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★☆☆☆☆
「谿コ縺」
剣士「危ないっ!」
剣士の言葉でハッとし、意識を戻し敵の波動を避ける。
たちまちさっきまでいた場所が一瞬で荒地と化する。
「っ…!波動でこの威力かよっ!」
敵 の魔術を受ければ俺でもただではすまないと本能が叫んでいる。
それに 回復師のアイツも今ここには居ない。
「(…どうすればっ!)」
勇者も、回復師と狂戦士と共に先に進んでいる頃だろう。
しかも今相手にしている相手はとても一人で勝てる相手ではない。
それに加えて相手の魔術は魔術師の俺と相性がすこぶる悪い。
せいぜい良くて相打ちになるかならないかどうかだ。
剣士「魔術師、先に行って。」
「なんでっ!」剣士「言わなくても分かってるでしょ。」
分かりたくない。言いかけた言葉を飲み込む。
ダメだ。言ったら剣士のいままでを否定することになる。
そう無理やり納得させる。
「絶対来いよ、剣士!!」
剣士「分かってるって、ほら行け!」
そうやって不敵に笑う“無敵の剣士”の背中を超えて次の扉へと手をかける。
最後に聞こえた剣士の謝罪の言葉は、聞こえないフリをした。
_剣士「ごめん魔術師、俺は…」
???『_なにが分かってるだよ、
お前、やっぱり来る気なかったじゃん。』
剣士を置いていった事。
これが、魔術師のひとつめの失敗。
★★☆☆☆
「回復師!!!」
回復師「はあっはぁっ…魔術師?」
千段を超える階段を登って開けた場所、
そこに回復師は居た。
「回復師!なんでこんなっ…」
回復師「魔術師くん…ごめん、もう回復できなくなっちゃった。」
“天使の回復師”と言われている彼も翼は黒く染まり翼は片方だけになっている。
回復が使えない、つまりもう残された命は僅かしかない。
…っ!目の前の死にかけの仲間を前に冷静なこの頭が嫌いだ!
回復師「魔術師くん、泣かないで…」
ごめん回復師、本当は君は天使なのに。
“巻き込まれる”はずじゃなかったのに…
「俺が仲間に誘ったからっ」
言いかけた言葉を零す前に唾と共に飲み込む。
ダメだ、言ったらきっと優しい回復師はそんな事ないって言ってまた無理をするんだから。
回復師「ごめんね、魔術師くん」「はぁ…っ!」
回復師は俺を魔法陣の方向へと突き飛ばした。
「なんで、」
なんて言葉は出てこなかった。
だって、本当は回復師ならこうするって分かってたから。
最後に聞こえた感謝の言葉を聞こえないフリをする事は…できなかった。
回復師「居場所をくれてありがとう、魔術師くん」
???『_なんでありがとうなんて、
結局、独りにさせちゃったじゃん。』
回復師を独りにさせた事。
これが、魔術師のふたつめの失敗。
★★★☆☆
魔法陣で飛ばされた先は、
なんとなく想像がついていた。
狂戦士「来ちゃったの?魔術師。」
魔術師「なんでっ!なんで裏切った!!狂戦士…!!!」
零れた言葉と涙は溢れ出て止まらない。
今更溢れても無駄だと分かってるのに、もう止まれなかった。
既に分かってた、狂戦士が裏切り者だと言うことも。
それでも問うことを辞めるなんてできなかった。
狂戦士「ばいばい、魔術師俺は優しいから優しく眠らせてあげる。」
最後に狂戦士が言った本音は、
最後の最後まで聞くことができなかった。
狂戦士「魔術師、俺_」
魔術師『最後の最後まで、
_本当のお前は居なかった』
狂戦士を信じすぎたこと。
これが、魔術師の、みっつめの失敗。
★★★★☆
そして、
勇者を見届けなかったこと。
これが、魔術師の、さいごの失敗。
★★★★★
でも、
使い魔「起きて、ないくん。
_朝だよ。」
使い魔を助けたこと。
これが、俺《内藤ないこ》のさいしょの成功。
「うーん…あと少し」
莉裏「いや起きろよ!」