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犯人がいるとしたらここだろう、そう思い俺の行きつけのカフェの近くの路地裏にで向かった。そろそろ日が落ちる頃、たった俺一人で。
「待っていたよ、潔くん」
そう言い俺を見つめるのは、ドイツ人のガタイのいい男だった。その人は何回か見かけたことがある。
なんで多くのファンがいる中でこんな、言ってしまえばどこにでも居そうなやつを覚えているかというと、こいつは俺をストーカーしている輩の一人だ。
隠しカメラ、盗聴器付きのテディベア、大量の手紙、多分そいつ手作りのお菓子など。両手では数え切れないほどのプレゼントをくれた張本人だ。
そいつの手にはカイザーを刺したときの物だと思われる血のこびりついたナイフが握られていた。
「ずっと君のことが好きだったんだ、なのに君は僕の思いに応えてくれなかった。全部あんなヤツのせいだ……!」
男は激昂しながらそう言った。
「……カイザーなんてクソだ」
大人しくなったかと思えば、また目を血走らせながら
「カイザーは目障りでしかない!あんなヤツがするサッカーのどこがいいんだ?wさっきから黙ってばかりで、何か言ったらどうだ」
アイツがするサッカーのどこがいいんだ、俺はその言葉に、この男がどれだけつまらないやつか分かったし、イラつきもした。
「……お前みたいなきめぇやつに、カイザーの何がわかるんだ?」
「……なんだって?」
「さっきから言ってること全部くだらねぇって言ってんだよ」
自分の口から、素行の良くない言葉がスラスラ出てくる。
男は俺の言葉を聞くとニヤ、と薄気味悪い笑みを浮かべ、
「そんなにあんなヤツが好きなのか……」
そう言い、俺の頬にナイフを沿わせた。頬から生ぬるい血がツー、と流れる。
「あんなクソ野郎じゃなくて俺にしたらどうだ?」
────いい加減にしろ。お前に俺らの何がわかるんだ。
気づいた時には男の首にナイフを突き立てていた。ビシャッ、と男の血が俺と近くの壁に降り注ぐ。辺りは鉄の匂いと真っ赤な血で染まっていく。
やりすぎた……。いや、やりすぎたどころでは無い。俺が人を殺したのか……?これは夢?いや、夢じゃない。頬をつねってみたが痛かった。
「……これどうすっかな」
目の前のそれに目を向ける。ピクリともしないそれを路地裏のゴミ箱の中に入れてみた。こんなとこにあったらさすがにバレるか?
とりあえず、明日っていうかもう今日だけど、カイザーが退院する日なのでとりあえず言わないと。
あいつ、なんて言うかな。人殺しはさすがに縁切られるかな。切られたら自首しよう。
そうやって呑気なことを考えてるうちに、もう辺りは真っ暗でしんと静まっていた。