#5 「二人の関係」
ー帰宅
「……」
なんか…疲れちゃった。
早く部屋にこもりたい…
シルクさんと話せれないから…。
「あっロミア…」
あ…シルク、さん…。
「やっと来た! おかえり」
「……」
「…ロミア?」
ごめん…
でもこうするしかないの…
「……」
「ロミアなんで返事しねーんだよ」
私には…どうすることも出来ない。
「おいっ!!」
「っ…ごめんっ!!!」
その場から抜け出したくなって
私の部屋に戻った。
もう…いやだよ…。
「……」
これで…よかったの?
私はシルクさんと同居してるなんて
あの人たちに言えない…。
最近の出来事を日記に書くか。
モヤモヤも消えるかもだし。
カキカキ_〆(。。)
数時間後…
コンコン
「…ロミアちゃん?大丈夫か?」
「……泣」
兄貴は私の隣に座った。
「その様子じゃ、なんかあったんだろ?」
「…なんでもない…。」
「…ロミア…?(小声)」
気づいてるよ…
そのドアの先にシルクさん…
いるんでしょ?
気配消してるつもりかもだけど分かるよ…。
「なんでもなかったらそんな風にならないよ」
「……」
「シルクが関係してんのか?」
「…!」
「…シルク、お前は部屋戻れ」
「…わーったよ」
シルクさん…。
やっぱりいたんだ。
「話せる?」
「……」
「大丈夫、ちょっとでも話してみない?
その方が気持ちも少しは楽になるかもよ?」
「…怖いの…」
「…え?」
「私…学校でいじめられてて…。
それで…それで…!」
「落ち着いて落ち着いて、
ゆっくりでもいいから話してみて」
兄貴は…優しすぎるよ。
なんでこんな私にそこまでしてくれるの?
そして私は今まで受けてきた
いじめの事を話した
最初はすごく抵抗あったけど
話していくうちに頼ってもいいかもと
思えるようになっていた。
「…ていう事があったの。」
「……」
空気…重い…。
どうしよう…。
「あ、えっと…」
ギュッ
「…え」
「それは辛かったよな…
話してくれてありがとう」
兄貴は真剣に頷いて話を聞いてくれた。
一切文句など言わずに…
「き、嫌われてない…?」
「嫌う理由なんてどこにもないだろぉ…(泣)」
「え、な、泣いてるっ!?」
兄貴が泣くとこ初めて見た…。
てかそこまでの事なの!?
「と、とりあえず泣き止んで…!(笑)」
「うん…。(笑)」
「…で、私シルクさんと話すなって
言われてるんだよね…。」
「えっ!?なんで?」
「なんかシルクさんの事を好きな人の1人が
私のいじめっ子なんだけど…
その人が邪魔だから関わるなって…。」
「はぁ?そんな理由でロミアちゃん
傷付けるとか最低だなぁ…」
まぁ好きな人には独占したい気持ちは
分かるんだけど…
「その事でどうしようかなって…」
「よし、シルクに相談しよ?」
「えっ…」
本人…に?
「いや…でもさっき少し喧嘩っぽく
なっちゃって…。ごめんなさい…。」
「大丈夫だって。アイツのことだ、
今頃反省してんだろ」
いやでも…これは私のせいだしな…。
私から…謝りに行こう…!
「あ、ロミアちゃん…!
…がんばれっ…!(小声)」
コンコン…
ガチャ
「…あれ、ロミア…」
「あ、シルクさん…」
「とりあえず中入って」
シルクさん…冷静。
でもなんだか…震えてる?
「………」
「………」
気まずい…
でもこの空気をつくったのは私だし…
でも…話したらもっといじめられるかな?
でも…!
シルクさんも話を聞こうとしてくれてる…。
私から謝らなきゃ
「えっと…その…」
「ごめんなさいっ!!!」 「ごめんっ!!!」
「…えっ?」
シルクさんは謝る必要…ないのに?
どうして…
「ごめん…
さっきは俺が一方的に 話しちゃってた。」
「……」
「きっと事情があったんだろ…?
それも聞かずに…
情けねぇな、俺って(苦笑い)」
「そんな事ない…!
シルクさんは悪くないよ…
私がすぐに言わなかったから…。」
「………」
シルクさんは私に
「おかえり」って 言ってくれたのに…
私はそれに返事もせず逃げた。
私なんか…卑怯者。
いじめられて当然だよね…。
「でも…どうして無視してたの?」
「実は…」
私はあのいじめっ子の事を話した。
でも私がいじめられていることを
話さなかった。
だって心配かけるし…飛び火するかもだし。
「え、アイツが俺のことが?」
「うん…なんかごめんね」
「いやいや!ロミアが傷付くなら
そんなの関係ねーよ!」
シルクさんは優しすぎるよ…
なんでそんな嬉しい事言ってくれるの?
「で…邪魔だからシルクさんと話すなって…」
「んーじゃあ学校では話さないようにしよ?」
「学校…では?」
「うん」
「学校だけ」?
他の場所で見つかったらどうするんだろう?
でもその時のシルクさんの顔は
なにか考えがあるみたいだった。
…信じて、いいのかな。
「…それで、いい?」
「……わかった…」
少し悩んだけど
とりあえずシルクさんの言う通りにしよう…
私を命の恩人と言える…
…助けてくれた人の1人だしね…。
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