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翌日、学校に行くと、クラスの子たちがワイワイと盛り上がっていた。なんだろう?と耳を傾けてみると、どうやら来週、レクリエーションでクラス対抗のミニ運動会をやるらしい。
「小夏も出るやんな?」
クラスの子に声をかけられて、思わずうちは「うん!」と元気よく返事した。でも、内心はちょっと不安だった。まだクラスの子たちと完全に馴染めてないのに、みんなと協力する系のイベント、大丈夫かな…。
昼休み、うちは教室の隅でお弁当を食べてた。いつものように、佐野くんは一人で本を読んでる。せっかくやし、ちょっと話しかけてみようかな…。
「佐野くん、ミニ運動会、出るん?」
「まあ、リレーには出るけど。」
「え、リレー!?佐野くん、足速いん?」
「そこそこ。」
そう言いながらも、全然自慢げじゃなくて、むしろ淡々としてるのが佐野くんらしい。
「小夏は?」
「うちは…玉入れとか、大縄跳びとか…」
「ふーん、得意なの?」
「うーん、得意っていうか、走るの苦手やし、それ以外にしといたって感じ?」
そう言うとう、佐野くんは少し考えるように視線を上に向けた後、ふっと小さく笑った。
「そっか。でも、無理してないならいいけどな。」
「…またそれ。」
「ん?」
「佐野くん、ほんまにそれ言うの好きやな!『無理しなくていい』って。」
ちょっとムスッとして言うと、佐野くんは「そうか?」と少し困ったように笑った。
「…まぁ、無理してるように見えるから言うだけだけど。」
「…ズルい。」
「え?」
「佐野くんのそういうとこ、ズルい。」
本当は「優しすぎる」って言いたかったけど、なんか恥ずかしくて、つい別の言葉を選んでしまった。でも、佐野くんは何も言わずに、ただじっとこっちを見てきた。
その視線に耐えられなくなって、「ごちそうさま!」とお弁当を閉じて、逃げるように教室を出た。
**小夏**:「奈子、うち、今日めっちゃドキドキした。」
**奈子**:「え、なになに!?佐野くん関係?」
**小夏**:「せやねん…。なんかズルいねん。」
**奈子**:「ズルい…?何それ、気になる!」
**小夏**:「『無理しなくていい』とか、優しすぎる言葉ばっか言うねん!」
**奈子**:「…え、それもう小夏、落ちてるやん(笑)」
**小夏**:「落ちてへん!!💢 ただ…ちょっと…意識してしまっただけやし…」
**奈子**:「それを『落ちる』って言うんだよ😏」
奈子の言葉に、うちはベッドにゴロンと転がった。
落ちる…?ほんまに…?
でも、佐野くんの言葉を思い出すたび、胸がキュッとなるのは事実で——。
この気持ちが、なんなのか、うちはまだちゃんと分かってなかった。