うぅ〜〜、まずい…急がないと……!!
花ノ木こいとは急いでいた。
初夏。 全てを溶かしてしまいそうな熱気にやられそうだが走らなければならない。
明日から夏休み。 なのだが一学期の終了式に遅れそうなのである。
「うわーんっ! 遅れるーー!!!! 」
こいとは叫びながら先を急ぐ。___すでに家を出た時点で5分すぎているのだが。
こいとは、私立堤ヶ丘高等学校の1年生。 2年前に、この桜堤町に引越してきた女の子だ。 英語はちょっぴり苦手だけど、勉強も部活も楽しくて慌ただしい毎日をおくっている。
ただ、少しのんびり屋でどんくさいため、たびたび学校に遅刻しているのである。
昨夜は早めにベットにむかっていたのだが、暑すぎてよく眠れなかった。 寝る努力をしてもまったく寝れずに、結局、寝れたのは4時間だけである。
「はぁ、はぁ~~、ふー……やっと、到着…」
学校につくと待っていたのは1年の主任。 普段は穏やかだが怒るとかなり怖い。今の状況では必ず怒られる。15分の遅刻だ。
「花ノ木……」
「…………はい…」
教師は呆れた顔でこいとを見た。だが、いつもよりは怒っていなかった。
体育館が暑さでやられ、終了式は3時間目になったのである。
こいとは安堵したが、学校に遅れた事実は変わらない。罰として放課後、図書室の本整理を課されてしまった。
「みんなおはよーー!!」
「あ、こいとちゃんおはよ 」
こいとが元気に教室へ飛びこむと、数人が振り返り挨拶をしてくれた。
暑さのせいか、教室内はむっとしており、なんとなく重い雰囲気だ。
窓際の自分の席まで行くと、隣の席の小柄な女の子が話しかけてきた。
「おはよう。こいとちゃん、宿題やってきた? 」
「うん!こよりちゃんが教えてくれたところ、出題されてたよね。 私すらすら解けた!教えてくれてありがと!」
日向こよりである。 小学校のころから仲良くしてくれる、こいとの良き友だ。
頭がよくて頑張り屋のかわい子ちゃんである。
スウェーデン生まれだからか暑さにめっぽう弱い。だからか、この前からずーっと、暑い暑いと嘆いていたのである。
「はぁーー、今日も暑すぎてやになっちゃうよ…」
こよりが大袈裟に肩をすくめる。
「それな~ちょっと異常だよね 」
まだ夏も初めだ。 季節感のない暑さに周りにも戸惑いの色がみえる。 昨年と比にならないレベルには暑い。
うーん、たしか、今日の朝ニュースで……えーーっと…何度だっけ…
こいとが軽く唸りながら思い出そうとしていると、教室に担任の声が響いた。
「おーい、お前ら席つけー。 ホームルームはじめるぞーー」
こよりは、あっ先生きちゃった…!と、つぶやくと前方に目を向ける。
こいとが見る限り先生もかなりの薄着であった。もちろん、ほかの生徒もだ。
明日から夏休みだというのに、まとわりつくような暑さ。そのせいでクラス全体がずっしりと重く、なんだか、どんよりした雰囲気だ。
こいとは、なんとなく気まずい気持ちになり窓の外に目を向けた。
今日の空は綺麗。雲はひとつもなく快晴である。
こいとはぼんやりとで空を見つめた。 なんだか暑さも気にならなくなってきた。
………うーん、なんかちょっと眠く…なって…
と、なにか光が空をよぎった。
「…………え…?はぇ!?な、なに!?」
こいとは急すぎる情報に頭がついてこず、思わず立ち上がってしまった。
なんだろう。あの光……
暑さで見た幻覚……?いや絶対そんなことない。 私、必ず見た。 空から光が…………とってもとってもキラキラしてて、まぶしすぎるくらい光ってたよね……?………しかも、なんか、学校に向かってきてたような……
「こ、こいとちゃん……?」
こよりからの呼びかけではっとして、クラスに目をやると、全員がこいとの方を向き、きょとんとしていた。
「どーした花ノ木」
先生が声をかける。
「あっ、………えっっと、!………すいません……なんでもないです………。 」
こいとが焦って席につくとクラスに笑いが少しおこった。
かなり恥ずかしくなり俯きながら窓の外に目をやると、光はすでに消えていた。
いつもの、何の変哲もない染めたような青空である。
(さっきは絶対見たのに……)
気の狂ったように暑い、堤ヶ丘の午前であった。
夏の午後の蒸し暑い沈黙がこいとにのしかかる。 終了式が終わり、罰として課された本整理をしているのである。
他の生徒は終了式を終え、午前でかえってしまった。
「はぇぇ……もう無理…」
堤ヶ丘高校の図書室はすごく広く少し整理をするだけでかなりのエネルギーを消費してしまう。体力のない非力なこいとにはかなり厳しい。しかもこの暑さだ。すでに限界である。
「じゃあ少し休憩しよっか」
百合が優しくにっこり笑いかける。
「うんっ!やったぁー!」
百合はこいとのいちばんの友達で、1つ年上の2年生だ。おっとりしていて、みんなのお姉ちゃん的存在である。今日もこいとの本整理を手伝ってくれていた。
2人は冷房が効いている位置までくると、近くの椅子に腰掛けた。
「生き返る~~~~」
「もー!!今日暑すぎだよっ!」
「そうねぇ……暑いし虫は飛ぶし……」
百合は暑さに弱く、本人も暑さを嫌う。 なのに本整理を手伝ってくれてるあたり、そうとう優しくておっとりした性格なのである。
こいとは感謝しながらも百合と雑談する。
「ねぇねぇ百合ちゃん。 今日ね、なんだか変な光が……」
と奥で耳障りの悪い音が聞こえてきた。
ガッシャーーン!!
ドサドサッ……
かなり大きい。
なにか、ガラスが割れるような音だ。
それに本が崩れる音も。
「なんだろう……図書室にガラス系のものってあったかしら……??」
百合がたいして慌てずに立ち上がる。
こうゆうところかなり尊敬したい。普段はおっとり穏やかな性格なのに変なところで度胸があるというか……
対するこいとはかなり怯えきっていた。
まだ昼間だと言うのにおばけがでたのかもとか、変な妄想をして背筋が冷たくなる。
……もぉ、今日って嫌な事しかおきない。 遅刻したことも異次元な暑さも謎の光も……
「こいとちゃんさえよければ……行ってみる…?」
百合が若干の期待と好奇心を瞳にともしてこいとを振り返る。
こいと的には先生を呼びに行きたいが、崩れた本の直しだったり、割れたガラスのような物の片付けを任されたりするのはかなり嫌だ。 しかも優しい百合を巻き添いにするだろう。 もしそうなったら罪悪感で耐えられない。
「えぇ~~~?……ぅぅ……百合ちゃんが行くなら…行こっかな…」
そして2人は音の方へ足を向けた。
図書館は静かで、まるで時間がとまってしまったみたいだった。タイミングがいいのか悪いのか、さっきまでしていた車の走る音や、外からした部活動の呼びかけはいっさい聞こえない。
こいとは百合に声をかける
「でも、百合ちゃんがケガするのはやだよ。お互い、気をつけよう」
花ノ木こいと
15才の高校1年生。 最近は勉強と部活の両立を目指してがんばっている。 交友関係は浅く広く。
百合が大好きで憧れている。だがなにをやっても追いつけない。
小学校3年生までこの町にいたが、親の都合で一度町を離れた。ちょっと前にもどってきた。
最近はメイクが楽しい。
日向こより
15才。12月25日に生まれたミラクル少女。まだサンタさんをしんじている小柄で優しい女の子。 スウェーデン生まれでハーフ。だからか色白で暑さに弱い。
小学校の時にこいとと仲が良くちょっと前に再開した。
何故かイタリア語を話せるし書ける。すごい
白花百合
16歳。こいとのひとつ上の高校2年生。おっとり穏やかなお姉様系。
会社の経営者で超絶お金持ち。(___)財力がすごい。
羊が好き。きれいな顔立ちで誰にでも優しいためいろんな人に好かれている。
かわいいものはカメラに収める派
虫と暑さを嫌うため夏は天敵。
コメント
3件
やばーーい!💕💕マジ可愛い!!💞 というかこいとちゃんの表現力が…😳💓文豪になれるよ…🫶🏻💗 こよりちゃん…あ、オリキャラちゃん!?✨可愛い💞 1番の友達とか嬉しすぎる🤦♀️💕 ファンアート絶対描く👀🩷 タイトルかぁぁ…💭 〘夏の桜と魔法少女〙的な…🫠 季節=夏 こいとちゃん=桜 カードキャプター=魔法少女 みたいな…?参考程度にッ…🫣💞
イラストも上手いし、文才もあるだなんて…!!!衝撃です!!久々にわくわくしましたよ!続きが気になります😊 タイトル…🤔… 《魔法少女と黎明期》 なんてどうですか?ぱっと思いついた奴ですが(笑)、もうちょっとかわいい感じのほうがいいかな? 《マジカルガールと夢の宝石箱》とか?なかなか難しいですね!(笑)
初めて小説かいた…… 誤字脱字とかあったらすいません😭展開早すぎるかも 最初に言うとHappyENDです。魔法少女系だけどバッドエンドにはしないつもりです……🙌🏻 一応参加型…! タイトル募集中ですー!!