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※須藤北斗視点
宮子ぉ、宮子ぉ……。
なんで俺のメールを返してくれないんだよぉ……。
前はすぐに返してくれてたのに、既読無視ってなんだよぉ……。
「やっぱり、お前もなのか……?」
雫も、彩花も、弥生も。
全員俺の下から離れていった!
俺様の下を……!!!
「うぅ……」
涙が出てきそうだ。
この胸の喪失感を満たせるのはやっぱり宮子しかいない。
なのによぉ……こりゃねぇだろぉ……。
「北斗様、おそらくこの辺かと」
運転手が後部座席に乗る俺に声をかける。
「……おそらくってなんだ。おそらくってなんだこの野郎ォッ!!!」
「ひぃっ! ご説明しましたよね⁉ 荒瀧組の組員が瀬那様の周辺で控えていると! だから慎重に後を追わなければならず……」
「……チッ!!!」
前までは宮子のことをこの身をもって見守ってやることができた。
ほら、宮子はあんなに可愛いわけだし、悪い虫が付くかもしれないしな。
というか実際、こないだ九条の野郎ォと公園で会ってたわけだし。
でも何故か荒瀧組の奴らが介入してきて、あぶねぇとか父さんに言われて!
こんなにコソコソして見守らなきゃいけないとか、なんなんだよ!
「あァークソッ!!! むしゃくしゃするぅぅううううう!!!!」
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。
今すぐ宮子を抱きたい。抱きたい……。
宮子は俺様専用の女なんだぁ!!!
「北斗様! あちらをご覧ください! 瀬那様です!」
「なにぃッ⁉」
食い入るように窓の外を眺める。
この車の窓は外からは中が見えないような加工が施されている。
つまり、死ぬほど見放題ってわけだぁ……ヒヒヒヒ!!!
さて、俺様の宮子を久しぶりに見て、しっかり栄養を……。
「ッ⁉⁉⁉⁉⁉ な、なんだとォッ⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉」
目に飛び込んでくる、衝撃的な光景。
お、俺の宮子が。
俺の宮子が……九条と密着してるゥ⁉
う、嘘だろォ⁉
俺の女のはずが、なんでまた九条といやがる⁉
それにあんなに密着して……ありえねぇ、ありねぇ!
つーかあれ、ハグだよなァ! 抱きしめちゃってるよなァ⁉⁉⁉
宮子のおっぱいが、九条に当たっちまってるよなァ⁉⁉⁉
許せねぇ……許せねぇ!!!
その女は俺のモンだぞ……!!!!
や、ヤバい!
頭がおかしくなる!!!
全校集会以来だ! この感覚はァ!!!
いや、もしかしたらそれ以上のォ……!!!!
うぐっ、くっ……!
「うがぁあああああああああああああああ!!!!!!」
「北斗様⁉⁉⁉」
胸が苦しい!
頭が痛い!!!
畜生が……畜生がぁあああああ!!!!
「クソ野郎ォオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
俺の宮子だぞ!
なのになんでお前が触れてやがんだ!!!
俺が真っ先に触れたいのに!
俺を満たせるのは宮子だけだし、宮子を満たせるのは俺だけのはずだァ!!!
はぁ、はぁ、はぁ……。
「会いたい、宮子に会いたいぃ……」
会ってすぐにその口をふさいで、全身を舐め回したい!
豊満な胸も、顔も、脇も、足も、指も、全部全部!!!!
「宮子ぉ……お前しかいねェんだよぉ……」
もう何も考えられねェ。
ただ一つ、俺にもわかること。
それは――宮子を力いっぱいに支配したい。
宮子で全部を満たしたい。
あんな奴に、汚される前に……。
「今すぐ地下室に向かえェ……」
「で、ですが」
「今すぐに行けェ!!!!!」
「は、はいっ!」
車が発進し、どんどん宮子から離れていく。
「宮子ぉ……待ってろよぉ。俺がお前も、幸せにしてやるからなぁ……」
自然と笑みがこぼれてくる。
やべ、なんか楽しい……ふへへへ。た、たのじぃ!!!!
「ヒャハハハハハハハハハハハ!!!!!!!」
待ってろよォ……宮子ォ……♡
♦ ♦ ♦
自室のベッドに寝転がる。
「もう夏休みも終わりか」
机の上に置かれたカレンダーのほとんどにバツがつけられている。
特にこれと言って何かあったわけじゃない夏休みだった。
「最後に何かしようかな」
「いいんじゃなぁい? ひと夏の思い出、みたいな感じでさぁ」
「うーん」
「あっ、そうだ」
瞳さんが寝返りを打ち、俺の背中にぴとっと密着すると腕を俺の胸辺りに回してくる。
甘い吐息が、俺の耳を撫でた。
「“大人”な思い出、作っちゃうぅ?」
「作らないから。というか、昼寝するなら自分の部屋のベッドで寝てくれよ。俺も寝たいんだから」
そう言いながら、瞳さんの拘束を払いのける。
しかし、「えぇ~ん寂しぃ~」と言いながらコアラのようにしがみついてきた。
その度に柔らかい感触や甘い危険な香りがして、否応なしにドキドキさせられてしまう。
昔からそうなので、もはや慣れてきているが。
「というか、逆によくこんな無防備で“抱いてください”って言わんばかりのお姉さんと添い寝してて我慢できるね?」
「何年この攻撃を受けてきたと思ってるんだ」
「そろそろ屈してくれてもいいじゃ~ん」
「ダメだって」
「やぁ~ん」
瞳さんと攻防を繰り広げていると、机の上のスマホが鳴り始める。
すっと拘束から逃れて立ち上がると、画面に表示されていた名前を見て驚いた。
「瀬那?」
――なんだろう、この感じ。
すごく嫌な予感がする。
「もしもし?」
意を決して電話に出る。
すると瀬那は息を荒くさせながら、叫ぶように言った。
『萌子が……萌子が!!!!』
「……………は?」