王城の一室。アレクシス・ヴァンガードは、一人、薄暗い部屋で酒を手にしていた。無数のランプの光が、彼の冷徹な顔を照らしているはずなのに、その目は今、どこか楽しげに輝いていた。
部屋の中には、一枚の大きな肖像画が飾られている。それは、今はもう亡き龍神陛下の肖像だった。かつては威厳に満ちていたその顔が、今やひとしずくの酒と共に静かに飾られている。
アレクシスは、酔った勢いで、その肖像に向かって声をかける。
「ふふ、あんたの時代はもう終わったんだ。」
彼の笑い声は響き渡り、その言葉には全くの余裕が感じられない。アレクシスは空っぽのグラスを掲げ、無理に笑みを浮かべた。
「陛下の残したものは、もう完全に支配した。」
不気味な笑みを浮かべ、再びグラスに酒を注ぐ。その顔には、全てを手に入れたかのような冷笑が刻まれていた。
彼は酔っ払っている。それでも、その酔いが心地よいのか、彼はますます笑っていた。どこか、気味悪いほどに自信満々で。
「龍神陛下、あんたはもう遠い過去。今は私の時代だ。」
一瞬、酒を飲み干した後、アレクシスは肖像画に再び目を向け、にやりと笑う。
その時、部屋の扉が軋む音を立てて開いた。だが、アレクシスは気づかない。彼は酔った勢いで肖像画に話しかけ続けていた。
「あんたの時代に残された人々も、無駄だと分かるだろうな。私の王国は完成する。」
その言葉に、背後で足音が近づいてきた。だが、アレクシスはまるで気にせずに、また笑っている。
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