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「泣かないで」
泣かせるようなことをしたくせに、アントンは自分まで泣きそうな顔で言う。
しらじらしい態度に腹が立ち、同時にウンソクの言葉に、胸が引きちぎられる。
止めようとしても止められない。アントンが僕の頬に口づける。
振り払ってもやめようとしない。本当に大型犬みたいだ。
「僕にさわ、るな」
「いやだ」
アントンは僕の手からギターを奪い取り、その長い腕でソファの後ろに置く。
僕の手を離れたギターがゆっくり横倒しになる。同じく僕もアントンに押し倒されていた。
「なに、す」
押さえつけられ口づけられて、もがくけど逃げられない。
こんな卑怯なやり方でくるとは思わなかった。
「僕は泣かせたりしない」
「はな、れろ」
「寂しいなら僕が抱いてあげる。あの人よりうまく、なるよ」
「チャニョン」
いつもの呼び方じゃない呼び方をすると、アントンは驚いて動きを止めた。