*第五話* . どうせ _ 。
僕のことを知った征四郎は 、 みんなにも知ってもらおうとした 。
その方が僕の為になると思って考えてくれたんだ
でも僕は 、 みんなには知られたくない 。
ムッシュが僕のことを知れば 、 僕に医者を辞めるよう言うと思うんだ 。
僕は征四郎とずっと一緒に居たい
だからここからは離れたくないんだ … 。
征四郎はこの僕の気持ちを分かってくれるのかな …
「みんながお前の現状を知れば 、 いちいち説明しなくて済むんだぞ ? 」
征四郎はそう言った
征四郎の言っていることはすごくよく分かる
僕もいちいち人に説明するのは面倒だ 。
でも … ね … ?
僕は返事ができず 、 黙り込んでいた 。
伝えるべきなのか 、 伝えない方がいいのか 。
征四郎も黙り込んでいる
僕から話を切り出さないと …
「ねぇ 、 征四郎 … 」
「なぁ 、 お前は … 」
話を切り出すタイミングまで同じとは … 。
双子を感じるね (笑
征四郎は 、 僕と一緒に暮らすことに 、 賛成してくれるのだろうか ?
もし賛成してくれるのであれば 、 僕はムッシュの判断で医者を離れる 。
ムッシュが良いと言うのなら 、 残る 。
賛成してくれないのであれば 、 僕はムッシュに何も聞かない 。
征四郎とずっと一緒にここに居る 。
征四郎 、 征四郎はどちらを選ぶの ?
「お前は 、 何を望んでんだ ? 」
今聞くべきだ ! 僕 ! 早く ! ! !
……… 。
口が開かない … 。
いや … 違う …
何を伝えるのか … 忘れたんだ ……… 。
う 、 うそ … だ …… 。
どうして … 、 僕は何を伝えたいの … ?
何に悩んでるの … ?
大事な … こと … 。
征四郎 … ? 征四郎が 、 なに … ?
頭を抱え 、 涙を流す僕を見て征四郎は 、
“ 俺に言え ” とだけ言った 。
僕は今 、 何を伝えるべきなんだ …
征四郎に伝えることを忘れたこと ?
思い出そうとすると忘れていくこと ?
それとも全部 … ?
あぁ … 、 もう分からないよ 。
考えたくないよ … !
「どうせ忘れるんだ …… (泣 」
僕の口から出た言葉は 、 本心だった 。
きっと僕はいつもどこかで思っていた
“ どうせ忘れる ” と 。
コメント
2件
天城先生も渡海先生もどっちも辛いだろうな、 言葉に出来ないくらい、この小説本当に最高で大好きです!