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その時…
インターホンがけたたましく鳴った。
「先生っ…!
インターホンが…!」
「ちっ!」
先生は舌打ちしつつ、インターホンに出る。
「何でしょうか?
寿司もピザももう届いていますが?」
不機嫌そうに答える宇賀神先生。
「え?
警察?」
そこで、私のアンテナはピンと立った。
「先生!
警察って、もしかして事件ですかっ!?」
「はぁ…
どうやらそのようですね…
いつもの事件疫病神ですよね、これって…」
「何言ってるんですか?
事件疫病神?
とにかく事件現場に向かいましょう!」
「はぁ…
これもいつものパターンですね…
行きゃいいんでしょ、行きゃ!」
宇賀神先生は一人で怒っているようだ。
どうやら、事件があったのは、このタワーマンションの同じ階の一室らしい。
それで、玄関は開けっぱなしで中の住人が殺害されていた為、私たちにも捜査の手が伸びたのだと言う。
まぁ、警察官は私たちが弁護士であることは知らなかったようだが…
1203号室で殺害されたのは、|今井樹里《いまいじゅり》さん。
人気のインフルエンサーで、美容やダイエットを配信していたらしい。
死因は絞殺による窒息死だ。
「弁護士の宇賀神と姫川です。
少し現場を見たいのですが?」
「えぇ?
困りますよ。
まだ、警察側の現場検証も終わっていませんから。
明日以降に出直してください。」
そう言われて、私たちは一旦解散した。
宇賀神先生は寿司パーティーの続きをしようとしつこく私を誘ったが、事件が始まったとあってはそれどころでは無い!
♦︎♦︎♦︎
次の日、黒川法律事務所には例の事件の弁護依頼が来ていた。
「先生!
例の事件ですよ!」
私は言うが、先生はコーヒーを淹れながらつれない返事をする。
「はぁ?
だから何ですかぁ?
僕たちのイチャイチャを邪魔した事件なんかにこれっぽっちも興味はありませんよ。」
先生は言う。
「じ、事件が解決したら、その、また、自宅に遊びに行きますから!」
私は取ってつけたように言うが…
「本当ですかっ!?
女に二言はないですよね!?」
宇賀神先生には効果的面。
すぐに先生はその事件を引き受けたのだった。
「えーと、じゃあ…」
「被疑者に面会に向かいましょう!
ほら、綾乃、ボサッとしないで!」
なんだ、そのやる気は…
私は、はいはいと宇賀神先生の後をついて行く。
「今回の被疑者について、分かってる事はありますか?」
「え、と、はい。
今回の被疑者は、|園田志保《そのだしほ》さん。
亡くなった今井樹里さん宅に招かれていたらしいです。
そして、今井さんの手には園田さんのイヤリングが握られていたらしく、それで逮捕となったようですね。」