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僕が僕のことをわかっていなかった。だからこんなことをしなければいけないのだ。
とても面倒だ。
「はぁ、セーフだよね?」
私はシルバー。よくいる女子高生だ。頭も特別良くないし、運動ができるわけではない。
けれど今日は少しおかしかった。アラームは20分ほど遅く設定されており、電車も人身事故で時間が遅れていた。悪いことでもしたのだろうか?
「今日はやけに遅いな、シルバー。」
「なんか今日の朝から酷いことばかりで…帰りも自転車なのかぁ。」
「た、大変だったな…。まぁホームルームが始まるから早く座った方がいいぞ。」
それでこの男の子がブレイズ。しっかりしており、クラスでは王子のような存在だ。けれど私にはそこまで彼が絢爛には見えない。
ホームルームを始めます。と言う先生の声が聞こえ、なんとなく立つ。そしてなんとなく授業が始まる。
寝坊してから忙しなく動いたので疲れたのかあまり手を挙げて発言ができていない。やはり今日は何かがおかしくて、特別なことがある日なのかも知れない。
そして1日が終わっていた。こんなに何も考えられなかった日は久しぶりかも知れない。いや、もしかしたら今までそんなことはなかったのかもしれない。家でちゃんと復習しようと考えながら自転車の鍵を出した。
「シルバーも自転車持ってたんだな。」
「ま、まぁね!もしもの時に使うから。」
「ちょうど今がもしもの時なのか。」
「確かにそうだね。こんな日が来るとは思ってなかったよ。」
と、会話を交わしつつ自分の自転車を探したが、どこにもなかった。もしかしたら誰かに盗まれたかもしれない。これはもう歩いて帰るしかない。
「ごめん、ブレイズ…歩きで一緒に帰らない?」
「自転車を無くしたのか?」
ブレイズは少し笑った後こう言った。
「まぁいいぞ。帰る相手もいなかったしな。」
それにしても自転車がなくなったのは謎だ。とてもおかしい。やはり変な日だ。
燃えるような夕焼けが落ちてゆく。青空が少し前まで広がっていたのにすぐにオレンジ色に染まる。絵の具みたいだ。
その空に急に黒いシルエットが浮かぶ。大きな大きな。雲でもないし、ビルでもない。
それは大きなロボットだった。がしゃんがしゃんとビルに当たりながら体を動かしている。異常な光景だった。
「あれは…?」
普段冷静なブレイズもこの光景に口を開け、驚いている。普通はそういう反応をするだろう。私も同じで突っ立っている。
ロボットはどこかに歩いているのではなく、人を襲っているように見える。ビルだけではなく、家や公園、全てを薙ぎ倒してゆく。たくさんの人が悲鳴をあげている。姿は見えないが確実にそうだろう。
「何かできない…のかな?」
私は驚きのあまり開いていた拳を強く握った。何もできないことに酷く苛立った。あいつを倒すことができればいいのに。
「とりあえず逃げるぞ!これじゃあ俺たちも危ない!」
ブレイズに手を握られ、駅の方へ向かう。夕日が落ちるのが見える。少し雲がかかってきた。
曲がり角を曲がった。その瞬間、顔をぷにぷにした何かが当たった。
「えっ、なにっ!」
私が顔を上げるとそこには黒いマスコットみたいなものが目の前をふわふわ浮いていた。
「君は…シルバーなのか?」
なぜかこの黒いマスコットは私の名前を知っていた。そして話す声は低く、姿と合っていない。
「なんで私の名前を知っているの!?」
驚きつつ、質問をする。しかし黒いマスコットは私とブレイズの顔を見ただけだった。
「お前もあのロボットの仲間か?」
ブレイズは目を細め、強く言う。けれど声は静かだ。少し怒りを感じる。
「違う。僕はシャドウ。」
黒いマスコット…シャドウはそう言った。名前だけを聞いても訳がわからない。
「君達に手伝ってほしいことがある。」