コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「お前がどう思おうが、俺の勝手だろ。」
そう言い捨てて先を歩いていく湊。だけど、なんかおかしい。
さっきから歩くスピードがちょっと遅いし、呼吸も少し荒い気がする。
「ねえ、湊?」
声をかけると、湊は少しだけ振り向いた。でも、その顔を見て私は驚いた。
「……え、ちょっと顔、赤くない?」
湊の頬は、明らかにいつもより赤くなっていて、目元もなんとなくぼんやりしている。
「は? そんなわけ──」
湊がそう言いかけた瞬間、フラッと体が揺れた。
「ちょ、ちょっと大丈夫!?」
私は慌てて湊の腕を掴んだ。普段なら「触るな」とか言いそうなのに、湊は何も言わない。ただ、ゆっくりと目を閉じる。
「……なんか、だるい。」
湊がそんな弱音を吐くなんて、よっぽどしんどいんだ。私は反射的に湊の額に手を当てた。
「……っ!!?」
その瞬間、湊が私の手をバッと払いのける。
「な、なんだよ……っ!」
「いや、だって、めっちゃ熱いんだけど!?」
湊の体温は明らかに普通じゃなかった。
「バカ、触るな……!」
湊は顔をそらして、耳まで真っ赤になってる。いや、それ熱のせいじゃなくて、照れてる……!?
「え、ちょっと待って、照れてんの!?今そんなことしてるばあい!?」
私が思わず言うと、湊はますます顔を赤くして、視線を泳がせる。
「ち、ちげぇよ!」
「いや、ちがくないでしょ! 顔、めちゃくちゃ赤いし、耳まで真っ赤!」
「うるせぇ……!」
湊は口をギュッと結んで、俯いてしまった。その姿がなんだか可愛くて、私は少し笑ってしまう。
「でも、本当に熱あるよ? ちゃんと家に帰って休んだ方がいいって。」
「……うん。」
珍しく素直に頷いた湊に、私はちょっと驚いた。
「じゃあ、今日はここで解散だね。ちゃんと寝るんだよ。」
私は軽く手を振って、湊の家の方向を指さした。でも、湊はその場から動かない。
「……お前、俺のこと気にしすぎ。」
湊はぼそっと呟く。
「そりゃ、心配するよ。だって友達でしょ?」
そう言った瞬間、湊が何かを言いかけたような気がした。でも、そのまま言葉を飲み込むように、小さくため息をついた。
「……はいはい、わかった。じゃあ、また明日な。」
そう言って湊は、ゆっくりと歩いていった。私はしばらくその背中を見送った後、自分の胸がドキドキしていることに気づいた。
──湊の顔が赤かったのは、本当に熱のせいだったのかな?
それとも……? うーん。なんだ?