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ウィス・フィンは、護井会の使者に連れられて、井戸都市《イド=カタコンベ》中層の一角、立入禁止とされた旧施設へと足を踏み入れていた。
「え、ここって……旧第七井戸管理区画じゃないの?崩落して封鎖されたはずじゃ……」
「お察しの通りだ。だが、最近になって“何か”が目覚めたようでね。我々には負えん。……いや、君でなければ、というべきか」
「ふざけんなよ!?俺、掃除屋だぞ!?」
「そうだ。だからこそ、掃除してもらおう。過去の汚れをな。」
扉の奥から、再び“あの音”が聞こえる。
ギィィ……ズチャアアア……
濡れたコンクリートを這いずるような音。空気が重く、じめついた湿気に、ウィスは無意識にバケツを握りしめた。
「また掃除か……」
だが、今回は違う。出てきたのは、かつて実験的に“合成”された人工魔物の残骸――。
「……うん、こいつ、普通にヤバくね?」
依頼対象:ウィス・フィン(Wiss Finn)
依頼番号:G-0F-W77
「対象は中層居住者にして、井戸管理補助業務に従事。魔物“排除”の実績あり。ただし使用手段は非武装であり、詳細不明。
魔力検知値:測定不能。
戦闘能力:測定不能。
適性評価:特殊汚染耐性あり。要観察。
本依頼は、旧第七井戸区画における『黒水の回廊(シュヴァルツ・アクアダクト)』内で発生した異常事態の解決を目的とする。
※対象には真の目的を告げないこと。
※“処理不能”と判断された場合は、対象ごと区画封鎖せよ。