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泣きました( ߹꒳߹ ) あの本当に…いつかありそうな感じがもう…ッ辛いぃ"‼️😭 ほんと続き待ってる👊🏻
「、やっと待ちに待ったライブだね」
癌の事を皆に伝えた俺は無理の無い限りライブの練習も仕事もこなした。そして今日が、ライブ本番。
「そうやな、」
せっかくのライブだというのに少しばかり浮かない顔をする皆。それもその筈。ライブが来たという事は俺の寿命も残り少なくなってきているという事だからだ。、後、残り一ヵ月と言った所だろうか。今立てているのもなんとか薬で持ち堪えているからだ。そうでなければ今頃とっくに倒れてしまっているだろう。
「皆、そんな顔しないで。このライブは俺にとっての最後ライブなんだよ?皆が本当に俺の事を思ってくれてるなら、笑って欲しいな、。俺の為にも、リスナーさんの為にも」
そんな俺の一言に皆は、はっ、とした様に目を見開いた。
「ごめん、遂ないくんの寿命の事を意識しちゃって」
りうらが申し訳無さそうに呟く。
「僕も、ないちゃんにとってこれが最後のライブになるってなったら余計に意識しちゃってッ、」
いむが少し涙ぐみながら鼻を啜る。
「そうだね。これが俺にとって最後のライブ。だからこそ皆と楽しく今まで1番のライブがしたいんだ。皆とリスナーさんが全員笑って楽しめるライブ。それをするのが俺の夢だったから笑」
「ほら、行こう?俺達の舞台に」
俺は皆に手を差し伸べ、微笑みかける。そんな俺の姿を見て皆は決心した様に顔を上げる。そして俺達は舞台への一歩を踏んだ。
、、、
「〜〜〜🎶🎶」
「何百回でも思うよ。君に恋してるッ〜〜!!」
最後の1曲を歌いきると同時に客席から聞こえて来るリスナーの声。前方の席にいるリスナーの顔を見ると、本当に楽しい!という風に幸せな顔をしているのが見える。
あぁ、最後のライブが大成功して良かった。最後の曲を歌い終わった後、メンバー1人1人から終わりの言葉を言う。遂には俺の番に回ってきた。俺はマイクを強く持ち直し、リスナーに言葉をかける。
「今日のライブは最高でした。こうして、リスナーの皆さんに会えた事凄く幸せに思います。最後に、僕達から皆さんに大事なお知らせがあります。もしかしたら、この話でショックをいけるリスナーさんも沢山いるかもしれません。でも、この話は僕達いれいすの今後に関わってくる話なのでよく聞いて欲しいです」
俺は深く息を吐き、吸う。
「僕、いれいすのリーダーないこは今日をもちまして、いれいすを脱退、歌い手活動を引退させて頂きます」
俺の一言に客席がざわつき、様々な悲痛の声が聞こえてくる。
「、僕が活動引退する理由は飽きでも冷めでもありません。詳しくは話す事が出来ませんが僕自身の心身の状態により、今までの様に活動が続けられない事になったというだけは伝えておきます。ですから、僕にとっていれいす6人でのライブは今回で最後になります。もっと早く伝えて欲しかったと思うリスナーさんも多いとは思います。でも、僕は最後だけはいれいすが好きだというリスナーさんの歓声、笑顔が聞きたくて見たくて言う事を出来ませんでした」
無言のメンバー、静かな客席。俺の声だけが会場に響き渡る。
「最後まで僕のこんな我儘に付き合わせてもらってすみません」
俺は腰を曲げ、リスナーに謝罪をする。無言の沈黙が広がり、誰も一言も喋らない時間があった後、ようやくメンバーが口を開いた。
「我儘なんかじゃないやろ、ないこ。俺達をいれいすというグループに入れてくれてありがとう。お陰で今俺達はリスナーにも大事なメンバーにも会えとるよ」
まろが俺を慰める様に背中をぽんぽんと優しく叩く。いつの間にか他のメンバーも俺の側に寄り、慰めの言葉をかけてくれた。その言葉に俺の目からは涙が溢れる。
「ありがと“ッ、。皆本当にありがとうッ」
泣きじゃくる俺をメンバーは優しく抱きしめてくれた。そんな俺達を見て、リスナー達も涙を流していた。先程の悲しみの涙とは違い、感動の涙を。
「ないふぁみ、いれりすの皆。今まで俺を応援してくれてありがとう!!大好きだよッ笑!!」
その俺の一言で皆は泣きながらも頷き、笑ってくれた。
こうして俺のいれいす6人での最後のライブは幕を閉じた。
俺はライブが終わり次第すぐ病院で入院する事になった。
「すぅーはー、、すーはー、」
口に付けられた酸素マスク。腕に付けられた栄養を送る管。とても数日前までライブしていたとは思えない状況。、俺を診断してくれた医者からも驚かれた。そもそも癌が進行している状態で立つ事も不可能な筈なのによく立てましたね、と。
「後、1ヶ月か、、」
誰も居ない病室自分の残りの寿命を呟く。残り1ヶ月を切った命。きっとあっという間に終わってしまうんだろうな。俺は震える手で天井に手を伸ばし、拳を握り締める。その力でさえ弱々しくて前々での自分と違い、笑ってしまう。今までの自分の人生を振り返る。最初は動画が中々伸びなかったり、ライブがコロナの影響で中止になったり。でも、初配信で同時接続者が1000人超えた時は驚いたなぁ、。よく考えると今まで本当に色々な事あった。俺は思い出を振り返りながら眠りについた。