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暗闇の静寂を破るように、ドサッと重い音が響いた。
「ちょ、ちょっとミッドナイトさん!? いきなり何ですか!?」
マットの上に押し倒されたMt.レディこと岳山優は、見上げる形で香山睡──ヒーロー名ミッドナイトと目が合った。彼女の深紅の唇が妖艶に歪む。
「ふふ、いい反応ね。驚いた?」
「驚いたっていうか……何してるんですか!?」
薄暗いトレーニングルームの中、睡の長い黒髪がサラリと優の頬をくすぐる。視線は挑発的で、まるで獲物を見定める猛獣のようだ。
「あなた、いつも言ってるわよね? 「私、もっと強くなります…!」 って」
「そりゃあ言いますけど……」
「なら、これくらい軽くかわしてみせなさいよ。ヒーローなんだから」
睡の指先が、優の鎖骨をなぞるように滑る。その仕草が余裕たっぷりで、逆に優の心臓をざわつかせた。
「くっ……! やってくれるじゃないですか……!」
顔を赤らめながらも、優はグッと拳を握る。軽くあしらわれるのはごめんだ。今度は自分が押し返してやる──!
小さな攻防が始まる、静かな夜のトレーニングルームで。