夜の帳が降りる中、荒廃した街に冷たい風が吹き抜ける。廃ビルの屋上に立つ吉田は、静かに霧島の姿を見つめていた。
「待たせたな、吉田。」
「……ああ。」吉田は低く応える。
霧島の姿は以前と変わっていた。異様な気配。人間だった頃の彼は、もはや跡形もない。
けれど、吉田はその目を逸らさなかった。
「で、そのガキは?」霧島は隣の花咲萌を一瞥し、薄く笑う。
「ガキ?ひどーい!」萌はぴょんと跳ねる。「あたし、ちゃんと殺し屋だよ?よろしくね、霧島くん♪」
霧島の目がほんの一瞬だけ細まる。彼の危険察知本能が、目の前の小さな少女からわずかに警戒を示していた。
「……面白い助っ人を連れてきたな、吉田。」
「必要だったんでな。」吉田は淡々と答えた。「お前を止めるには、誰の力でも借りるさ。」
「ふーん。」霧島は静かに前に進む。その一歩ごとに、周囲の空気が張り詰めていく。「だが、それで足りると思うか?」
「足りるさ。」吉田は即答する。
「へぇ、随分自信あるんだね。」霧島は口元に笑みを浮かべる。「なら、その自信、明日見せてもらおうか。」
「明日?」萌が首をかしげる。「なんで今やらないの?」
「お前たちも準備があるだろ?」霧島は静かに言った。
「明日、最後の決着をつける。場所はホワイトハウスだ。日没とともに始める。」
「……いいだろう。」吉田は頷く。
「明日だね、楽しみ♪」萌はくるりと回ってハンマーを肩に担ぎ、笑顔を浮かべた。
霧島は背を向け、瓦礫の向こうへと消えていく。その背中は、圧倒的な力と狂気をまとっていた。
「吉田くん、ちゃんと勝てるのー?」萌がふわりと吉田に寄る。
「……勝つさ。」吉田はきっぱりと答えた。
「ふふー、じゃあ、あたしも思いっきり楽しもーっと♪」
決戦は、明日。
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もえちゃぁぁぁぁんんんん もえちゃぁぁぁぁんんんん もえちゃぁぁぁぁんんんん はよ行ってこいもえちゃぁぁぁの元に 新人の夢児(むに よろしく