一回」
「仰せのままに。」
「何その言い方~!」
「約束だよ、絶対」
「もちろん!」
そう言って、笑い合ってみせた。
幸せかはわからない。
互いの抱えるものも、何一つ知らない。
吐き出したら、離れていくかもしれない。
だから、救いにはなれない。
理解しようとできない。
できなくても、仲間でいる。いられる。
でも、君がいなくなるのを見たくないのは、
我が儘なことなのかな。
生きてる意味とかけて
存在価値と解く
「果たしてその心は?」
何もないよ、何もないよ
屋上の隅っこで、また君が泣く
「私は誰にも必要とされない人間なんだ」
言葉を、言葉を、言葉を、
繰り返したって、全部忘れちゃうんだ
大事かどうかなんて関係ないよ
死にたい、死にたい、死にたい、
嘘をついたって、誰も気づかないんだ
他人の気持ちなんて解るわけないよ
これから僕は逃げ出して、
世界の裏に飛び込むよ
君は、奴は、彼は、他人は、
大概気にしないもんさ
それから僕は投げ出して、
アスファルトにキスするよ
君は、奴は、彼は、他人は、
過去なんて名前をつける
あれから僕は泣き出して、
未来の医学を恨むよ
君は、奴は、彼は、他人は、
価値観を滑らせていく
どれから僕は吐き出して、
感情を失えばいい
君は、奴は、彼は、他人は、
善人の仮面を被る
溶け出した魂が胃の中で踊る
彼らを殺した僕は死ねない
道徳感情が首を絞めつける
21グラムの針を見つめては
彼らを殺めた君は笑って
「そんなものはないよ。」と言ってのけた