電車の揺れが原因か、僕は気が付いたら眠ってしまっていた。
肩に重さが感じられない。
違和感を感じた僕は直ぐに自分の肩を見た。hukaが居ない。
どうして。なんで。
そんなの分からない。
電車は変わらず揺れていて、窓から刺す斜陽が埃を照らしていた。
「huka?どこ?」
僕がそう呟いても彼女が出てくることは無かった。
君が居なくなった日。僕は今でも鮮明に覚えてる。
ボロボロになって捨てられていた君の顔が頭に浮かんだんだ。涙が止まらなくて、吐き気がして。
「会いたい。」
こんな青空の時でもどんな嵐の時でも、手を繋いできた君はもう居ない。
僕らが2人で冒険してきた世界と僕は1人で戦わなきゃいけないんだね。
喋るうさぎも非常口から入ったツリーランドも。RPGもしたよね。
もう君と冒険することは出来ないんだね。
マスターもhukaも居ないこんな真っ暗な世界で僕は何を探せばいいんだ。
斜陽が僕の目を刺す。
気持ちが悪い。こんな世界。要らない。
君はいつの日か深い眠りに落ちてしまうんだね。そしたらもう目を覚まさないんだ。
もう二度と。あのhukaみたいに。
君と僕とで世界を冒険してきたけど泣いたり笑ったりしたよね。
嬉しかったんだ。hukaが手を繋いでくれた時
僕を許してくれた時。好きって言ってくれた時。
嬉しくて嬉しくて仕方がなかったのに。
なのに。ある朝僕が目を覚ますとこの世界に君は居ないんだ。
hukaと離れるなんて絶対に嫌だった。
気が付いたら僕は足が動いていて、電車中を歩き回って彼女を探していた。
景色が段々と暗くなる。
オレンジ色だった空は黎明色になり、そして群青色へと変わってしまった。
斜陽が無くなり、月の光が僕の顔を刺す。
電車の明かりは何だか不気味で、少しだけ。ほんの少しだけ。こわかった。
きっとhukaが居なくなったこの世界はもっと怖いんだろう。
乗客が誰もいないこの長い長い通路を僕はただただ歩いた。
「huka、どこ?」
気が付いたら僕の頬には涙が伝っていた。
参考音源
SEKAI NO OWARIより「眠り姫」
コメント
4件
こっちのストーリーで言うのもな〜って思っちゃったんだけどヒロアカの方どうしたの?!何かあったのかな?( ;´꒳`;)