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…は…終………駅です…

 

とぎれとぎれに聞こえる終電のアナウンスが頭に響き、目が覚めた。


「あ!終電!?」


自分が降りるはずの駅を寝過ごしてしまい、気づけば終着駅にまで行ってしまった。


本当は数分寝ただけなのに、その時間はとても長く短く感じた。


アナウンスの後に扉が開き、カバン持つと飛び出すように駅のホームに足を踏み入れた。


電車を後にしてからすぐ、駅のホームに生じる違和感が視界に入った。


「え…?」


私はライトノベルの中にでも入ってしまったのだろうか、それとも、電車が途中で事故を起こし、命を落として異世界転生でもしてしまったのだろうか。


そんな妄想のような考えが頭によぎるような駅が視界を埋める。


雨が滴る青と紫の紫陽花、艶めかしいアスファルト、屋根で弾ける雨の音が響く終電駅のホーム。文章で書くならそう書くだろう。


とりあえず、黄色の点字ブロックと、私の前と後ろに電車が通るレールがあり、ここが駅のホームだということもわかる。


自分が知らない場所に足を踏み入れた恐怖が心を支配した。


心の中にある恐怖に打ち勝つために目を瞑り、深く深呼吸をした。


深呼吸をすると、少し落ち着いた。だが恐怖から逃れた次は煩悩にまみれた。


私はとりあえずで物事を整理しようとカバンの中に入っている手帳にメモをした。


・紫陽花がいっぱいの駅

・アスファルト

・終着駅?

・日本ではない?


もしかしたら、この出来事は売れる小説になるかも。とロクでもない煩悩まみれのまま紙に書き殴った。


私は今、売れた小説の主人公なんだ。


ありふれた自己嫌悪を具現化したようなノンフィクションの短編小説をゴミ箱に捨て


煌めくライトノベルのような小説のプロローグが幕を開けたと思ったが、


結局、作られたライトノベルはノンフィクションではないじゃないか。


その瞬間、本当の自分が変われないことを自覚してしまった気分になった。


そんな重たい想像が空気を切り裂いた。


もっとここがどこかについて考えなければ。


ここは…いつも乗っているのに知っている終着駅じゃないから、人がいる所じゃないかもな。

もしかしたら、生きてる人がいていい場所じゃないのかもしれない。


死んじゃったのかな、私。


可能性でしかないが、そんな事しか考えられない。私Aがいるならば、ここに来たら驚きのあまり動けなくなって、ここにいることを受け入れられないだろう。


私Bが、今の私、睦月凛子だ。


雁字搦めになった思考をどうにか遮断しようと考えていると、


どこかから何かのガスが充満した。


危険を察知し、どうにかして逃げようと必死になって生き急いだが、


気づくと頭が眠気で侵されていた。


久しぶりの二度寝がこんなところなのはいやになっちやう


そのしゅんかん、いしきがとぎれ



た。

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