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【キャプション】
お久しぶりです。
ネタが思いつかず、思いついても上手く文にできずにボツにしたりと、試行錯誤しておりました……。今回はチャットノベル形式でない方が上手くいくと思ったのと、気分転換でのライトノベル形式ですね。1時間クオリティですが、どうぞお楽しみ頂けたらと思います。
【注意】
・一おそ単品が、一松の片思いです
・一松が語り手です
・他の松が喋ることはありません
・学生時代など捏造しています
・すごく暗いです
・ハッピーエンドではないです
では、どうぞ。
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【松野一松の罪深き独白】
僕はおそ松兄さんが好きだ。
その感情に気づいたのは、確か中学2年生に上がったばかり頃だったかな。
中学2年生。大抵の男は丁度この辺で思春期に入る頃。僕はおそ松兄さんへ抱く恋心に気づいてしまった。今まで憧れだと思っていたものが急に、恋情として僕を悩ませた。
元々おそ松兄さんは僕の中で特別だった。いや、僕だけじゃない。きっと、おそ松兄さんを除く全ての兄弟はおそ松兄さんがどんな形であれ特別だったと思う。そのほとんどが「憧れ」という純粋な形。僕だけが歪に歪んでしまった。
中学の時、音楽の授業でアルトリコーダーをやった。僕ら6つ子はただでさえ家計が厳しいので、口の部品だけ6つ買って、あとの部品は使いまわしていた。口の裏に名前を書いて、間違うことのないように各々でもっていた。
はずなのに。なぜだか、僕の口部品とおそ松兄さんの口部品が入れ替わっていた事があった。
口裏の「おそ松」という汚い字を見た時は目を疑った。というか、 正直、迷った。
健全な男子ならみんな考えるはずだ。いや、男子だけじゃなく、全人類考えるだろ。好きな人のリコーダー。さらに口をつける部品が自分の手元にある。
おそ松兄さんは授業をサボり気味だったけど、1度家で、覚えたから。と、カントリーロードを演奏してくれたことがある。時々音が外れていたけど、おそ松兄さんにしては上手かったし、兄さんに音楽なんてイメージがなかったからよく覚えている。
よって、おそ松兄さんと確実に間接キスができる。ということだ。
10分くらい迷って、結局。少し口先を舐めた。咥えてないからセーフだ。と、その頃は言い聞かせていたけれど、今考えれば舐める方が、よっぽど気持ちわるいのかもしれない。つか、あの頃の僕、幸せ貯金貯まりすぎてるな。よく死ななかったもんだ。
あの後、誰もいない教室を見渡して、廊下まで見て、ひとっこ一人いないことを確認してようやく安心してから水道でよく洗ってすぐに返した。
返すとき、洗ってもなお手が少し震えていたのは、上手く隠せたはずだ。きっと……。
中学の時はあれでもまだ可愛かったのかもしれない。今では僕も一応身体だけは立派な大人だ。人格やらスペックやらはゴミみたいというか、燃えないゴミだけどね…。ヒヒッ。
でも、まぁ、成人男性が好きな人を思い浮かべながらするコトなんて、容易に想像がつくもので。
…そうですね。アタリですよ。僕のオカズはいつだって兄さんだ。
エロ本を開いては
「これが兄さんなら…」
と、妄想する。
兄さんのエロ本を開いては
「兄さんはこれを使って…」
と、妄想する。
その度に自己嫌悪で死にたくなって。おそ松兄さんの顔もろくに見れなくて。猫に助けを求める。
いつも通り猫に助けを求めていたら、おそ松兄さんがやってきて、慌てて猫化して逃げ出してしまった時は、悪かったな。と思ってる。
それにしても、兄弟全員おそ松兄さんのエロ本を使っていたと知った時は結構驚いた。
そして、 「アイツらもこの本使ってたかもしれないのか…」と少しでも脳裏をよぎると萎えてしまうようになったので、今ではおそ松兄さんのエロ本は使っていない。兄弟は好きだけど、そういう意味なのはおそ松兄さんだけだから。
代わりに、妄想でおそ松兄さんを犯すようになった。おかげで想像力がだいぶ鍛えられた。……シコ松兄さんみたいになりそうで嫌だな。
あ、そういえば「兄弟は好きだけど」って言ったけど、訂正しておこう。
僕は兄弟の中で嫌いな奴が1人いる。
松野家次男 松野カラ松。
こいつがどうにも気に入らない。高校生の頃くらいまでは、まだ好きの部類に入っていたはずだけど、あの性格になってからおそ松兄さんだけが突出していた兄弟ランキングは随分でこぼこになった。
理由はあると思う。
まず、アイツが言っている「ツートップ」だ。
あれが嫌い。唯一おそ松兄さんの隣に立てる。次男という立場が羨ましくて妬ましい。
ツートップにかこつけて、みんなで追いかけるはずの背中を、1人追いつこうと必死で走っている姿を見たくない。嫌いだ。
まぁ、あとはイタくて普通にムカつく。
「嫌い」なんて感情よりも「好き」の感情を話そうか。
あ、ちなみに、僕はこの気持ちをおそ松兄さんに伝える気持ちなんて到底ない。だれにも言わない。遺書にだって書かずに墓まで持ってく。
これは、恋心を自覚したのと同時に決めた。
生きて兄さんのそばにいられるだけで毎日幸せ貯金が貯まっているのに。想いを伝えようなんて烏滸がましい。
……いや、勇気がないだけ。
独白でまで嘘をつこうなんて、本当に僕はどこまでゴミなんだろうか。
こんなゴミがクズだと言われる長男を好きになるなんて。丁度いい。
僕くらいのゴミは、一生かけてクズに翻弄され続ければいいんだよ。
この想いが叶うことはないんだ。
だからさ。ねぇ、松野一松《僕》。
そろそろ、諦めないといけないんだよ。
おそ松兄さんを長男でいなくさせることは兄さんが1番嫌がることだって、分かってるはずなのに。
兄さんへ好きの感情を殺せないんだよ。
ごめんなさい。兄さん。ごめんなさい。
僕はきっと、僕を殺すことでしか兄さんへの感情よ殺せない。
だから今から、僕は死ぬよ。
おそ松兄さんの笑う顔も怒る顔も全部忘れて、そのままこの感情も忘れろよな。
それが、ゴミにもできる罪滅ぼしだ。
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<あとがき>
なんだか、すごく暗くなってしまいました。
需要がありそうなら、
【松野おそ松の罪深き独白】
も出そうと思います。
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。