コメント
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初コメ失礼しますm(_ _)mマジで主様のお話好きです!涙腺崩壊しました、(т-т)
sm.side
kr
「は?なんだよ、鬱陶しいな!」
きっかけは些細なことだった。
sm
「記念日ぐらいなんで早く帰って来れないの?」
付き合って5年の記念日
前日にちゃんと早く帰ってきてねと伝え就寝した。
当日の朝、仕事が休みの俺はきりやんを見送り夜ご飯の献立を考えていた。
記念日なら2人の好物を沢山並べようと。
きりやんが帰ってくるまでに作ろうと、半分程完成してきたところに
kr
<今日帰れない>
と連絡があった。
ドタキャンも1度や2度なら許せたが、そう何度もされて俺は我慢の限界が来て言ってしまった
sm
<きりやんはいつもそうだよね、記念日もデートもほとんど当日に仕事入った、帰れなくなったって>
<家にいてもずっと仕事が仕事がって>
<少しぐらいは仕事の事気にしないで俺にも構ってよ>
<今日ぐらいは一緒にお祝いしたかったのに…>
少しは反省してくれるかなと期待を僅かに抱いたがそんな期待はボロボロに崩された。
kr
<まじで仕事の邪魔>
<ウザイ>
“ウザイ” “邪魔”
その言葉を見た瞬間、今までの自分が滑稽に思えた。
そこから、ご飯を作る気にも食べる気にもなれずお風呂を済ませ早々にベッドに寝転んだ。
ベッドに入り色々と考え涙を流したが結局眠れなかった。____________________________________________
朝5時頃
ガチャ
ドアが開く音がした。
きりやんが帰ってきたと思い出迎えると、
kr
「今疲れてるからどっか行って」
と疲れきった声で言われた。
sm
「ねぇ、少しは仕事セーブ出来ないの…?」
「少しは俺の事気にかける事出来ないの…?」
「ここ最近、愛情表現まったくしてくれてないよね?」
「きりやんもずっと働き詰めで心配だから少しは2人でゆっくり過ごすのもいいかなって思ったのに」
「わがまま言えば近場でもいいからデートしたい…」
「デートしなくてもいいから年に1回の記念日ぐらい一緒に過ごしたかった… 」
「なんで早く帰ってきてくれなかったの…」
「俺のこと嫌いになっちゃったのッ?」
冷たい言葉を聴きベッドの中で思っていた感情が涙と共に溢れ出した。
俺の必死な言葉を受け取ったきりやんは
kr
「なんだよ、鬱陶しいな」
「俺今疲れてんの」
「見ればわかるでしょ」
「本当に邪魔」
そう言い寝室に行き荷物をまとめ始めた。
俺はその光景を眺めることしか出来なかった。
kr
「しばらく出張行くから邪魔しないで」
そう言い残しガラガラと音を立て出て行った。
涙を流し立ち尽くす俺を慰めてくれる人はそこにはもういなかった。
そこから仕事に行く気にもなれず冷たい空間で味のしないご飯を2口程食べシャワーを浴び硬い床で気絶するように眠る日々。
そこから何日経ったのかも分からずとうとう動く気にもなれずご飯もシャワーも浴びずただひたすら硬い床で横になっているだけ。
記憶があったのはそこまで。
今は暗い空間をただひたすら走っている夢を見ているだけだった。
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kr.side
すまいると離れて早1ヶ月半。
連絡が何も無い状況に不安を覚えたのは喧嘩から1週間経ったぐらいだった。
すまいると喧嘩をし出張に来てしまった手前、プライドが邪魔をし自分から連絡をすることを躊躇ってしまった。
それを後悔するのはあと数時間。
1ヶ月半の出張を終えすまい?と仲直りをしようと帰路を急いだ。
家に近づく度、緊張でドクドクと胸が音を立てる。
目の前に来た時、緊張とは違う感情がよぎった。
そんな違和感を抱き家に入ると異様な空気が漂っていた。
そしてそんな空間のすまいるは真ん中にはいた。
kr
「す、まいる?」
近寄り触れてみると冷たくやせ細り、まるで死人のようだった。
心臓からは僅かながらの脈が感じられる。
俺はすぐに救急車を呼んだ。
救急車の車内で状況を説明し、俺は弱音を吐いた。
〇〇
「手を尽くしたのですが…」
通された部屋には白い布を掛けられた愛しい人の姿があった。
死を目の当たりにした瞬間、後悔、罪悪感、悲しみ
色々な感情が溢れ膝から崩れ落ち人目を気にせずしゃくりを上げながら泣いた。
落ち着いた頃に告げられたすまいるの状態にまたも深い後悔に苛まれた。
〇〇
「死因は栄養失調です。」
「通常水があれば1ヶ月、体力のある方は2ヶ月程は生きていけますので、あなた様が出張に行った日から数日で水しか喉を通らなくなったのでしょう。」
そこからどうやって家に帰ったのかは記憶がなかった。
覚えているのは、すまいるの葬儀からの帰り
目に止まった薬局に立ち寄り、睡眠薬を2瓶入れた袋を手に持ち2人の愛の巣だった家に帰った。
乱暴に靴を脱ぎ、雑に瓶の入った箱を開ける。
机に置かれていた何日前のか分からない水で薬を流し込む。
ふと思い出しフラフラと覚束無い足取りで寝室に向かい
ベッド横の引き出しを開けこの間の記念日に渡そうと思った婚約指輪を取り出し2つのリングを左手の薬指につけ眺める。
kr
「あの日、ちゃんと家に帰ってれば」
「ちゃんと説明して出張に行っていれば」
「プライドなんか捨てて連絡していれば」
「そしたらすまいるは死ななかったのかな」
「全部俺のせいだ、俺が悪いんだ」
「ごめんな」
そんな言葉を紡ぎながら。
1瓶飲み終える頃には激しい嘔吐感に襲われるがなんとか薬を吐くまいと耐え、2瓶目に手を伸ばす。
水はとうに無くなっており、薬をボリボリと
まるでラムネを食べているように噛み砕き嚥下をしようとする。
だが、力が入らず口から涎と共にこぼれる。
だんだんと意識が遠のき、そこから目を覚ますことはなかった