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午後五時になりました。
と市内に響く放送音声。夕焼け小焼けのBGMが流れ、その日の学校生活の終わりを告げる。カラスがかぁかぁ鳴いている様子が幻覚で見えた気がしてハッとする。
しかしそんな知らせがなくても時刻的にもすでに放課後であり、部活もない日に残っていたからか、校舎内はシーンっと静まり返っていた。部活がある日なら五時程度なら吹奏楽部が音楽?いや演奏を奏でていたり合唱部は校舎内に歌声を響かせたり、なんにしろ外の運動部が試合などで騒いでいるのだろう。カーテンをよけ窓を開けるとびゅぅッと冬の風が俺に吹き付ける。一応教室内には暖房がついているしカーテンも閉めてあったので分からなかったが周りは暗く空には星が点々と映し出されていた。氷づくような寒さの中肺を凍らせながら外で、部活中にはしゃぎまわる運動部は普通にそういう面では尊敬している。というか運動部がいないからか、外の街灯は最低限までしか点灯はされておらずいつもよりも星々が光り輝いているように見えた。ちなみに今日は、文化祭の実行委員の居残りとしてとある人と教室に残っていた。なぜ居残りにまでなったかというと、只々俺らのクラスの要望が多く、用意された時間にも間に合わず、遂には最終下校時刻まで話すまでとなってしまったからだ。候補は、お化け屋敷、美術の絵の展示、焼きそばやわたあめなどの飲食店そして王道のメイド喫茶である。かなり女子ともめて保留にしようと思ったがあんなに言い合っていたくせに投票したら女子も含まれないとおかしいくらいの結果になってしまったそのため、結局男子どもがふざけてたせいで、投票通りのメイド喫茶になってしまった。もちろん男子が女装という概念はないのだが、なぜか俺の相方は普通に男子生徒にすら求められる美貌を持っているせいか女装を勧められていたため必死に断った。流石に実行委員が女装なんかしてたら実行委員の仕事の一環である、校舎内の不審者や事故の対策のための見回りの時間の気まずさがひどい。というか同性愛者に関してどうこう言うこともないのだが、片思いというのは周囲というか、本人に悟られぬようにすべきではないかと思ったりする。
ふぅっと一息つく。机の上に整頓された持ち物をバックに持ち物を詰めて持ち上げる。机の中やロッカーの中に残っていないか確認して、自分の座席に実行委員の相方を待つために座る。確認をとるためにもう一度中をのぞく内容物は結構シンプルでワイヤレスイヤホンや筆記用具、授業用のノートや教科書類その他もろもろだ。だが、なんかいつもより重いなと感じる。まぁさすがの文化祭、大量の資料があるのだ。いつもおき勉はせず真面目俺は、いつもの荷物に加えプリントの多さ的に地獄のバックへと変貌していた。ちなみに俺らの学校では、基本的には行事には力を入れており、外部からも人がよくやってくる様な地元では…というか、全国的にも有名な高等学校だ。割と偏差値は高く、文化祭実行委員の相方が滅茶苦茶苦労していた様子が脳裏にいまだに残っていたのか思い出して くすりと笑う。
すべての荷物を詰め終わったのか自分の席に座り待っていた俺に相方は、駆け寄ってきた。
そして 綺麗な淡い紅色の唇を開く。
「僕ってかわいいでしょ?」
突然のことに戸惑う俺なんかを見ないで話を続ける。
雪のような真っ白な肌に均等に整った目やら鼻、そして端正に彩られた可愛らしい顔立ちに相応しい骨格や体形などに加え、女性のような綺麗なさらりとした水色と紫のグラデーションが映えるのは、俺の古き友人、巷に言う幼馴染のいむこと稲荷ほとけである。
どこにでもありそうな神社名ながらも大社の大きさは日本有数のもので観光地としても外国から評価されている。そんな神社の次男坊だ。
「だからさっ!僕、アイドルになってみようと思うの!」
「どう思う?」
…
『は?』
『どうって何!?え?急にどうしたわけ!!?』
俺は、自分の椅子から立ち上がりばんっと机を叩く。
焦りのままに口にした言葉にしては口調が荒くなかったのは幸いだが、いむの宣言についての驚きが収まるはずもなく自分でもわかるほど目をかっぴらいていた。
『アイドルって結構醜い世界なんだよ…!?』
多分行ってはいけないであろうことを発してしまったような気がするがそれは置いておいて異様な宣言の動揺は抑えられぬまま言葉をつづっていく。
『そもそも論なんで!?』
俺の問いにいむはきらきらと目を輝かせながら答える。
「えっとね!!この前さ!アイドル部に誘われちゃって!」
『げっ…』
あそこ男でもなりふり構わずにひらひらのスカートを着せるので有名なところじゃん。てか前捕まえられそうになって必死に逃げた。あれは高校生活でできたトラウマの一つ。
マジであのひらひらフワフワのお姫様のようなドレスは着たくない。
まぁ 本気でテレビのほうのアイドルではなくて良かった…
一話の注意喚起を読んでいない方は読んでください。