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視界と口を塞がれ四肢を持ち上げられてどこかに運ばれ、暴れる間もなくどこかの床に落とされた。
「……のやろう……」
膝を立てながら辺りを見回す。
暗幕が雑に閉められた教室。
どうやら第2音楽室らしい。
自分を担いできた男たちを見上げる。
「………っ!」
右京はその風貌を見て口を開けた。
「ミ、ミナコちゃん………たち」
そこには、アニメ『ピッチ』のヒロイン、ミナコちゃんの面を被った男たちだった。
ざっと15人はいるだろうか。
見たことのない制服。
市内の高校ではない。
「……初めまして。右京君?」
真ん中に立っていた茶髪の男が前に出て、面のせいでくぐもった声を出す。
「ホントにこれ、男か……?」
「多分」
後ろの男たちが囁き合う。
「誰だ、てめえらは」
「ヒュ~」
立ち上がりながら低い声を出すと、その見た目とのギャップからか、嘲声が飛び交う。
「端から順に自己紹介していくかい?」
茶髪の男が言う。
「意味ないと思うなー。だって俺たちはここの生徒でもなければ、高校生でさえないから」
クククとミナコの誰かが笑う。
「ある目的で集められた他人だから」
言いながら男は一歩前に出た。
「まあ、共通して言えるのはーーー」
ミナコの面が浮き上がるほど頬を膨らまして笑った。
「俺たち、”男の娘”が好きなんだよね……!」
全身にゾクッと鳥肌が立った。
……なるほど。こういうことか。
『会長の女装を楽しみにしています』
……ふざけやがって!
足を前後に開いて身構える。
『いいから逃げろっ!』
諏訪の声が響いた気がした。
『さっさと倒せよ!』
蜂谷の声が聞こえた気がした。
素早く視線を走らせる。
ここは2階。飛び降りることはできない。
部屋の中には15人の男たち。
屋外で逃げ回りながら一人ずつ倒していくのとはわけが違う。
一斉にかかってこられたらまずい。押さえ込まれたら。
力では敵わない。
出入り口を見る。
動線上には少なく見積もって6人。
いけるか?
いや、いくしかない!
右京は拳を握りしめると、渾身の力をこめて床を蹴った。
◆◆◆◆◆
青い顔をして、カフェに飛び込んできた永月は、肩で息をしながら諏訪の腕を掴んだ。
「ごめん……!俺、注意して見てたはずなのに……」
「…………?」
諏訪が眉間に皺を寄せるのと、教室にもう一人のイケメン店員が戻ってきたのは同時だった。
「てめぇ!!」
頭から湯気でも出ていそうな剣幕で入ってきた蜂谷は、永月の顔を見るなり、胸ぐらを掴み上げた。
「きゃああああ!」
「何?!」
店の店員と客が同時に悲鳴を上げる中、蜂谷が永月に顔を寄せる。
「右京をどこにやった……?」
「…………」
永月は驚きに見開いていた目を、悲しそうに伏せた。
「それが、俺もわからないんだ……!」
「おい」
わけもわからないまま、諏訪は蜂谷の手を振りほどいた。
「何があったって?」
永月は、蜂谷と諏訪を交互に見て、やがて言った。
「あのBGM。ピッチのテーマが大きな音で流れ出した直後、振り返ったら右京の姿はなかったんだ」
「何?!」
諏訪はここにきて初めてことの重大さに気がついた。
隣の蜂谷はというと、なぜか永月の顔を睨んだままだ。
「右京を見失ったのはどこでだ?」
諏訪が言うと、
「特別棟の2階だ」
永月が答えた。
もし右京が、何者かに連れ去られたとして……。
特別棟からなら、北側の校舎を抜け昇降口に向かうにも、南側の校舎と部室棟を抜けてグランドに出るのにも、相応の距離がある。
そこを、いくら華奢とはいえ、男一人の身体を拘束しながら抜けるのは至難の技だ。
おそらく右京はこの学校のどこかにいる。
いや、どこかに閉じ込められている。
「探そう……!」
諏訪はまだ永月を睨んでいる蜂谷を、トンと廊下に押した。
「永月を責めるのは後!まずはあいつを見つけるのが先決だ……!」
「チッ」
舌打ちをしながら、蜂谷が駆けていく。
はっきりいって意外だった。
彼が疎ましいはずの右京に対してそこまで必死になることに。
でも今は、そんなこと気にしていられない。
ーーー右京……!
普段の右京ならそこまで心配する必要はないのだが、さっきチラリと見えた右足が、どうも気になる。
ーーー無事でいろよ……!
諏訪は蜂谷が走り出した方と反対方向に走り出した。
◆◆◆◆◆
10分後ーーー。
普段、日雇いバイトで食いつないでいる五十嵐雄一は、TVアニメ『ピッチ』のミナコちゃんを象った面の小さな穴から、転がったまま立ち上がれない様子の顔も知らない男たちを見下ろして笑った。
「ひーふーみーよ。一瞬で8人か……」
言いながら笑う。
「右京君。君ってナニモノ?」
言いながら、残る7人でやっとのことで机の脚に四肢を拘束され、うつぶせに動けなくなった右京を睨む。
「くっそ………」
右京は振り返りながら、ウィッグの髪の毛がかかった大きな目でこちらを睨んでくる。
自分の体重の倍もある男たちを、殴り蹴りしながら次々に倒した右京だったが、五十嵐が小学校から続けていた琉球空手の中段蹴りで、“彼”の言うとおり、右膝を狙って攻撃すると、案外簡単にその場に蹲った。
勝機を逃すまいとさらに執拗にそこだけ攻撃して蹴り続けると、やがて大人しくなった。
4人で四肢を押さえ持ち上げて、机にうつ伏せで押し付け、両手を拘束バンドで机の足に固定した。
左足も同じように固定し、怪我している右足はあえて自由にした。
「……これ、折れそうだね?てかもう折れてそうだけど」
言いながら足首を持ち上げ、膝を外側に捻らせると、
「ぅあああああっ!」
右京は苦しそうに喘いだ。
「はは、いい声……!」
五十嵐は笑いながら右京の耳に口を近づけた。
「変なことしようとしたら、これ、もう二度と使えないようにするからね」
「……………」
右京が力なく頷くのを確認してから右足首を離した。
痛みのためか、ピクピクと身体全体が痙攣している。
暴力は趣味ではないが、華奢な身体が震えているのを見るのは、下半身を熱くさせた。
「さてと。余興が長くなっちゃったな」
言いながら五十嵐は彼のスカート越しに臀部に指を滑らせた。
「俺たちはね、ある人にあるサイトを通じて、頼まれただけなんだよ。悪く思わないでね?」
言いながら内腿に指を移動する。
「……う、ぐっ……!」
右京が嫌悪感のためか身を硬くする。
構わずに指を這わせ、股間まで一気に上げていく。
本能的に力が入った両腕のせいで、机が軋む。しかし少しの遊びもなくきつく拘束されているため、身体は動けない。
五十嵐は股間に到達した手を返し、ボクサーパンツ越しに柔らかい球体を掴んだ。
「………やめろ!変態野郎が……!」
この状況でまだ悪態をつけるタフさに舌を巻く。
五十嵐は笑いながらそこをさらに揉みしだいた。
「変態とは。光栄だね」
言いながら指を前のほうに這わせる。
「………くッ……!」
竿を手のひらで包むように握り、前後に強めに擦ると、若いソレはたちまち大きくなってきた。
肩を頬に寄せ、必死で行為に耐えている姿に、ゾクゾクとうなじ辺りがひきつる。
五十嵐はたまらなくなって、被った面をずらすと、その小さい顔の白い頬に舌を這わせた。
刺激する手を、早く、そして強くしていく。
「……あッ……は……ん……アアッ!あ……!」
普段金を払って買っている男たちとは比べ物にならないほど若く青い悲鳴に、下半身が痛いほど硬くなる。
「イキそう?」
聞かなくてもわかっている質問を、敢えて耳元で聞く。
「でも今日は、君を気持ちよくさせることが目的じゃないから…」
言いながら、腫れ上がるほど硬くなったソレから手を離すと、五十嵐は彼のスカートを捲り上げた。
「『右京を再起不能にするほどグチャグチャに犯せ』」
言うと彼の身体は面白いほどに硬直した。
「……それが命令」
言いながらボクサーパンツのゴムに手をかける。
「命令で仕方なく動いてるだけなんだから……」
五十嵐は尻の割れ目に沿って指を差し入れると、
「恨まないでよね……?」
ソレを一気に引き下ろした。
◇◇◇◇◇
視界にチカチカと火花が散る。
右京は自分の右足を見下ろした。
怪我した時点でやはり一度医者に診せるべきだった。
打撲か捻挫か、それとも骨折だったのか。今となってはわからないが、先程男に蹴られ捻られ、明らかに具合が変わった。
後ろからクチクチと変な液体の音がする。首を精一杯突っ張らせて振り返る。
何かボトルから透明でとろみのある液体を手に足らしている。
面の穴からこちらを見下ろす目が光る。
「一応聞くけど、後ろの経験は?」
ーーー何だ?“後ろの経験”って。
右京の反応を見ていた、斜め前にいた男がクククと笑う。
「どうやらないみたいですよ」
「こんなにいいケツしてるのに……」
また別の男が剥き出しにされた白い臀部を撫でる。
……後ろってそっちか……。
右京は頭を戻すと、再度教室を見た。
第2音楽室。防音の壁やドアからは悲鳴も叫び声も聞こえない。
手首を絞めているのはネクタイではなく結束バンド。簡単には外れない。
唯一自由なのは右足だが、腫れ上がり間接が動かないのと、痺れと違和感で、うまく力が伝わらない。
このまま膝を完全に壊されるくらいなら……。
たっぷりと液体をつけた男の指が、ソコに押し当てられる。
……このまま行為に耐えたほうが……。
指がかつて誰にも触られたことのない秘部にグリグリと入ってくる。
「……う……ああ……!」
嫌悪感と違和感と羞恥心で、勝手に声が漏れる。
音を立てながら出し入れされる指の感覚に、全身が震える。
腰が少しでもその圧迫感を緩和しようと指に合わせて勝手に動く。
「いやらしい腰つきだな」
「そこまで誘惑されたら、ご期待に応えなきゃな…」
見ていた男たちがカチャカチャとベルトを外す。
「………ッ」
晒されていく大人のどす黒いモノから目をそらすように、右京は目を瞑った。
こんなことになるなら、
アイツに、
アイツに最後まで………。
「は?」
自分の感情に驚き、右京は目を開けた。
……俺、いま何を考えた………?
その大きな目の前に、ミナコちゃんの面とは明らかにそぐわないモノが突き出される。
「咥えてくれる……?」
「……くっ、誰が………」
違う男が右足の脹ら脛を掴む。
「足、痛いよねぇ?」
「………ッ!」
「ほら、さっさと咥えろって」
前にいた男が右京の形の良い鼻を摘まむ。
「……すぐ気持ちよくしてあげるからね」
同時に後ろから入口に熱いモノが押し当てられる。
「大丈夫。ちゃーんと前も触って上げるから……」
脇から手が差し入れられ、股間を握られる。
「……ンぐッ……あ……はァ……」
今度は直接触られる刺激に、意思とは関係なく股間が熱を帯びていく。
「ほら、一緒に気持ちよくなろうぜ」
唇に熱いモノが押し付けられる。
……もう……ダメだ……!
脳裏にあの人を馬鹿にしたような笑顔が浮かぶ。
右京は再び目を閉じた。