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あれから数週間が立った。
もうずっとあの道を目にすることはなくなった。扉でさえも見なくなった。
だんだん風花が経営する店は売上が本格的に厳しくなってきていた。
(どうしよう…)
宛もなく休日の今日をどう過ごすか悩みながら街を歩いていた。
ひとつのスーパーへと足を向けて歩く。自動ドアをくぐり、カートとカゴを手に取って進む。何を買うか迷いながら、お魚コーナーとお肉コーナーを通り過ぎる。
ふと商品から顔をあげるとそこには……
「………え?」
思わず声が出てしまった。だってそこには、「おこめ」と「みそ」がいた。その奥には知り合いなのかもう一人立っていた。
「ん?」
おこめが、こちらを見た。すると、笑顔でこっちに向かってくる。
「またお会いしましたね。もう一度お顔を見れて光栄です。」
「………………んぅ?あ〜……この前の、客か」
「俺とは初めましてだな。」
初めて見る人だ。誰なんだろう。同じ店の店員なのだろうか。凄く顔がキリッとしてて、いかにも真面目そうな人だった。
「今日は…お店の方は…………?」
思わずそう質問すると、おこめさんが
「今日はお休みなんです。」
とそう言う。
「そ、そうなんですか…」
「………………残念そおぉ」
「!?」
いつの間にか後ろに来ていたのか、みそさんにそう言われて驚いた。
確かに、少し残念には思った。
(また行きたかったから……………)
「みそ!ダメだろう。突然、後ろに立つな。」
「…ぇぇえ?怒らなくてもよくない?………歩くの面倒になったから、おんぶしてっ♪」
「よし。こっちに来なさい。」
そう言うと、彼をおんぶし、向こうのコーナーへと歩いていく。
(おんぶ…断るかと思ったけど案外ノリノリだったな…………………)
「ごめんね。先に2人が行っちゃったから、自分も行くね。」
そう言って引き返そうとする。だから咄嗟に行った。
「…あの!どうすればもう一回行けますか……? 」
驚いた顔をされたがすぐ笑った。
「あはは…そんなに行きたいの?なら、着いておいで。」
そう言って歩いていく。
──────────
会計を互いにすませ外に出る。
「あの、どこに向かうんですか?」
「内緒。」
そう言ってどんどん歩いていく。少しして、私が来る時に通った道へ戻っていく。
すると、
「え!!」
最初はなかった道があり、しかもあの時と同じ黄色の扉。
(どうして………………?)
「この扉は特定の人達と心で繋がっているんだよ。だから、強く願えば願うほど扉の出現率があがる……………まあ、我々は向こう側の存在だから簡単に扉を 出せるけどね。」
「は、はあ。 」
「……………そんな俺らのこと気になるぅ?」
「まあ、現実離れしているから不思議に思うだろうな。」
「そっかぁ…」
二人がのんびりとそう話す。
本当に不思議だ。でも、何かいいことがある。私自身が変われる何かがあるような予感がした。
ピカッ……
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────
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眩しくて閉じていた目を開けてみると、昨日来たあの場所へとまたたどり着いた。
「じゃあ行こうか。」
そう言って、四人で歩き出す。
ただ……………思わず私は呟いた。
「相変わらずですね。」
「え?」
おこめさんがビックリする。
だから慌てて言った。
「あ!違うんです!!!…昨日来た時もそうだったんだけど…どの店も閉まってるなと…………」
「あ、ああ…」
「「……………」」
三人とも黙ってしまった。
(なにか、まずかったかな?)
「あと…客も私以外見当たらないような?」
「「「…………」」」
本格的に黙り状態に。
おこめさんだけが答えた。
「実は…ほかの店は店長が面倒くさがって店を開けないだけなんだよね……………」
「は?」
(ずこーーーーー!!!!)
「「そうなの(か)!?」」
なんなんだ…あの不穏な空気は…心配と期待した私の気持ちを返せ!!
「え!?ご、ごめんなさい?」
「あ!いや…!!ははは〜……………そうなんですか…はは…」
本当になんだったんだろう。本当に。
「あっ…客が来ないのもそのせいでね………」
なんなんだ本当に。
(大事な事なので何回も言いました。)
はぁ………ドッと疲れた。
「………………ふ〜ん、今度、店を開けるように言うついでに遊びに行こお…」
「昨日も遊んでただろう。」
「…行くう?」
「行く。」
なんという即答。断らないところが意外だなと思う。
そういえば聞き忘れていたことがあった。
「あの…おこめさんと、みそさんは知ってますが…そちらのお名前は?」
「今更か。」
「うっ…すいません。」
「いやいい、大丈夫だ。俺の名前は、トンカツだ。よろしく。」
「は?え?いやそれは無いですよね?トンカツだなんて…ははっ」
「……………………」
「すいません。よろしくお願いします。」
無言の圧を凄く感じたので深堀するのはやめておこう。
「さあ!開店の時間だよ。行こう!」
「はぁあい。君も手伝ってねえ♪」
「働かざる者食うべからずだな。」
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あれ、私、もしかして手伝うながれに!?
「ま、待ってください!!!」
やっと、ギャグへの世界へとここから突入することになるのであった。
エピソード 1.定食屋「はらぺこ堂」