湯バーバとの対話シーンはめんどくさかったので、飛ばします。衣装を選ぶシーンです。名前はcoe.から聲になりました
「聲は何色がええ?」
「えー僕赤がいいなー」
「チビやからなぁ。赤か〜…」
「チビって言うなよ!w」
「うるさいなぁw叫ぶなやw」
「あれ、れるち帰ってたんだ。」
突如背後から男の子の声が聞こえた。少し鼻にかかった、可愛らしい声。
「あ、如優くんおかえりー。新人入ったで」
その男の子は聲の方を見るなり、ニッと笑って見せた。黄色い大きな目が細められ、緑色の髪の毛が揺れる。
聲より僅かに低い身長。可愛らしい見た目は、男女問わず誰でも虜にできるだろう。
「如優さんだよ。よろしくね。」
「おっけ。僕聲。こえちむって呼んでね」
「わかった!よろしくね!」
「なあなあ如優くん。赤い袴ってどこに置いてあるかわかる?」
「えーっと、確かね、赤じゃなくて朱色ならあるよー」
そう言って如優が取り出したのは、朱色の半ズボンだった。
「おー、それええ感じやん。じゃあ聲はこれ着といて」
「はぁい」
「あれ、れるち、如優さんどうしたのその人」
後ろから爽やかなイケメンボイスが聞こえてくる。振り返ると、そこには茶色い髪の毛に青い垂れ目を持った青年がいた。衣装はくすんだ蜜柑色で、白い帯がアクセントになっていた。長ズボンで青い扇子を持っている。
「あ、くにお!こいつ新入りやねん」
「新入り?あ、さっきの人か。」
くにおと呼ばれた青年はこちらをキョトンと見つめた。首に「💤」の文字が書いてある。青年は細い目をさらに細めて、にっこりと笑った。
「俺、邦。さっき見たよ。聲でしょ。よろしくね。」
「あ、うん。あれ?後ろの人…」
邦の肩越しに、紫髪の青年がこちらを見ていた。烏帽子を被って、紫の狩衣を着ている。青紫の切長な目が、こちらをじっと捉える。
「あー…新入りね。さっき見たわ。」
「この人はこったろ。みんなこったんって呼んでる。」
「なんだっけ名前。こえくん?」
「聲ね。」
「てかお前はよ着替えてこいや!wいつまでその格好やねん!w」
「あー、忘れてたw着替えてくるね」
「この店はお風呂屋さんで、神様とかがお泊まりになるんよ。いつもはこの5人か、こたゆうの大人組とれるくにの子供組で働いてる。っつーことは聲は子供組確定やな。」
れるについていく途中、こう言われた。れるは聲より身長が少し低い。少し低い位置にある白い髪の毛は、青みがかったグラデーションをしている。綺麗だな、と口の中で独りごちる。
「あそこの札をひっくり返して、仕事開始。今日は5人らしいで。」
神社にある絵馬掛けのような板に、ずらりと札が並んでいた。その中の「聲」と書かれた札をひっくり返す。
担当場所へ向かう。今日の担当は…とこったろがキョロキョロとする。
「ねぇねぇこったん。」
「うん?」
こったろのそばに、邦が近づく。耳に口を近づけ、何か囁いている。何を喋っているんだろう。邦が話し終わると、こったろはびくりと肩を振るわせた。邦が微笑む。こったろは驚いたように邦を見つめると、照れたようにあはは、と笑った。
「え、何話してん」
「ふふ、いや何も。」
邦が目を細める。なんだか見てはいけないものを見てしまった気分だ。
「あれ、如優く…」
さっきまで隣にいた如優がいない。辺りを見回すと、如優は蛙男と何か話していた。
「おーい、ゆさんたち今日はいれいすさんとシクフォニさんで合同だって」
如優は手を大きく振りながらいった。いれいす、シクフォニ。誰のことだろう。
「合同でどこ担当するの?」
邦が顎に手を当てながら尋ねる。蛙男は帳面を捲りながら言った。
「今日は三組で大湯だ。」
そう言った途端、れるが顔を顰めた。
「大湯かぁー。まぁ三組いるから大変ではない…かな?w」
「ってか、早く行かないとお客さん来ちゃうよ!早く行こう!」
如優が急かす。急いでその大湯という場所へ向かう。通りすがる部屋には、大きな湯船が一つずつ設置されていた。延命湯、硫黄湯、塩湯…いろんな文字が書いてあり、中を掃除する人がニヤつきながらこちらを見ていた。
「れる達、今日大湯なんだってな」
一人の少女が言った。れるは舌を突き出しながら「17人いるからいいんですー!」と煽る。
大湯は一番奥の大きな部屋だった。体育館くらいの部屋に大きな円形の湯船が一つ。周りには細い草がたくさん落ちていた。
「うーわここ全然洗ってないやん」
「まぁ、やるしかないでしょ」
そう言って中に入る。大きな束子と刷子で床や壁を擦る。子供組が湯船の中、大人組は床を掃除する。
「ごめーーーん!すたぽらぁ!!遅れてごめん!!」
突然男性の声が聞こえた。湯船に登って顔を出すと、そこには6人人がいた。桃色の髪の毛をした男性、青い七三分けの青年、赤いポンパドールの少年、水色の跳ねた髪の毛の少年、白っぽい紫の髪の少年。そして…
「あれ?あの人、」
さっきボイラー室で見た、悠佑がいた。彼等は全員大きな刷子箒と石鹸を持っていた。
「おー!やっと来た!」
「くにお、あの人たちだれ?」
「いれいすさん。桃色の人が無威子さんで、青い人が医符さん。黒ときいろの人が悠佑さん、赤い子が纚浦さん、水色の子が佛くん、白いのが初兎くんで、肩に乗ってるのがらびまる。」
「ふーん…」
いれいすは桶に入った石鹸水に刷子箒を浸し、床に擦り付けながら走り始めた。その中の3人…纚浦、佛、初兎が湯船に入ってきた。
「あれ、新入りおるやん」
初兎がこちらを指差しながら言った。
「あ、えっと聲です!」
「こえくんねー。あ!イムくん逃げたな!?」
「石鹸水取りに行くもーん!」
「ほとけっちサボるのはよくないよー!」
佛が石鹸の桶を持ってくる。懐から水色の固形石鹸を取り出し、束子で泡立てる。
「おぉおぉw」
思ったよりも泡立ちが良く、一瞬で湯船が泡だらけになった。
「この石鹸泡立てるとめっちゃ泡出てくるし、めちゃくちゃ落ちr…おえええええっ」
石鹸の泡が口に入ったのだろう。急に顔を真っ青にして嘔吐しそうになる。
「ちょぉイムくんこんなとこで吐かんといて?せっかく洗っ…うわにっがぁ!?!?」
湯船の壁を擦ると、一瞬で汚れが落ちる。この石鹸すごいな…
「あーめっちゃ石鹸の匂いするwどこで買ったのw」
邦が笑いながら尋ねる。佛は手を振りながら言った。
「いやもらったの!めっちゃいい匂いするでしょー!」
確かに、湯船の中だけでなくこの空間自体石鹸の匂いがする。
「いむくんの石鹸すごいよなぁ」
「あ、先に始めてるわ」
「すまん遅れた!」
「すちが寝坊するからや!」
「二度寝だよぉ」
「わぁあそんなこと言ってる場合ちゃうよ!はよせんと!」
「こさめ湯船の中やる!」
「待て待て!w」
入り口から騒がしい声。振り向くとおそらく最後のグループ…シクフォニの面々が揃っていた。
「うーわ、俺たちが最後かよ」
濃い紫色の跳ね毛の青年は言った。後ろで眠そうな緑色の髪の毛の青年、黄色い髪の毛の少年、金髪に「72」のヘアピンをつけた青年、先ほど橋の上で会った水色の男の子、そして
「あ、」
「あっ、」
蘭という名前の少年。聲と目が合うなり、気まずそうな顔をした。
「ほら蘭。新入りに惚れてないでさっさと仕事しろ」
「だれが惚れてるんやw」
「www」
ずいぶん仲がいいな。そう思いながらあわだらけの浴槽にだれか入ってきた。
「おわぁ!めっちゃ泡立ってる!」
黄色い髪の毛の少年が驚いた顔をして言った。
「新入りくん!おれみこと。」
みことはそうやって笑った。邦と雰囲気が似ている。王子様キャラみたいだった。
「おうw泡すげぇじゃんw」
後ろから来たのは「72」のヘアピンが特徴的な青年。
「俺暇72。蘭から聞いたぞー!」
「俺いるまな。」
「あー、よろしく!」
湯船の外から楽しそうな声が聞こえてくる。何か言おうと口を開いた時、口に石鹸の泡が入った。
「うわあああ苦っ!?!?」
「www」
「わぁ!?大丈夫?」
「うん全然大丈夫w」
「ほらイムくんが泡立てすぎるから」
「別に僕のせいじゃないし!!」
「ほらほとけっちちゃんと仕事して!」
「おーい!一番客くるぞー!」
蛙男の声がする。無威子がめんどくさそうに返事する。
「あーい今すぐ!!!はぁ、ちょっとみんなお湯入れるから出てー」
まだ泡が残る湯船から出る。泡で足が滑って、床に滑り落ちる。
「いっっっったぁ…」
「聲どんくさいなぁ」
「大丈夫そ?」
頭が痛い。急いで湯船から離れる。
「あーそうだこえしー!番台から札とってきてー」
無威子が言う。はーい、と返事をし、外に出る。あれ、番台ってなんだ。
「ほら、ついてったるわ」
後ろかられるがひょこっと顔を出す。エメラルドとサファイアのような瞳がこちらを見つめる。
「どうせわからんのやろ?れる天才やからついてったる」
「天才なんだw」
半透明のれるの瞳は、本心が読み取れないほど美しく濁っている。無表情ではなく、なにか別のものを写している気がする。ギリギリ透けて見える本音が、聲にとっては怖かった。
「柔湯の上ください。大湯一番客。」
れるは番台の蛙男に言った。蛙男は赤い木の札を取り出して、れるに渡した。れるはぴょいとジャンプして木の札を受け取ると、急に聲の手を掴んで、もと来た道を走っていった。あまりに突然のことだったので、聲は目を白黒させる。
「ねええこたぁあ」
「くにお!?」
「いふくんのばかぁ!!」
「は!?お前の方が馬鹿やろ!!」
「眠いよぉ」
「すちくん!!寝たらあかんよ!」
「おい蘭どこ見てんだよ」
相変わらず騒がしい大湯部屋で、無威子だけが頭を抱えて俯いていた。そこに透き通った高い声が響く。
「ないこくーーーーん!!!柔湯の上!!」
ハッとして顔を上げると、れるが聲の手を掴んで、こちらに駆けて来た。引っ張られている聲が紫色の瞳を瞬かせながらついて来た。れるは木札を持って、無威子に手渡した。れるの小さい白い手が、無威子の手のひらに重なる。柔らかな肌の感触が、どこか懐かしかった。
「はい、じゃああとは無威子くんがやってね」
れるはにこりと笑うと、皆の元へ走っていった。
「みんなーー!!!お湯入れるから一旦出てーー!!」
無威子が叫ぶ。先程まで騒いでいた皆も静かになり、端の方に寄って行った。
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