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えみ子は事務所のデスクの下で、未払の給料を請求する方法について調べていた。こっそりと覗くスマホの画面は暗く、店長のガハハという声がやかましくて、文字が目に入ってこない。
5分しかない休憩もまともに取れず、ましてや給料も払われず、自分の足音がズンズンと鳴っているのを耳で感じた。店長には伝わっていない。おもむろに書店のレジに立つと、見慣れた顔ぶれの他には買う気もない客。斉藤さんは品出しをしていて、左の棚は労基の本棚だったはずだ。今すぐ替わりたいと思った。
先日、いちばん仲の良かった同僚が辞めた。佐藤は職場の嫌われ者だった。仕事はできる方だったが、店長が圧力をかけて辞めさせたのだった。退職金の未払いでもめていると聞き、愛想笑いをして聞いていたが、明日はわが身である。誰もそのことを笑わなくなった。
ふと、佐藤が言っていた栃木観光センターの求人が気になって、スマホを取り出して調べた。いらついたので画面の明るさを最大にして、内容をあらためると良い求人に見える。シフト応相談とか時給1300円とか、結局は入ってみないと分からないのだ。客が来たので画面を閉じた。