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「ありがとうね。えりなはそんな風に学校で過ごしていたの。そう。」
えりなちゃんのお母さんはしみじみとハンカチで涙を拭っていた。
そして、えりなちゃんが使っていた杖を抱きしめていた。
周りの大人が彼女に寄り添い、共に涙も流していた。
その間、私はひとつ事を考えていた。
「ねぇ、えりなちゃんのお母さん。」
「どうしたの?」
私は少し周りを見てからもう一度えりなちゃんのお母さんを見た。
良かった。皆はまだ会場にいる。
置いてかれていない。
「あのね、えりなちゃんは天国に行くんでしょう?」
「そうね。」
前、お葬式に行った時、大人たちにそう習った。
でも、そうなると大変なことが起きると思ったのだ。
「その杖、えりなちゃんに持たせてあげないと。
えりなちゃんは1人で歩けないから。」
私は必死で、もう少しでえりなちゃんのお母さんから杖をひったくってしまいそうな程だった。
するとえりなちゃんのお母さんは私の手を取って
「ありがとう、えりなのことを思ってくれて。
でも大丈夫よ。天国に行く時、天使さんが来てね。えりなの足を治してくれるのよ。だから、大丈夫なの。」
そう言って微笑んだ。
その時私は、取れかかったピンに気を取られていて、自分の発言がどう言ったものなのか、何も考えていなかった。
「そうなの。なら、えりなちゃんは早く死ねば良かったのにね。そしたらきっと天国で楽しく体育ができたのに。なんでもっと早く教えてあげなかったの?」
その時私の頬に激痛が走った。