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Dream of memorY.6
ー『私の名前、決めてくれた?』
学校に着くと、あの子がすぐに訊いてきた。
名前は、決めている。
だけど、どうなんだろう。
銅色のことも琥珀という石も、詳しくは知らない。
そして、この子も、
人狼。
だから、この名前は…
あまりにも酷すぎる。
そう気づいたのは、朝だった。
学校に着くまで、他の名前を考えていた。
けど、何がいいのかなんてわからない。
だから、
『人間。それがお前の名前だ。』
この子も、普通の人間なんだ。
だから、それでいい。
『にんげん?………やだ、』
やだ、か。
え?
『おい!ふざけんなよ!一生懸命考えたんだぞ!』
まぁ、俺も人間という名前をつけられるのは嫌だけど…
『他のがいいな…』
他って言われても…
それこそ‘わから.ない子‘だぞ?
あ、
あの時見た花の名前、
たしか、
『桜。』
思い出した。
これなら、いいだろう。
『甘ちゃん、何か隠してるよね?』
『え?』
ば、バレてたのか⁉︎
って、
『おいおいおいおい!なんだよ甘ちゃんって!俺のことを言ってるのか?甘もちゃんも似合ってないだろ!』
『似合ってるよ?そう呼んじゃ、だめ?』
『ダメだ。』
明らかにおかしいだろ!
『それより名前。何かあるんでしょ?教えてよ。』
勘のいい奴め。
絶対嫌がるだろうに…
『銅.琥珀[アカガネ.コハク]。銅色の銅でアカガネ、琥珀という石から取ってコハク。でも嫌だろ?だから、もう少し考えさせてくれ。』
『どう?あかがね?こはく?』
あの子の頭の上に、クエスチョンマークが見える…
気がする。
『銅はお前の髪みたいな色で、漢字だとアカガネとも言うらしい。琥珀はお前の目みたいな色の石のこと。…お前のこと、考えてなかった。嫌だよな、そんな名前。』
俺も、自分の髪と目が嫌いだ。
それなのに、しばらく気づけなかった。
他人のことになると、どうでもよくなってしまう。
それが、
最低な、俺だ。
『カッコいい、その名前がいいな。』
『え?』
『あかがね、こはく?がいいな。』
あの子は、目を輝かせていた。
『本当に、いいのか?』
『うん!』
あの子が、嬉しそうにしていた。
『そうか。』
本当に、それでいいのかな。
わからない。
『私のために、素敵な名前を考えてくれてありがとう、甘ちゃん!』
甘ちゃんって呼ぶなと言ったのに…
なぜか、嫌な気持ちにはならなかった。
俺は呆然としていた。
あの子が見せた笑顔。
心が暖かくなる。
この子の笑顔を見ていたいと、
思うようになった。ー
第二章.END