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注意事項・病み系、病気系
・誤字脱字有り
・ベラルーシ主人公
その一言だけでいいから。
「ヒュ……ヒュ………」
「……大丈夫、僕が付いてるからね…兄さん…」
大好きな兄さんにそう語りかけても兄さんから返事が返ってくることはない。
そうだってわかってても。語りかけるだけで何かが変わるかもしれないから…。
兄さんがこうなってしまったのは少し前旧に会議中に倒れた事が始まりだった。
それまでは変わらずにアメリカさんと喧嘩をしていた兄さんだったはずなのに、いきなりよろけて兄さんは倒れた。
身体中から汗が吹き出て兄さんの顔はとても苦しそうだった事が鮮明に頭の中に残っている。
寝込んだままの兄さんはご飯をかろうじて食べれているが声も出せなければ意識も薄い。
このままだったら死んでしまうかもしれない。
「……兄さん……起きてよ…僕ね、この前昔兄さんと遊んだ花畑に行ったの…花、綺麗だったよ……」
「ヒュ……カヒュ…」
「また一緒に行こうよ……兄さん……ねぇ…兄さん……」
目から溢れ出そうな涙を堪えながら僕はずっと兄さんの手を握り続けた。
大丈夫…まだ暖かい……
兄さんが寝込んだ状態になって、兄さんと関わりがあった人がたくさんお見舞いに来てくれた。
例えば北朝鮮さん。体は小さいけどとても強気で、かっこいい。
僕が関わることはあんまりなかったけれど、兄さんを尊敬してくれていた国の1人だ。
他には…忘れちゃいけない中国さん。昔から兄さんと仲良くしてくれていて、
僕にあった時に必ずお土産をくれたから中国さんはとても印象に残っている。
そしてアメリカさん。兄さんの敵で…兄さんが愛した人……
「…大丈夫…ゆっくり飲み込め…」
アメリカさんは兄さんの敵だ。だけど家に来て兄さんの身の回りのお世話を手伝ってくれた。
苦しそうに飲み込む兄さんの姿はとても弱々しくて苦しかった…変われるものならわかりたかった。
「…ベラルーシ、そこにある器とってくれ」
「コレね、はいどうぞ………」
「……ありがとう…」
兄さんにいつもと違って優しく接してくれている姿に、
今兄さんに必要なのはアメリカさんだけなのではないかとすら感じた。
僕の必要意味がわからなくなったんだ。兄さんはこんなに気にしてくれる人がいる。僕はただの邪魔にしか過ぎないのだろうか…?
「兄さん………大丈夫だから…大丈夫…」
そう言いながら暗い夜の中兄さんが良くいた向日葵の花壇の前にしゃがみ込んでいた。
兄さんが好きだった場所に居ればまた兄さんがいつも通り元気でいてくれる気がして…。
そう考えていると誰かに肩を叩かれた。
驚き後ろを振り向くと、そこにはさっきまで兄さんのそばに居たはずのアメリカさん。
「アメリカさん…!?」
「よぉ…悩んでるみたいだな。」
「……ちょっとね、」
いつも聞いてるうるさい声は無く静かな雰囲気で僕に話しかけてくれたアメリカさんは
僕の顔を隣から覗き込むと少しだけ俯き僕に語りかけた。
「…お前が悩んでるのは見ればわかる。愛している兄がいきなりあぁやって倒れたら誰でも驚くだろうな。」
「…何…僕を茶化しに来たの……?」
「そうじゃない。お前が自分を必要じゃないと思い込んでないかと思ってな。」
「……ッ」
アメリカさんは僕の考えてる事を当ててしまった。その「図星か。」の声が僕の胸の奥を深く刺した。
「………ふぅ……ベラルーシ…そう思うんだったら…だったら気持ちを自分に伝えてみたらどうだ?」
「どういうこと…?」
「今の自分の気持ちが正しいのかただ聞くだけだよ。俺から言えるのはコレだけだが…。」
そう言い終わるとアメリカさんは僕に背を向けて家の中へ真っ直ぐ入っていってしまった。
やっぱりアメリカさんは苦手だ。僕の気持ちが全部アメリカさんには丸見えで…アメリカさんの言葉に否定できなかった僕はもっと嫌いだ…。
家の中に戻ると寝ている兄さんの横でアメリカさんが必死に世話をしている姿があった。
今日は隣に中国さんとイギリスさんも来ている。
少しだけ…少しだけ兄さんが病んでいたのを僕は知っている。
父さんが死んで、それがアメリカさんのせいで…兄さんは父さんの死刑を目の前で見てしまったから……。
兄さんはそれでよく手首を切っていた。深くまで傷を作り続けて兄さんの腕はボロボロに崩れてしまった。
昔は……この家で家族仲良く暮らしてたんだ……
リビングで駆け回って遠さんによく怒られて…兄さんはそんな僕たちを庇ってよく守ってくれた……。
「…ッゲホッッ!!!」
そんな事を考えて現実逃避をしていたが一気に現実に戻された。
兄さんの苦しそうな声で部屋にいた全ての人が一斉に兄さんを見つめた。
「ガッ………ゲホッ!!…っぁ“ッッッ」
「だ……大丈夫かッッッ?!」
苦しそうに顔を歪めて兄さんは必死に喉を掻いていた。
「ッコレは……体力が無くなって息ができなくなっています……」
「は…!?それならコイツは間違いなく……」
「間違いなく………………」
「死にます…!!」
イギリスさんが放ったその一言で僕の頭の中は真っ暗になった。
兄さんが…大好きな兄さんが死ぬなんて嫌だ………何か…何か方法は…!!
「クソッッッ!!」
「この子は自分の力じゃおそらく息ができません……何日もまともに食事をしていなかったんですから…!」
絶望に絶望がかかった気がした。兄さんが死んだら…僕は…僕は…………どうなるの…?
兄さんがいないと何一つできないのに……どうしたらいいの…………?
「嫌だッッッ!!!!兄さん!!」
最低だ…最低な弟だ…………!兄さんじゃ無くて自分の大事さを考えてたなんて……!
兄さんが居なくなるのが怖い……でも何もしないで兄さんが死んじゃうのはもっと嫌だ!!!
「ごめんねッッッ…ッスゥ……ッ!!」
「ベラルーシ…!?」
「人工呼吸ですね……そのまま続けてください!中国!アメリカ!早く動いて!!」
「あ“ぁあ”…………ッグッッッ!!」
「ウ“ッ…………っぺぇッ!!がぷ……ッッ!!」
兄さん……兄さん…………起きて!また一緒にひまわり畑に行こう!ウク兄さんやカザフも誘って…!だから………だから……!!
「あ”ッ……………………」
「……ッッ…兄さん!兄さん嘘だよね….?嫌だ..嫌だ…..息してよ..!!」
『…………』
兄さんの息が止まった。動きも。全部…………
兄さんが死んだ。兄さんを守れなかった………
「ごめんなさい…!ダメな弟でごめんなさい!!でもだけど愛してるッだから…だから愛してるって…だから愛してるって伝えてよ…」
兄さんの手を必死に握ってそう呟いた時だった……わずかに握っている手が動いたんだ。
「…へ………?」
前を向くと少しだけ体を起こして愛おしそうに僕を見つめる兄さんが居た。
さっきまで動かなかった兄さんが……僕をちゃんと見てる……生きてる………大好きな兄さんが…大好きな僕の兄さんが!
「ベラ……寂しい思いさせたな………………大丈夫…愛してるよ……。」
「ロシア…!!ロシアァア!!!」
アメリカさんは大声で兄さんの名前を呼び兄さんと僕に抱きついた。
後ろの方で涙を流して僕たちを見つめるイギリスさんとその場に泣き崩れてる中国さん。
よかった…兄さんは生きてた………大好きな僕の兄さんは…
「…アメリカ、腹減った………。」
「相変わらずのカスっぷりだな。さっきまで体力も動きもしなかったくせに。」
「…コレから戻していく……お前が生きてる限り俺は死ぬわけにはいかないんだ。大好きな弟のためにも。」
「兄さん…!!」
あれから3年の月日が経った。
嘘のように兄さんの体力はみるみる回復して、兄さんは元通り生活する事ができている。
僕はこの3年で変わった。愛している者の為に動こうと誓った。
自分のことも大事だけど。何よりも。何よりも……兄さんを愛しているから。
ーお終いー
少しだけ長くなってしまったこの話を楽しんでいただけたでしょうか、途中脱字誤字、理解できない点や言い方等の点が多かったと思いますが楽しんでいただけたのなら嬉しいです。
ベラルーシが主人公でロシアが病に侵される話でした。書くのに一体何時間かかったんでしょうか……、いつも見てくださりありがとうございます。
見つけてくださった方々に感謝します。それではお疲れ様でした。