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「ハァー」
冬が来た。寒い。ここ最近、吹雪がずっと続いていたから今朝には雪は足が埋まるまで深く積もっている。なので両親は、朝から雪かきをしている。笑真は元気に雪だるまをクローバーと作っている。どうやら、雪だるま一家を作るようだ。そういう俺は、一人サイズのかまくらを作っていた。雪がめちゃくちゃ積もっているのですぐに完成することができた。今度は、イグルーを作ってみたいな。それには頑丈にするために水が多くいるな
「ねぇねぇお兄ちゃんお空なら雪を捕まえれるかな」
「え?」
「落ちてるのは捕まえれるけど落ちてくるのは掴めないから」
「空を飛べたらできるかもな」
「飛びたい!!」
「空か…やってみるか」
不可能を可能にする方法は一つ。
(異能式神)
式神はイメージからできる。空を飛ぶなら鳥。黒い姿…隠し…目を見せない。着物…普通とは違うするなら妖怪…風…翔ける…
(…これだ)
『製作しますか』
(YES)
『製作します…完了しました。名付けをしてください』
「翔志(しょうい)」
風が急に吹きその場に積もっていた雪が消え現れた。
「お呼びでしょうか我が主」
黒髪…背は高く…紺色の着物…目元は仮面によって隠れてみせない。背には闇に染まった大きな翼。そして…仮面越しでも分かるめちゃくちゃイケメン
(理想像そのままだ)
鴉天狗をイメージして作った。なんだかちょっと厨二病感溢れる。
「お兄ちゃんすごいね」
「翔志…俺達を乗せて空に飛んでほしい」
「ご命令のままに」
真っ黒に包まれたと思った瞬間、車と同じぐらいのサイズの烏へと変わった。真っ黒な羽これは、カラスかな…
「笑真、空を飛んでみよう」
「うん!!」
「しっかり掴むんだぞ」
「うん」
「よし…行こう」
バサッ…
バサッ…バサッ…
一気に空へと駆け上がり家が小さくなるまで高く飛び続けた。全てが小さく広い世界へと迷い込んだようだ。
「すごいね」
「あぁすごいな」
風をこんな間近に感じる。雪がかすかに降ってる。
「笑真ゆきをつかめるか」
「えい…えい…へへ…つかめたよ」
笑真は自信満々に笑顔で言った。
「すごいな」
思わず笑ってしまう。雪は向こうで飽きるほど見た。そこはよく雪が降る場所だった。だが、興味は無かった。雪は冷たく孤独を深く感じてしまうからだ。いつもよりさみしく感じ寒くて仕方がなかった。社会人になると雪は足止めにもなるしある時は会社に泊まり込みになってしまうから嫌いだった。だけど、今は違う。あったかい。もう一人じゃないとわかる。
「楽しいな」
「日がさして雪が輝いているように見える」
その日、家に帰った時笑真は両親にその興奮をわけていた。雪を掴むことができた…風が間近に感じた…きれいだった…お兄ちゃんがすごいなど瞳を輝かせ飛び跳ねながら話す。
「お父さんがきれいだと思う雪って何?」
「すずが見せてくれた雪だよ」
「お母さんの!!」
「うん…その雪がこの世で一番美しいと見惚れてしまったよ」
父さんは、照れながら言っている。これは惚気だな。
「ありがとう…それは私より綺麗なの?」
母さんは父さんを抱きしめながら言った。その瞬間父さんの顔が一気に真っ赤になった。
「もちろん…すずの方が何千倍も綺麗だよ」
自分で言いながら照れている。
「父さん…顔真っ赤だよ」
「え…」
「ふふふ」
「アハハ」
「ふっ」
笑いに包まれる。あったかい瞬間だ。
「主様…新たに式神を作ってみてどうでした」
「思いを形にするのってやりがいがあるね」
「どんな思いで作りましたか」
「ちょっとしたきっかけだよ」
ニッコリ
「楽しめたようでよかったです」
俺は結構この力を気に入った。思いを形にこんな素晴らしい力があるのが嬉しい。
「ルティ…素晴らしいな」
「はい」
「お兄ちゃん…これからもいっぱい作るの?」
「うん…思いのままに」
(可愛い)
「笑真も異能ほしいな」
「どうして」
「素敵だから」
「そうだね…焦らなくてもいいよ。ゆっくりでいいんだよ」
そう…ここでは焦らなくていい。落ち着いてやりたいことをやるんだ。笑ってしまうほど楽しい日々を…