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pixivに上げてた奴のリメイク .
07が011にお花を貰う話。
「…花?」
「嗚呼、そうだ。」
今、俺は何故か両手に花を持っている。
その花は深い紅色の花で、何だか甘い香りを放っていて…
何処かで、嗅いだことがあるような気がする。
「チョコレート…かい?」
「良く…わかったな。 チョコレートコスモス という花だ。お前にやる。」
「ふぅん…花ね、情熱的じゃない、看守くん?」
そう軽口を叩きながら昔の事を思い出す。
昔、幼なじみから、俺は花を貰った。
当時、俺は花なんて知らなくて…結局、枯らしてしまったが。
今思うと、勿体ないな。
その中のひとつ ツルニチニチソウ 変な名前で、覚えていた。
…嗚呼、そうだ。あの時、俺は嬉しさと同時に、少しの悲しさを覚えた。
花言葉。花を送る際、少しは考えるもの。
嗚呼、意味は何だったか。
もう遠い昔の事だから、思い出せない。
…思い出したくは、ない。
「…花か…偶には良いかもね。にしても、これだけ買ったのかい…?珍しいね。」
勿論一輪だけでも、おかしくは無いが。
「…いや、一応向日葵も買ったんだ。ほら、その…お前の誕生花だろう?」
…驚いた。知っているんだね。俺はつい最近まで知らなかったんだけど。
「そう…なのかい?…ヒマワリは黄色だろう…?椎奈ちゃんの方が会うんじゃ…」
「それは、まぁ…花言葉も…いや…!」
とにかく、やる。そう言って、看守くんは足早に去ってしまう。
「行っちゃった」
まぁ、折角貰ったんだし飾ろうかな…
花瓶なんか持っていないけど…支給して貰えるのかな。
そう思っているところに偶々フータが通りかかる。
「やぁ、フータじゃないの。」
ひらり、と片方の手でを振れば
「なん…なんだそれ…?」
と、困惑気味に聞いてくる。それも、少し笑みを浮かべながら。
…失礼じゃないかな?
「看守くんに貰ってね。飾ろうかと思ってるんだけど…」
事の経緯を説明すれば「ふーん」と、興味を無くしたように呟き、
俺に背を向ける。
花に、興味は無いのだろうか。いや、確かに好きでは無さそうだが。
にしても明らかに興味を失い過ぎでは無いか?
何か、あったんだろうか。まぁ、余計な詮索はしない方がいいだろう。
「あ、それじゃあね、フータ。」
「あー…じゃあな。カズイ。」
帰り際、フータはぼそりと言った。
「偽りの愛」
「…ヒマワリの、花言葉。おっさんの誕生花だろ……んじゃ。」
声が、耳にこびりついて、離れない。その場に呆然と立ち尽くす。
「…はは、っ…そりゃあ、看守くんも渡すのを躊躇う訳だなぁ。」
フータがなんで知っていたかは分からない。
…恐らく、どこかで調べたんだろう。彼は、ネットに詳しいから。
はぁ…と、大きな溜息をつく。
…知ってしまったからには、もう飾れそうにも無い。
嗚呼、そうだ、きっと他の人に上げれば、喜んでくれるだろう。
…そうしよう。
…もう、俺は持っていたくない。…貰っといてなんだが。
「…とにかく、すぐにでも、渡せる人を探そうか。」
そう言って、歩き出そうと、立ち上がろうとする。
ただ、俺の手は、足は力が入らなくて。
「…はは、っ…こたえるなぁ…流石に…」
本当に、この歳にもなってこの程度で狼狽えるのか、と嫌になるが。
とにかく、はやく渡さないと。
そう思い、無理やり歩き出す。
その足は、まだ震えていた。
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