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屋上から逃げるように走った私は、そのまま校舎の隅の階段で立ち止まった。
「はぁ…はぁ…」
心臓がバクバクしてる。
(なにやってんの私!!)
せっかく西山先輩と一緒にお昼食べられたのに、完全に自爆じゃん!?
「好きな人いる」
その一言が、頭の中でずっとぐるぐる回ってる。
(いやいや、そりゃそうでしょ…こんなかっこよくて優しいんだから、好きな人くらいいるよね…)
「でもさぁ…」
ポツリと、独り言が漏れる。
(じゃあ、なんで私とご飯食べてくれたの…?)
「……ただの後輩だから?」
自分で言って、少しだけ胸がチクリと痛んだ。
「なんか…めっちゃ恥ずかしい。」
結局、私は先輩の気持ちも知らないまま、勝手に突っ走って、勝手に落ち込んでるだけじゃん…。
(くるみに話そうかな…)
いや、でも…。
くるみは今ごろ、広瀬先輩とお昼ご飯。せっかくのチャンスなのに、水を差すのも悪いし…。
「はぁ……」
落ち込んでいると、突然足音が聞こえた。
「璃子!!」
「えっ!?」
振り向くと――
そこには、**西山先輩**がいた。
(え、なんで!?)
「……は、はぁ!?なんでここに!?」
「いや、お前急に逃げるからだろ。」
「だ、だって…!」
「お前、なんか勘違いしてるだろ。」
「……え?」
西山先輩は少しだけ息を整えて、真剣な顔で私を見つめた。
「さっきの話。」
「え、話って…」
「好きな人がいるってやつ。」
「……」
心臓がドクンと鳴る。
「……お前、なんでそんなに焦ってた?」
「え、それは……」
「俺が誰を好きかなんて、璃子には関係ないんじゃね?」
「……っ!」
図星だった。
(だって、私…西山先輩のことが好きで、だから…)
「……関係ないです…けど。」
俯きながら、ポツリと呟く。
その時、ふわっと私の頭に手が乗った。
「……」
え?
驚いて顔を上げると、西山先輩が私の頭を軽くポンポンと撫でていた。
「お前さ。」
「は、はい?」
「俺の好きな人、知りたい?」
「えっ!!?」
突然の言葉に、私の脳内が大混乱する。
「えっ、えっ、ちょっと待ってください!!そんなの、聞いたら……」
「聞いたら?」
「……余計に落ち込みます!!!」
「ふはっ、マジで面白ぇな、お前。」
「笑わないでください!!!」
「いや、俺本気なんだけどな。」
「え?」
私の動きが止まる。
西山先輩はニヤッと笑いながら、私の目をじっと見つめた。
「お前、ほんとにわかってないんだな。」
「……な、何をですか?」
「俺の好きな人が誰かってこと。」
「え……?」
頭が真っ白になる。
もしかして、これって……?
「……お前、ちょっとは考えてみろよ。」
そう言って、西山先輩は私の肩を軽く叩くと、スタスタと階段を下りて行った。
私はその場に立ち尽くしたまま、心臓の音がやけに大きく響いているのを感じた。
(え、これって……)
(もしかして……)
私、**失恋したんじゃなくて、両想いだった…?**