歩みを止めた俺達と、死に急ぐお前
zm視点
「え…」
任務から帰ってきて、目に入ったのは血の海の中、倒れた仲間達。
「みんな!!!」
彼等に触れると、冷たくなっていた。
「うそ…」
“死んでいた”
「グルッペン!トントン!マンちゃん!ひとらん!ぺ神!兄さん!大先生!シッマ!シャオロン!エミさん!ロボロ!ショッピ君!チーノ!」
「……………………………………………」
返事はない。
屍になった彼等。
受け入れられない、受け入れたくない。
だが、この光景が俺を現実へと引き戻す。
俺がこの場に居たのなら
彼等を救えたのかもしれないのに。
「おぇっ…!!!」
吐き気がする。
一体、誰が。
何の目的で。
何故、彼等が死ななくてはいけないのか。
思考がぐるぐると頭の中を休むことなく駆け巡る。
優しい彼等が今、こうして冷たくなっている現実。
「あ”ぁ….」
彼等が何をしたというのだ。
「許さない…」
絶対に
「許さねぇ…!!!!!」
愛おしい彼等を殺された俺は、一つの思考に支配された。
もしも、時を戻せるのならば
彼等を殺したゴミを見つけ出すまで俺は
何度だって、生まれ変わってやる。
ごめんな、みんな。
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チュンチュンと、鳥の囀り。
「はっ…..!!」
目が覚めると、自室のベットに居た。
「夢…??」
あれは夢だったのか、はたまた、現実なのか、俺には分からない。
しかし、あの感覚は、間違いなく___
「こんなこと考えるのはやめや」
取り敢えず、食堂に行くか。
「チーーッス!!」
そう言うと、全員集まっていた。
「おぉ、ゾムか。おはよう」
「よぉ、ゾム!」
「ゾムさん、おはようございます」
「じゃあ、揃ったし、頂くか」
「「「「「頂きます」」」」」
手を合わせ、号令を掛けたら食害の合図だ。
「ほら、食べーやw」
「ちょ、無理やって」
「うぐっ」
いつも通りの朝。
何も変わらなかった。
ただ可笑しいのは、彼等が殺された日の朝と全く同じ行動を皆がとっていること。
あの出来事は、夢ではない?
信じたくない。
「ゾム、任務よろしくな」
トントンに玄関でそう言われる。
「任してや!絶対に成功させるから!」
「おん、待ってるで」
微笑む彼。
「行ってきます!!」
そう言って、任務に出掛けたのが2時間前。
「ヒュッ….」
そして、今に至る。
目の前には、血の海の中、倒れた仲間達。
あの出来事同じ光景。
「あ”、あぁぁぁぁ」
夢ではなかった。
時間が戻っている。
正夢も考えたが、それにしては妙にリアルすぎる。
つまり、彼等はまた、何者かによって殺された。
「あぁぁぁぁ」
彼等を守れなかった自分が憎い。
何故,己は生きている。
彼等は死んでしまったというのに。
何故、お前だけが生きている。
自己嫌悪と、殺意に支配される己の弱さ。
お願いだから、時よ、戻ってくれ。
俺は光に包まれた。
[リセット]
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そして、彼等を殺されて16回目。
ありとあらゆる手を使ったが、どうやっても、彼等は死ぬ。
「今回も駄目だった…」
そしてまた、時を巻き戻す。
[リセット]
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色々な事を考えた。
そして、あることに気付いた。
この死はループを意図的に仕組まれたものだと。
きっと犯人は、彼等が死んで、嘆いている俺を見て嘲笑っているのだろう。
ならば、と、辿り着いた結論は_____
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彼等を殺される朝を迎えた18回目。
早速、俺は行動に移る。
今、此処で終わらせる為に。
コンコン
「ゾム?」
気付かれないようにしたいけれど、駄目だな。
「入るぞ」
ガチャッ
「どうしたんだ、ゾム、遅いじゃない….か…..」
嗚呼、みんな来てもうたか。
まあ、えっか。
「此処で、俺がこうすることで、みんなが助かる。」
最善策やったんや。
「じゃあな、みんな」
彼等だけは、どうか生きて。
最善策は、俺が死ぬことでした。
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???視点
また、ゾムが死んでしまった。
今回は自殺。
時間が戻る度に、暗殺者から俺達を庇って死んでしまうゾム。
今度こそ、生かしてみせる。
「今度こそ、助けるぞ。」
「「「「ハイル・グルッペン」」」」
彼を生かす為に、何度だって時間を巻き戻す。
殺されてしまうのは
時間を巻き戻していたのは
一体どっち?
コメント
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まずまず、ぞむがもうこの世を去ってて、グルッペン達が夢の中で助けようとしてるんじゃないかなぁと私は思う
これはゾムさんが夢を見ていて、他の仲間が時間を巻き戻していたんじゃないかな? ゾムさんを助けるために…