廊下の暗がりに、二人の影が重なる。
葵は、冷たい笑みを浮かべて立っている。
対する詩音は、震えながらもナイフを握りしめる。
「――葵。」
詩音の声は、震えていた。
薬が切れたことで体中が叫び、精神が崩れそうになる。
葵は目を細め、詩音をじっと見つめた。
その視線の中には、冷徹な光と、暗い深淵のようなものが宿っている。
「”薬なし”で立っていられるなんて……」
葵は優雅に歩み寄る。
その歩みには一切の迷いがない。
「でも、勝てると思ってるの?」
詩音は力強く一歩踏み出すが、手が震えてナイフの刃が彼女自身の手を切り裂いた。
それでも、彼女は笑ってみせる。
「私は……私は、戦える!」
詩音が叫ぶと、葵は軽く息を吐いた。
その表情は、少しだけ悲しげだった。
「戦える? ふふ、可笑しいわね。あんたはただ、”薬”に依存しているだけでしょ?その”力”が無ければ、ただの”臆病者”よ。」
葵の言葉に詩音は一瞬、動揺した。
でも、そのすぐ後に目に浮かんだのは憎しみ。
“薬”が無くても――
「私には、私にしかない”強さ”がある!」
詩音は叫ぶと同時にナイフを振り下ろす。
しかし、葵はそれを軽々と避け、冷笑を浮かべながら言った。
「強さ? 違うな、ただの依存症だ。」
詩音は一瞬固まった。
その瞬間、葵が言葉を続ける。
「強さってのは、”自分”を信じる力だ。あんたはただ、弱さを隠すために薬に頼ってるだけ。”それ”が強さだと思ってるだけだ」
詩音は一歩後退し、涙をこらえながら拳を握る。
その目の奥には葛藤が宿っていた。
「でも、私は……」
葵はその言葉を遮るように、冷徹な声で言った。
「死が怖いから、薬に逃げる――そんなの、”強さ”じゃないわ。」
葵の言葉が詩音の胸に刺さる。
その言葉の重さに、詩音は膝をつき、地面に手をついた。
その瞬間、葵が冷たく微笑んだ。
「でも、私にとっては、”弱さ”も”ゲーム”に過ぎないの。」
葵の言葉は、冷徹で鋭く、詩音を打ちのめした。
コメント
2件
今回も神ってましたぁぁぁ!!! あー、確かに、、、誌音たんは依存症ですわ(( ヤク中って怖いね、、、() アオたん闘いとかじゃなくて言葉で気づつけてくんの優しい、、いやそんなことないか?(( まあ今の誌音たんはちょっとしたことでもああなってしまうということだね、、、 次回もめっっっっさ楽しみいいいいいぃ!!!!!
2人は仲間なのかな…?ちょっと仲間良さそう(続きも楽しみです!