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side:フーゴ
フーゴ「…しっかり食えよ、病弱野郎」
そう言った数秒後だっただろうか。また1口、食べ物を口に含む少し前に、
スラッグ「オスカー…!?」
焦っているようなスラッグの声が響いてきた。スラッグが大声あげるなんて珍しいな。兄貴がどうしたってんだ。そんな軽い気持ちで兄貴の方を見ると…
フーゴ「…兄貴っ!?」
兄貴が椅子から倒れかけていた。椅子から蹴るように立ち上がり、何とか地面スレスレのところで兄貴を受け止めることに成功する。
フーゴ「あっぶねぇ!!おいどうした!?」
どうやら気を失っているようだ。
スラッグ「また熱出したんじゃない…?大丈夫かなぁ…」
確かに心做しか顔が赤い気がする。こういう時の兄貴はどう考えても風邪を引いている。急いで兄貴の部屋に連れて行こうと、肩に兄貴の手をまわし、ゆっくりと立ち上がる。
カロン「お前じゃオスカーを運ぶのは難しいだろ。私が運ぶぞ?」
そう声をかけてきたのはカロンだった。
フーゴ「…」
確かにカロンに言われた通り、俺じゃ兄貴を運ぶのは難しい。兄貴より体格は良くないし、おまけに兄貴は意識を失っているので、全体重が俺の身体にのしかかっている。それに、俺は呼吸器が弱ってるからすぐ息切れを起こす。まぁつなりスタミナが全くないということだ。さっき立ち上がるだけでもやっとの事だったのだ。どう考えても無理だ。自分でも自覚はしているが…それでも。
フーゴ「…いい。俺が1人で運ぶ」
その提案は、嫌だった。そのまま、逃げるようにしてその場を去った。
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side:ノエル
ノエル「…フーゴ、大丈夫かしら…」
パイソン「…まぁ、ボマーなら上手くやってくれるだろう」
スラッグ「僕達は僕達で出来ることをしようか」
と言っても、今のわたくし達に出来ることは限りなく少ない。体温計や熱さまシート、薬、その他看病アイテムは全てオスカーの部屋にある。唯一出来ることと言えば、お粥を作るくらいだ。しかし、わたくしは右腕がない、カロン、トードはレシピを見るという頭がない、スラッグは毒ガスを吹き付ける(!?)
つまり、お粥を作れる唯一の存在は、パイソンただ1人だけなのだ。
…別にわたくしだって、両腕があったら作れますのよ!?
パイソン「とりあえずお粥は私が作るよ」
スラッグ「ぼ、僕達も何か手伝うよ…!」
パイソン「やめてくれ、本当に。君達が料理を作ると…恐らくだが、食べたら死ぬ」
そりゃまぁ…毒ガス、吹き付けますからね…
スラッグ「は、はい…」
トード「あ、アタシら、何すりゃあいいんだ…?」
カロン「それは…」
カロン「…観戦?」
パイソン「君はバカなのかい?」
ノエル「鳥頭ですものね」
カロン「鳥ではない!悪魔だ!!」
ノエル「あーもう、うるさいですわよ!!」
スラッグ「とか言いつつ、ノエルも相当うるさいよ」
ノエル「ご、ごめんなさい…」
しかし、残されたわたしくし達は、本当に、ほんっとーーーにやることがない。
ノエル「…どうしましょう…」
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side:フーゴ
フーゴ「はぁ、はぁ、はぁっ…」
息が苦しい。呼吸が上手く出来ない。
フーゴ「げほっ、ごほっげほっ…!」
でも、あともう少し。あと数歩を踏み出せば、兄貴の部屋だ。
フーゴ「はぁ、ふぅ…ふぅ…」
何とか呼吸を落ち着かせて、また歩み出す。そして、目の前の扉を開けた。 引きずるような形で何とかベッドまで来ると、なるべく衝撃がこないようにゆっくりと下ろす。
フーゴ「っ、はぁ…はぁ…」
力尽きてそこにへたりこんだが、別に困ることはないのでとりあえずそのままぼけーっとすることにした。何か眠てーな。俺も寝ようかな。
フーゴ「…」
いやちげーーーーーっよ!!!!!!
コイツ体調崩してるんだったわ!!!バカか俺は!!!
体温計、氷のう、薬!おらさっさと用意するぞ!!んで寝るぞ!!!(ヤケクソになった爆弾魔の図)
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side:フーゴ
とりあえず一通り物は揃えたので、宣言通り寝よう。そうしよう。
コンコンッ…と、誰かが扉を叩く音が聞こえるが、無視。俺は眠いんだ。寝かせてくれよ。兄貴の布団 に顔を埋めて、本気で寝ようと思ったが、扉が開いたのでそうもいかなくなってしまった。
フーゴ「…パイソンか」
パイソン「無事に運べたようで何よりだ」
パイソン「とりあえず、卵粥を作ってきた。オスカーが起きたら食べさせてやってくれ」
フーゴ「ん…おう…」
パイソン「眠そうだね」
体力尽きたかい?と問いかけてきたが、なんか言い方が癪だったので無視した。というか、体力尽きたというより映画で寝てなかったから、その分の睡魔が今襲ってきてるという方が正しい気がした。
パイソン「とりあえず、何かあったら呼んでくれ」
フーゴ「おう…」
パイソン「……眠たかったら寝ればいいよ」
本当は良くないけどね。と付け足されたが、その言葉に甘えて寝ることにした。
パイソン「おやすみ、ボマー」
パイソンが部屋から出ていったのを確認したあと、顔を布団に埋めながら、色々と考え事をした。
いつから体調が悪かったのか。
映画に誘った時から既に体調が悪かったのか。
映画の内容とか頭に入ってなかったんじゃないのか。
兄貴の事しか考えてねーな。それに兄貴‼️ことを考えると、なんで体調悪いことを隠してたんだよ。と怒りが少しだけ湧いてくる。とりあえず少しでもこの怒りを収めるため、今日観た映画の事でも考えようとしたが、それよりも眠気が勝ってしまったらしく、ゆっくりと意識は落ちていった。
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side:オスカー
額が冷たい。でも身体は熱い。
さっきまで俺は何をしてたかを考えながら、重たい瞼を開けた。
どうやら俺の部屋のベッドで寝かされていたらしい。額が冷たいと感じた理由は、氷のうを乗せられていたからだった。この状況から、熱を出して倒れたんだと分かった。
ゆっくりと身体を起こすと、フーゴが布団に顔を埋めて寝ていることにようやく気づいた。グースカ寝息をたてて眠る弟は、幼い頃一緒に寝てくれていた小さい弟と重なった。
とりあえず頭痛が酷いからもう1回寝ることにした。
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side:フーゴ
フーゴ「んあ……」
ぼけーっとしつつ目を擦って、どんくらい寝てたのかなーと考えた。時計を確認し、それなりの時間寝てたことを自覚する。それと同時に、頭に看病という言葉が浮かんできた。しまった、何もしていない。 パイソンが運んできてくれた卵粥はとっくに冷めてしまっている。あっためてくるか。
ゆっくりと立ち上がって、卵粥の器を持って部屋から出た。
ノエル「あら、フーゴ。おはよう」
フーゴ「ん…はよ。粥あっためにきた」
ねみー。と呟きながら卵粥をレンジに入れて、少しの間スラッグと話して、すぐに兄貴の部屋に戻った。
なるべく控え目に扉を開けた。兄貴はまだ寝ていた。近くの椅子を引っ張り出して、椅子に腰掛ける。さっきまで散々寝てたから、眠気はない。兄貴の小さい寝息を聞きつつ、そういや薬飲むための水がねぇな、と思った。急いで取りに行って部屋に戻ったら、兄貴は既に起きていた。
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変なとこで切ってすみません…
あとがきです!ぼんやり書いてたら前編より結構長くなってたのでここで切ります!
2023/12/10 本文を1部修正しました。