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学校は開放はされているものの生徒の数はまばらだった。


夏期講習の仕上げとなった三校合同模試バトルが終わり、土日を挟んだ来週からは新学期が始まる。


つかの間の夏休みを皆家でのんびりしているのだろうか。


右京は生徒会室から、アップやパス練習など、明後日の本番に向けて調整を続けているサッカー部を眺めていた。


「――――なんだ、いたのか」


生徒会室のドアが開かれ、諏訪が入ってきた。


「まあな。生徒総会の準備」


右京は窓を閉めると、起動したままスリープ状態に入ってしまったパソコンの前に座り、キーを叩いた。


「―――お前さ」

諏訪は低い声で言った。


「昨日、蜂谷と一緒に生徒会室に行っただろ」


思わず顔を上げる。


「教室に忘れ物したから取りに行く途中で、蜂谷が生徒会室に向かっていくのが見えたから」


「――――」


会話を聞かれたのだろうか。


右京が顔色を窺っていると諏訪はふっと笑った。


「あんまり部外者入れんなよ。一応生徒会室なんだから」


「あ、ああ。悪い」


どうやら会話まで聞かれていなかったらしい。


右京はほっとすると、起動したパソコンの生徒会と書かれたフォルダーをクリックした。



「怪我の具合は?」

諏訪が長机に鞄を下ろしつつ言う。


「変わんないよ。ほっといて治るもんでもないし」

言いながら右京はパソコンにパスワードを打ち込んだ。


「ほっといて治んないならどうするんだよ」

「再来週、手術」

「はあ?」

諏訪は驚いて右京を覗き込んだ。


「複雑骨折してたんだけど、俺が放っておいたもんだから、変な形でくっついちゃってるんだ。それをちゃんと更生して、おかしくなったところに人工関節入れて、そんで終わり」


「―――終わりって、入院すんのかよ?」


「2日くらいな」

言いながらキーボードを叩き始めた右京を、諏訪が怒ったように見つめる。


「タイピングは平気なわけ?」


「なんとか。物を持つのが痛くてダメなんだ」


「――――」


諏訪はなぜか黙り込んでこちらを見下ろした。


「諏訪?」


その目つきに違和感を感じ、右京は手を止めて諏訪を見上げた。


「……そうか。痛いんだな」


そう言うと諏訪は今しがた自分が長机に置いた鞄を払い落とした。


「おい……?」


言った途端、痛い方の腕を掴まれ右京は引き上げられた。


「……ッ!!痛いって!」


無理やり立たされたと思ったら、今度は長机の上に押し倒された。


「……ぐっ!」


頭を強打し、目を瞑る。


「………右京」


低い声が降ってきて、右京はなんとか片目を開けた。


「永月といい、蜂谷といい、……いい加減にしろよ」


自分を押し倒した諏訪が長机に片膝をつく。


「―――お前、何考えて……」


「勝手に首突っ込んで、勝手に傷つけられて戻ってきやがって」


「はあ!?」


「言ってもわかんないなら、こうするしかねえだろ……」


両腕を頭の上でまとめられる。


「俺にしとけ、右京……!」


数秒前まで、なんの疑いも持たなかった親友に、右京は唇を奪われた。



◆◆◆◆◆


「んん…ッ!!や、めろよ…!」


無理やり顔を背けて唇を外した右京が諏訪を睨む。


「なんでこんな……!」


「なんで、だぁ?」


言いながら諏訪は片手で右京の両手を抑え込み、空いたもう一つの手で小さな顎を抑え込んだ。


「お前の鈍感力は世界レベルか?男にこういうことをされるまでいつも気づかずのほほんとしやがって…!」


「――――!」


右京の目が、諏訪の左右の目を往復する。


「俺がお前を今までどんなに守ってきたか、知らないんだろ……!」


「―――何の話だ……?」


「こんなに……こんなに守ってきたのに……!お前は……!」


「――――っ!」


抑えつけた小さい顔の上で、戸惑い歪んでいる唇に、もう一度自分の唇をつける。


「んん…!」

ぐいと頬に爪を立てる。


「ンぐッ!」


痛みで開いた口に舌を挿し入れる。


自分よりもずっと小さい舌に、先端を這わせ根元まで嘗め上げ、掬い嘗めるように吸い込む。


「ぁあ…ッ」


顎から力が抜けたのを確認すると、その手を下に滑らせ、ネクタイの結び目を引っ張り緩める。


ボタンに手をかける。


右京が先ほど暴れたせいで衣服が突っ張り、首を絞めていた。


少し無理やりにボタンを外す。


「……う……」


右京の唇から苦痛の声が漏れる。


擦ったためか、制服の襟に血がついた。


「くそ……」


唇を離し、右京を真上から見下ろす。


自分に組み敷かれ、両手を抑えられて、口の端から垂れた涎を拭うこともできず、首から血を流している右京を。



―――なんだよ。


首がちょっと切れたくらい、なんなんだよ。


お前は膝を捻挫して、今度は手首を複雑骨折して。


そんな小さな怪我、何ともないだろ。


何ともなかっただろ!今まで!!



ボタンを上から外していく。


「諏訪……!やめろ…!」


インナーの中に指を滑らせそれを捲り上げる。


「………んだよ、これ……!」


消えかけて入るが、上半身にはたくさんの愛撫の痕が残っていた。


まるで、「俺のものだ」と主張するかのように。


蜂谷の少し垂れた目を思い出す。



―――全部……全部消してやる……!


その痕に強く吸い付き、噛みつく。


「っ!!やめろって……!」


「黙れよ……!」


うるさい口に人差し指と中指を突っ込む。


噛まれたらただでは済まない。


でもこいつは―――。


―――俺を、噛んだりしない。




見えるだけ全ての痕を吸い尽くし噛みつき、痕を上書きすると、右京のその色素の薄い突起に舌を這わせた。


「諏訪……!」


右京の口から吐息が漏れる。


突起を口に含み軽く吸って口内の空気を抜いてから、舌を動かす。


「……う……あぁ……はぁッ……!」



指を入れているため、唇から漏れる声が、息が、諏訪の身体を否応なく熱くしていく。


一度その指を抜き、右京の唾液でぬめったそれを突起に塗り付ける。


ヌルヌルとした感触に、右京が腰をくねらせ、自由な足をバタつかせる。


「……めろ……!いやだ、こんなの……!」


「何がいやだ、だよ。こんなにイイ反応しやがって……」


「嫌だよ…!お前とこんなこと……したくない……!」


「この……!」


そのバタつく中心にある股間に、膝の突起をつけて軽く押し込む。


「ぅぁあああッ!!」


痛みに右京が悲鳴を上げる。



本当に―――。


本当に、痛覚が戻ったんだな。



あんなに―――。


あんなに暴れまくってたのに。



骨が折れても、


体中から血を流しても、


内臓が傷ついてもお構いなしで―――。



そう、それは―――。


赤い悪魔と形容されるほどに―――。



「―――俺じゃ」


痛みに涙を浮かべた右京に、諏訪は顔を寄せた。


「俺じゃ……ダメなのか?」


「――――」


右京がこちらを見上げる。


「……俺は、このまんま。……お前の目に見えてる俺だよ。裏の顔なんて、ないから……」


「――――」


「今まで通り、たまに喧嘩したり、互いの頭叩きあったり、突っ込んだり、振り回されたり、怒ったり、笑ったり、するかもしれないけど」


「……諏訪?」


「俺はお前のこと、騙したり、傷つけたりしない」


「――――」


右京の薄い胸が上下する。


「……お前のことが好きだよ。きっと、お前が思うよりずっと前から」


「…………」


「俺にしとけ。俺で我慢してくれよ。右京……!」



右京の大きな目に涙が溜まり、それは瞬く間にこめかみに向かって流れ落ちていった。



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