※煽り
※学パロ
駄作注意
フランス近代絵画の巨匠、ジョルジュ・ルオーをご存知か。
ステンドグラスの影響を強く受けた太い黒色の輪郭線と、鮮やかな色彩による重厚な質感が印象的な独自の画風。
ルオーの特殊性とも言える独特な色彩の厚塗りは、完成後も筆を入れ続け、自らが完成と見なさない作品を世に出すことをよしとしなかったゆえに、何年間も、時には10年もの間、塗り重ねられた。
常に人間の本性に焦点を当てた情熱的な制作活動を続け、86年の人生を芸術に捧げた巨匠。
貴方はその人生という名の絵画に塗り重ねられた色の裏側を、知らない。
sha「あれ、ショッピ君やん?」
高い天井から、明るい陽が差し込む正午過ぎ。
俺は、とある美術館にいた。
近くで個展をやるらしい、というこれといった訳もなく、ただ少し絵画に興味はあり、チーノに入場無料券を貰った……ただそれだけの理由で俺はここにいた。
そこまで有名な画家でもないし、小さな個展。人は至って多くはない。
そんな人の少ない大ホールに、声をかけてきたのは。
sha「話したことあったっけ?wあれ、ごめん。けど見たことあるなー、思てwショッピくんよな?あれ、違う?」
syp「あー、はい。合ってますけど……」
クラスの一軍陽キャ、シャオロンさん。
陰キャの俺が話しかけられるわけもないし。ただ、顔を見たことあったから、というだけのしょうもない美術館での奇抜な出会い。
見るからにシャオロンさんは1人で、そもそも陽キャが美術館に来ていること、オフで話しかけられること、初めて1対1で喋ること、何もかにも俺には異常だった。
sha「ショッピくんも絵好きなん?よくくるん?」
syp「あー、……とも、だちに勧められて……」
sha「友達?……あ、あのぐるぐる眼鏡の奴?」
ぐいぐいと、距離を詰められ後退る。
陽キャのテンション。ついていけんし、しかもなぜに美術館?
sha「へー!そーなんや。俺と一緒や!!俺もさ、なんか勧められて。絵とかよー分からんけど、案外オモロイもんなんやねっ!」
にかっ、と金色の瞳を歪ませて笑う。
sha「え、これからこっち回るん?」
syp「あー、はい」
sha「え!一緒に行こうや!!」
……は、え、?
シャオさんはずんずんと前に進んで、雰囲気的に、俺も着いて行かないといけないのだと察する。
最悪。終わった。
そもそも面識はあったものの初対面で、俺は陰キャでシャオさんは陽キャ。格と層が違う。天と地くらい。いや、もっと。
というか、なんで話しかけたんやし。
それになんか名前覚えられてるし。
sha「あ、そーいや俺の名前言ってなかったな」
前を進んでいたシャオさんは、こちらを振り向いて活発に、けどどこか涼しげに、笑みを浮かべる。
sha「俺、シャオロン!よろしゅーな」
syp「……知ってますよ、そんな」
sha「え、ホンマ!?」
長いまつ毛は楽しそうに踊って、薄い唇は嬉しそうに上を向く。
そんな中、揺れる栗色の髪の毛の隙間からチラリと見える、真っ白な陶器のような肌にへばりついた赤い紋章を、俺は見逃さなかった。
ホテル街にいた。
違う、家の近くがそういう街で、ただ、買い物に行こうとしただけ。
syp「……シャオさん、」
派手な蛍光色の人工的な光が眩しい。
俺の声に振り向いたのは、隣に中年の男を連れた茶髪の中性的な男。
sha「あれぇ〜、ショッピくんやん」
いつもとは違う甘ったるい声色に、虫唾が走る。
あの美術館以来、シャオさんとはたまに一緒に出かけたりしていた。まぁ、俺から誘うことはないのだけれど。
シャオさんは、学校でも少し有名だった。
顔がよくて、運動ができて、陽キャで。
そんな良い噂と、体を売っているだとか、虐めをしているだとか、そんな悪い噂も。
夜の街で見かけたことがあるとか、ないとか。そんなデマのような真実のようなものが、シャオさんという人間に飛び交っていた。
syp「……何、してるんすか」
sha「ショッピくんこそw」
興味はあった、その噂に。
どこまでが本当で、どこまでが偽か。
ただ、わざわざ髪を伸ばしている理由も分からなくて、それにあの美術館で傷を見てしまったから、訳もなく追求した。訳もなく。
意味なんて無いのに。
シャオさんは男の人から離れてこちらに歩み寄ってくる。
sha「……何?止めにでもきたん?」
syp「……そう、ですよ」
本当は、違うけど。
sha「ふーん、で?」
syp「あ、ぃや……やめ、ましょうよ。そんな、意味ないでしょ」
sha「意味?」
シャオさんは笑う。
天真爛漫なんて言葉とは程遠い、勝ちを確信するような、妖艶な笑み。
sha「ショッピくんさ、」
シャオさんは腰をかがめてこちらを覗くように下から見る。甘い香水のような、けどどこかアルコールのような、甘く苦い香りが沸き立つ。
sha「なんで止めにきたん?」
syp「そりゃ……悪いこと、やから、」
sha「なんで?犯罪やないで?」
syp「そう……かもしれん、けど、」
犯罪か否かを問われれば、何もいえない。
言葉に詰まると、シャオさんはわざとらしく笑う。
sha「俺さ、アルバイトでこれやってんの。お小遣い稼ぎ……わかる?やったらさ、別に何してもよくない?」
syp「そんな、自分の身体くらい大切にしてくださいよ」
sha「……俺のこと好きなん、ショッピくん」
syp「……え」
いきなりの発言に思わずシャオさんを見つめる。
大きな瞳は糸のように細められて、シャオさんの冷たい指が首筋に伸びてくる。
好きか嫌いかで言えば、好きだ。
けど、それが恋愛が絡むのか友人としてなのか、俺にもわからない。
sha「……別に、どっちでもええんやけどさ」
首筋に伸びていた手は、パチンと弾かれる。
近くにいたはずのシャオさんは、どこか遠くにいて。
陽キャのシャオさんと、陰キャな俺。
分かりあうことはないと思っていたけれど、あの出会いから少し距離も縮まって。
なのに、今。
とんでもなく遠いところにいる気がする。
天と地……いや、もっと遠く。
目に見えるのに、手を伸ばしたら無限と言えるほどの差があるようで。
俺を襲う虚無感は、汗となって流れ落ちる。
sha「友情は金で買えんのと同時に、友情で金は発生せんのやから、別にショッピくんに何と言われようとやめんから。残念やけど」
syp「……なんで、そこまで」
sha「さぁ」
シャオさんの顔から、とっくの昔に笑みは消えていた。
シャオさんは怯え切った俺を不思議そうに見つめつつ、また、あの妖艶な笑みを浮かべて俺の頭を優しく撫でる。
シャオさんは何も言わず、くるりと背を向けて男の人の元へと戻ってしまう。
バイバイ、と。
小さく振られたあの指先に、答えることはできなかった。
フランス近代絵画の巨匠、ジョルジュ・ルオーをご存知か。
ステンドグラスの影響を強く受けた太い黒色の輪郭線と、鮮やかな色彩による重厚な質感が印象的な独自の画風。
ルオーの特殊性とも言える独特な色彩の厚塗りは、完成後も筆を入れ続け、自らが完成と見なさない作品を世に出すことをよしとしなかったゆえに、何年間も、時には10年もの間、塗り重ねられた。
その絵の裏側に重ねられた色が露わとなる時、きっとその絵は粉々に砕け散るだろう。
だって、何年にも重ねられた仮面は、壊さないと剥がれないのだから。
大丈夫。ショッピくん。
貴方じゃ、俺を、救えないから。
この作品にそこまで意味はないです()
書きたかっただけ(())
実は西洋絵画が好きだったりします。
詳しいわけではないのですが、ルオーの道化師、という絵が私大好きです
風刺のこめられたものが好きなんですよね
今回絵画のイラストを頂きまして、この要素を入れたい一心で作りました
作品に意味はないですすみません
というか聞いてください、1時間で3000文字書きましたよ私。成長しましたね。
何も考えずに書いたので…はい。
閲覧ありがとうございましたー!
コメント
10件
うわなんか不気味感?というかなんか知りませんけど! 凄い好きです、shaさんsypくんに救われて欲しいな、
shaはもう後戻りが、、、
いやー、うわー、言葉!言葉がうまい!(語彙力皆無)西洋画俺も好きですね...というか絵を見るのが好き。うん。煽り組か〜。いや〜。好き。楽しみですね〜。今後どうなるんだろ...