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皆さんお久しぶりです。
前回の続きから行きます。
いってらっしゃーい!
「うー…」
僕は朝から教室の隅で悩んでいた。
遡ること1時間ほど前。
「うわっ、なにこれ…」
家の鏡で首を見ると赤い斑点が沢山ついている。
その瞬間、昨日の記憶が蘇った。
「……?!!!」
あー…
恋人激しく抱かれたのを思い出した。ちなみにほぼ無理矢理。
しかし、家に帰った覚えがない。
ということは、彼が家まで送ってくれたのだろう。
すっごい恥ずかしくなってきた…
「とりあえず朝ごはん食べよ…」
寝起きの脳を叩き起して気を紛らわせようと口を急いで動かす。
学校へ向かった。
そして今に至る。
「首のコレ、バレないようにしなきゃ…
シャツの襟で隠れてるし大丈夫だよね」
「おはよ、みほりくん?」
「ひゃっ!」
びっ………くりした…
心臓に悪すぎる。
「悩んでるみたいだねー」
「だ、誰のせいだと…」
「首のそれ、なんで隠すの?」
「え”っ…だって、バレたら…」
「僕は見せびらかしたかったんだけどなー」
ちょっと?
いきなり何を言い出すんだ。
「それにしても、昨日のみほり本当に可愛かったなあ…
あ、顔赤くなってる」
「ちょっと!!」
「どうしたー?みほり」
「あ、ごめん、あきら。なんでもないよ」
危ない、墓穴を掘るとこだった。
「泣いて、快感に溺れてるとこなんて、学校じゃ絶対に見られないからねー。またシよーね♡」
「ひっ…(((引」
〜お昼休み~
「死ぬ…」
うとくん怖すぎる…。
今日気づいたけどずっと僕のこと見てる…視線が僕を脅してくる…
「みほりくーん♡」
「あ…うと…サン」
「顔真っ青だねえ、可愛いからいいけど」
「ねえ…うとくんのせいで、腰凄く痛い…」
「あ、じゃあ、僕が抱っこしてあげようか?」
「エンリョしときます」
だめだ、僕が恋愛経験皆無なせいなのか、それともうとくんがイレギュラーなのかどう対応すればいいかわからん。
うとくんが僕に抱きつこうとした瞬間
「おーい、藤原、ちょっとこーい」
「ッチ……」
あ、舌打ちした。
「え、と、部活の人?」
「うん、そー。隣のクラス」
「あ、知ってる。一ノ瀬悠真って人?」
「知ってるんだ…へぇー…」
「うん、学年三大モテ男だからね…って、
そんな怖い顔しないでよ、うとくん!」
「ん…ちょっと行ってくる…」
ちなみに廊下では…
「きゃあああ!学年三大モテ男の二人が話してるわよおおお!」
「え?!まじ?!見たい!!」
「もう私イケメンの過剰摂取で死ぬかもしれない…」
大騒ぎである。
「先輩」
「あれ、相田さん」
僕の後輩が昼休み、訪ねてきた。
「少し、お話があるので来ていただけませんか」
「?いいよ」
校舎裏。
「どうしたの?何かあった?」
僕と相田さんの間に、ひと時の沈黙が流れた。
しばらくして、こういった。
「先輩のことが好きでした」
…?
え?
「先輩のいろんなところが好きでした。話し出したらキリがありません」
「相田さん…?」
僕のこと好きって言った? 学校の人気者が?
いや、でも僕付き合ってる人いるよね…
「でも、先輩付き合ってる人いますよね」
「そうだね…」
「はい」
「そっか…」
「それでも私は、先輩の傍を離れたいとは思いません。だから、先輩の恋人になることは悔しいけど諦めます」
「これは私の我儘なのですが…
また、私があなたの近くにいることを許していただけませんか」
「あ…」
相田さんは、覚悟を決めて来た。
自分の好きな人が他の人と付き合ってることを知っていながら、思いをわざわざ伝えに来てくれた。
なんて良い子なのだろう。
「相田さんがそれでいいと思うなら…
僕は大丈夫…だよ」
なんて返せばいいか、悩んで絞り出した単語がこれくらいだった。
きっとなんと声をかけても、彼女は傷ついてしまう。
失恋とは、苦しいものだろう。
「先輩、ありがとうございます」
「え、あ、うん…?」
「これからもよろしくお願いします」
「あ、はい…」
「教室に戻りましょう!」
「そう、だね」
人生って不思議なものだ。
美花視点
悔しいな。悲しいな。
先輩の隣が私だったら、どれだけ嬉しかっただろう。
でも私、諦めなきゃ。
好きな人が幸せになるのが1番。
後ろを歩く先輩に変なとこ見せたくなくて、私の吐きそうなかっこ悪い顔見せたくなくて、足を急いで前に出し続けた。
ほんとは苦しくて、でも我慢。
先輩、もう少しだけ好きでいさせてください。
我儘でごめんなさい。