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“ 獅音 、 テメェは弱ぇから これでも握ってろ “
そう言ってイザナはオレにメリケンサックをくれた 。 3月21日 、 オレの誕生日に 。
__イザナの死後から1年程経ったある日。
オレ等S62世代は出所した。
その際、王が最期まで守り抜いた下僕を今度はオレ等が守ってやろうと、 そう決めた 。
オレ等より、圧倒的な力を持っているが、まだガキだ。 イザナがいなくなったこともあり 不安定になってると感じたからこその 口約束 。
出所してからムーチョとの連絡が途絶えた。
メールも電話も出やしない、 未読のまま。王に続き、アイツもか……とオレ等は不安になり、ムーチョのことを色々調べ始めた 。
部屋を漁れば、イザナとの思い出の品ばかり。正直うるっときた。 懐かしいものばかりで、この頃のイザナは元気だったなと、改めて感じた。
沢山探して、何もない。と思った矢先、 竜胆が何かを見つけた。 開けば ムーチョの隣にいた 女顔の三途ってヤツの品だった。
ムーチョがイザナの次に目をやっていたヤツ、蘭はコイツを怪しんだ。 と言うより コイツしかいないと言ったような感じ。
この辺りから蘭はかなり不安定になっていたと思う。 アイツはかなり、オレ等S62世代……極悪の世代を大事に想っていたから__。
イザナが灰になっちまったときも、死んだ後も蘭はいつもよりピリピリしてた。 寝起きよりやべえ 。
オレ等は、コイツがムーチョを殺したヤツだと確定すれば殺すと、 そうまた約束をした。
イザナが作り、大事にしてきた極悪の世代。
それを潰されたらたまったもんじゃない。オレ等はイザナに命を預け、着いていくと決めた。
だからこそ、仲間が死んじまったと分かれば動く。 イザナは最期まで ” 天竺にあるのは恐怖と利害のみ “ “ 信頼や友情なんて 身のない 幻想だ “ と仲間との絆を否定していたが それは鶴蝶じゃなくても 嘘だとわかる 。
イザナはオレ等以外の前でも強くあろうとするから、 不死身で何でも出来ると思われがちだけど、実際は何年も初代総長に心酔し誰よりも心は弱いヤツだった。
最後の最期にようやくアイツの本音を聞けたような気がして、オレはその言葉をしっかり心に刻んでる 。
アイツの言葉を思い返す度、オレはイザナの為に何が出来ていただろうと深く考える。 答えはでなくて、 ただ苦しいだけ。 空っぽみてえに。
ムーチョを調べ初めて何日か経った後、 サウスに呼ばれた 。
呼ばれた内容は 強いヤツは他にいないか 。 と言ったもの 。 そのとき鶴蝶は六波羅には在席しておらずオレ等極悪の世代のみだった。
蘭は “ 昔は沢山いたよ 、 イザナなんて… すっげえ強かった “ 懐かしくも愛しくも感じるような瞳と声色で呟くが “ だが黒川イザナはもう死んだ 。 天竺総長でありながら…… 情けねえ 。 銃弾3つで簡単に死んじまうとわな “ サウスはケラケラ 笑いながら 話す 。
オレ含め、その場にいた極悪の世代等の表情は曇った 。
オレは怒りをどうしても抑えられず… ” あ”ぁ” っ ?! テメェは 2発だろうが ッ 。たまたま生き残った野郎に イザナを侮辱する価値ねぇよ ッッ 。 “と声を荒らげサウスの胸ぐらを掴んだ 。
サウスはただただ笑うだけ。 オレの怒りを無視して ” … カッカッカッ、 そういや 天竺には オマエ等雑魚以外にも いたなぁ …。 なんだったか、 … ” しばし考えるフリを しては にまぁ… と笑み零し “ そうだ、そうだ…、 天竺四天王筆頭 … 喧嘩屋と 呼ばれた男… 鶴蝶 ッ ! “
” そいつは天竺の中で最強だったみてえじゃねぇか 。 あの不死身のイザナとタイマンを張り、 勝ちかけた男 。 … 同じチームだったんなら ソイツの連絡先とか色々知ってんだろ? … ソイツ 六波羅に入れる。 “
口が裂けてしまうほど口角を上げ蘭に視線を送るが蘭は視線を逸らし、静かに目を伏せた。
鶴蝶を六波羅に誘うことは、オレ等の中でも予想はしていたが、六波羅を創立した日にいなかった為頭から消えていた。
今誘うとは思わねぇだろ__。
突然の鶴蝶指名に驚き、サウスの胸ぐらを掴んでいたはずの手から力が抜けた。
皆、頬に冷や汗を流して黙り込んでいればモッチーが口を開いた。 ” 鶴蝶の野郎は… アイツはまだダメだ。 “ そう一言サウスに言った。
‘ なぜ? ’ とも言わんばかりの表情を見せ、首を少し傾けた。 そんなサウスの様子を見ては竜胆が後に続くように話す 。
” 今アイツは大事なヤツ失っちゃって、 メンタル落ち込んでんの。天竺が存在してたあの頃よりは、かなり弱くなっちまってるよ。…そんな状態の鶴蝶を六波羅に入れても戦力になんねぇ。 “
竜胆のその表情は、人を騙すときに使った顔に近かった。 本心ではないと分かっているから何も思わない。 オレ含めた竜胆以外の極悪の世代は小さく頷いた。
__どうしてもオレ等は鶴蝶を不良の世界から離さなければならない。イザナが最期まで守り遺したものだから。
/ 没ったのでここまで。 書けそうになったら、更新します。