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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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煌びやかなステージ上に、たった一人だけ立っている人物。言わずもがな知れた、大人気アイドル。


「「「「韓国くーーん!!!!!!」」」」

そんな歓声とともに流れる莫大な音量の音楽に合わせて踊る僕。動きはキツくても、それを悟らせないような爽やかさで四肢を動かす。ムチみたいにしなっているのに、動きにキレがあるのが僕の持ち味だ。

………ふと、観客席の手作りうちわが目に入った

(윙크해줘요!ウインクして!……か)

そのうちわに従って、その持ち主目掛けて左目をパチっと一瞬閉じる。

(……ん?………んん??

………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?!?!?

なんで……なんで……)

(なんであいつがいるの!?)

そのうちわの持ち主は、紛うとこなき日本だった

まぁ、そんな動揺でパフォーマンスの質を下げるような僕ではないけど!!!だとしても!!えぇ!?あいつ、僕のこと大っ嫌いだったよね!?!?いや、僕も大っ嫌いだけどさ!?

そんなこんなで、今回のコンサートは日本のことで頭がいっぱいになった




コンサートから数日後の東アジア会議で日本を見つけた

「あ、おはよう日本」

「ん?あぁ韓国か、おはよ。どしたの?」

相変わらず気の抜けた返事だ。てか、他の国には敬語アンドさんづけなのに、なんで僕だけ同級生みたいに接するんだよ。いいけどさ。

「いやさ、この前の僕のコンサートにお前いたよな?」

「あー……そうだね」

見間違えではなかったみたいだ

「なんでいたの?」

「えぇ?それ聞いちゃう?……まぁ、単純な理由だけどねー」

「韓国の音楽が好きだからだよ、他は嫌いだけど」

「……ふ〜ん、珍しいこともあるもんだね」

「好きなことして何が悪い」

………僕の音楽が好きなのか、こいつ。

いや待て。他は嫌いって、お前この前美味しそうに韓国料理頬張ってただろ。一時間後に辛いと泣き喚いていたけど。

「それだけ?じゃあ、私も暇じゃあないから」

「……えっ、ちょっ、待ってよ」

「えー?まだ何かあるの?」

めんどくさそうにこちらを見てくる。いや、そんな顔しなくても。まったく、この男は。

まぁいいや。

「今日の午後って空いてる?」

「は?…………空いてるけど…?」

「一緒にアニ◯イト行かない?」

「………は?」












韓国に訳を聞いてみると、私がアニ◯イトを熟知しているから、一緒に行くと色々新しい発見できるとのこと。

何か裏があるのか、と思っていたら顔に出ていたのだろうか。好きなことして何が悪いって言われてしまった。別に文句は言ってないでしょ。

それに、私は便利屋じゃないんだけどなぁ……

でも、オタクとして興味を持ってもらったのならば誘いに乗るしかないってもんだ!

そんなことを思いつつ、こいつと一緒にエレベーターへ乗り込む。どこで私服に着替えようかなぁなんて考えながら、気まずくない無言をやり過ごした。











「ダサい!!ダサすぎる!!!!!」

「はぁ!?これがオタクファッションなの!!!!

文句言うなら連れてかないよ!?」

「だとしてもだよ!!そこまで日本って私服ダサかったの!?まったく…同じアジアとして恥ずかしいよ!」

「あ”あ”ん??」

「アニ◯イトの前に服屋行くよ、コーディネートしてあげる」

「いや、別にいいよ……このままでも十分おしゃれでしょ!?」

「鏡見てから言ってくれ」

「なんだこいつ」

「お前がな?一緒に歩くと共感性羞恥でエグいことなるから」

「そこまで酷いの?えぇ??」

うん、会話を見て貰えば分かると思う。

こいつ、服のセンスが終わってる。

この前の国パ(国パーティー)ではマシな格好だったのに……どうしてこうなってるんだ………

「とにかく、服屋に行くのは決定!時間はあるでしょ?」

「……まぁ、それなりには」

暇じゃないと言っていた口がこんなことを言うのだから面白い

「はいはい、しゅっぱーつ」

「あーれぇーー(棒)」

つまらない会話でも、ネタが通じるのは極々わずかな国しかいない。その一部にこいつが含まれているのは癪だが、結局難しいことを抜きにしたら日本と僕は似ているんだろう。だから会話の波長も合う。どうでもいいことだけど、ストレスのない会話は楽しいものだ。










「う〜ん、これとかどうだろう……一回着てみてよ」

「え、ちょっと派手すぎない?」

「逆に今の服は地味すぎる、アクセントを足さなくちゃ」

「……分かった」

現在、服屋の中で韓国がうんうん唸ってる。私は蚊帳の外だ。

韓国の選んだ服を着るのは嫌だけど、こいつのセンスは本物だからしょうがない。

私は韓国から服をもぎ取り、試着室へ入った。

さぁ、早速試着だ。

「……え、以外とカッコいい……てか、これホントに私?」

試着室の前の鏡に映っている私を見て思わず声が漏れた。それほどまでに、服が似合っていたのだ。

……え、でも大丈夫かな?服に着られてないかな?

ちゃんと着てるよね?服にコントロールされてないよね?

一度不安になるとブレーキが掛からなくなる。もうこれは私は性なのだから、仕方がない部分だ。

「おーい、着れた?」

外から韓国の声がする。

「あー……一応?」

不安からか、疑問系になってしまった。

「一応ってなんだよ、開けるぞ」

「えっちょっ、まっt」

ガララッ


「……………………おぉ、似合ってんじゃん」

「その無言の時間はなんだよ」

まぁ、こいつが言うなら本当に似合ってるんだろう。

お世辞でも褒める私とは違って、韓国はちゃんと本音で話す。あ、褒めてる訳じゃないよ?むしろ貶してr



「よし、着たままアニ◯イト行くぞ」

「あ、うん」

服の精算を済まして店を出る。

……ちゃんと見ると、こいつの私服カッコいいな。

あ、これは褒めてるよ、うん。

「ここからは私が先生だよ!!!ついてくるが良いっ!!!」

「うわびっくりした。急に大声出さないでよ」

「あー、すみませんw」

「急に腹立ってきた」

「あれ、なんでだろう」

「おいこっち向け。目を背けるな白々しい」

「ちょっと目にゴミ入っちゃってー」

「嘘つけ」


ポンポンと出てくる言葉を並べながら、アニ◯イトへと歩みを進めていった。

(こんなテンポのいい会話は久しぶりだなぁ……。)













後日、お揃いのアニメTシャツを着た日韓が言い争いをしてたとか、してないとか。

「なんで推し被りしてるんだよ!!僕/私同担拒否なんだけど!!!」

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