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─くん。何だ、今の?そう思い、俺は声の聞こえた方を見上げた。赤い空。黒い雲。降り注ぐ大量の紅い雨は、血みたいな生臭い匂いがする。
見覚えのない景色のはずなのに、どこか懐かしい感じがする。
懐かしい、とは少し違うか。
もちろん俺はこんなとこに住んではいないが本当はここに居るのが正しいんだ、と脳に直接吹き込まれているような、不思議な感覚だ。
─渋谷くん。
また、天から声が降ってきた。
雨が地面を叩きつける音ではっきりとは聞こえなかったが、誰かが俺の名を呼んでいるのだけはわかった。
─渋谷くん。聞こえる?聞こえてるかな、わたしの声。
声はどんどん鮮明になっていく。
何故かは分からないが、その声を逃してはならないような気がした。
─渋谷くん。一つだけ、お願いがあるの。
俺に頼み事?ますます正体がわからない。
─渋谷薫流くん。わたしを、魔月乃亜を、消して。