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前書き
主です。久しぶりの投稿失礼します。
今回はEightさんの”とても素敵な6月でした”を小説化してみました。
個人の解釈ですが、楽しんでいただけると幸いです。
それではどうぞ。
とても素敵な六月でした
潰されてボロボロになっていく私の心身
そんな体を抱え、人っ子一人いない、音一つしない市街地で不詳を呪う。
私を騙す目的で近づいてきた、道徳の向こう側にいるあなたはまだ吠えている。
淡白な言葉の裏側にあるものが透けて見えるよう。
真昼の光のおかげで際立つ無彩色が不穏な色に変わる。
騙すなら、最後まで完璧に騙しきって欲しかった。どこまでも詰めが甘いあなたは_
「本当に馬鹿な嘘つき」
初夏の風景を映す薫る夏風に誘われ、私の気持ちと同期するように死神も泣いている気がした。始まりの合図、たなびく飛行機雲。
この世の全てを塞ぎ込んで、迷い言ばかり吐く いているような私の世界が終わってしまう前に。いつか見た夢の中さえも、ずっと焼き付けたいの。
ブランコで損をした分を回転木馬で取り返す。嫌な事ばかりだった私の人生は、あなたと出会ったことで一気にプラスとなり、今までのマイナスを覆したようだった。
でも、それすらも最初から仕組まれていた惨劇の1部で、欺瞞に生み出されたものに過ぎないのだと知った頃には、きっと私の中に咲いた蓮華も枯れるのだろう。
私を鋭く穿っていく無彩色の美しい透明すら醜い。色も花も消え失せたこの心でも、痛々しく悲鳴をあげる。息を吐くように憑かれたあなたの嘘も、やがて冬になって当たりが銀世界きなる頃には、雪に覆い隠され、何事も無かったかのようになるのでしょうね。
梅雨特有のジメッとした湿気と匂いが残るこの街角に飛散する体と抉る感覚を放つ。どこからか黒煙の立つ空に行く宛てのない迷子の私を被る。疑心から出る問いかけにその度に増える綺麗事で自答し、幾度も自問自答を繰り返す。そんなふうに廻るこの世界の終わりだなんて、呆気のないくらいがちょうどいいと吐き捨てたいの。
喚くように声を上げる踏切が私を遮るけれど、もうこれで全て終わりだと分かりきっている。この踏切の音は、この世界と彼にさよならを告げる合図。綺麗な飛行機雲が空に溶けていた。
遮る踏切を今度は私が遮る。踏切を越える。線路の向こう側から電車が迫ってくる。それにあわせて飛び込む。
視界が真っ暗になった。
今世とあの世の狭間にある朦朧とした意識の中で、私を裏切ったのに泣いている愚かなあなたがいた。初夏の薫る夏風に誘われて、悲しくなどないのよ。いい事をしたら天国へ、悪いことをしたら地獄へ行くとか聞くけど、ホントのところでそれを誰も裁けないのなら私があなたの罪を裁く。
そして、この世界とあなたに永遠の別れを告げる。
_透過、また会いましょう_
あとがき
こんな作品を最後まで読んでくださりありがとうございました!
ではまた。