カラスの鳴き声が響く冬の朝。突然アラームが鳴り響く
『ピピピピピピ』
目覚ましだ。それを止めようとスマホに手を伸ばす少女。その少女の名前は、《井口 杏奈》。高校1年生で髪は黒髪で目も黒。何も変哲もない女の子だ。
(休日ぐらい寝かせてくれ..)
杏奈はずっと鳴っているスマホの目覚ましに叩き起されそう思う。
杏奈は暖かい布団の中から手を出しスマホを取る。
『ピッ』
(あーやっと止まった)そう思い二度寝をしようとするのも束の間また新しい音で目覚めてしまう。その声の正体は….
杏奈の母だった。母は階段をあがりながら杏奈に声をかける。
「杏奈〜?時間だよー!!」
その声に杏奈は疑問に思う。
(休日だし時間とかないでしょ….)
そう思いながらも杏奈の目線はカレンダーに向いていた。
その時ドンドンと階段から母が上がってきた。
母は怒りを感じ取れる声で
「杏奈、もう時間だよ!いつまで寝てるんだよ〜」
と言った。
杏奈はベッドに寝っ転がりながら壁にかけられてあるカレンダーを見ていた。やっぱり休日だ。それを伝えようと口を開いた。
「今日休日だよ?勘違いしてない?」
それを聞いた母は呆れた表情をしながらスマホを取りだし杏奈に見せた。その割れたスマホの画面には 5/2(火) と書かれていた。それを見た杏奈は一瞬それを理解できずに居た。
「ほら杏奈が間違えてるんでしょう?早く支度して!」
その言葉を聞いた杏奈はさっきの出来事を理解し慌てて言った。
「あぁっ!ほ、ほんとだ!!寝坊しちゃうじゃん!!」
杏奈は急いで階段を降り制服に着替え支度をし玄関を出た。
「いってきます!」
「行ってらっしゃい」
何の変哲もないこの会話。この言葉は、母と話す最後の言葉になったのだった。
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