お久しぶりです。最近は支部でちんまり活動しています。
力関係:黒>青
青黒、(モブ黒)要素有
「まろ、これ聞いてくれん?」
「どれー?」
「こっちと…このMIXの、〜」
こういう少し行き詰まった時、俺に相談をくれる。信頼の証だろう。発表前の歌みたを聞けるというのは、恋人の特権ではないけどちょっとだけ嬉しい。
「ない方がいいんじゃない?」
「そうなんかなぁ…」
「こっちのがあにきの声って感じがする」
「んー…じゃあ無くすわ、ありがと」
ヘッドホンを外した後わしゃりと髪を撫でられた。真剣な表情から一変して笑った表情が愛おしい。
「今日はいつまで?」
「あと少しやし、終わるまでって思っとるけど」
「そっか、じゃあ今日俺ご飯作っとくね」
「ん、俺作るけど?」
「いーの、少しなんやろ?終わらんのだるいやん?」
少し迷った素振りを見せる、別に台所に入られたくないなんてこだわりがある人では無いと知っていての提案だったが…迷惑だったのだろうか。
「じゃあ…お願いしてもええ?」
「うん、まろに任せて〜」
「ありがと、ほんま頼りになるなぁ」
ヘッドセットが机に投げられ、コップを手に歩み寄った。ハグでもしてくれるのかと希望を思ったその数瞬後、微かなリップ音が触れる。重なった唇からは柔らかなバニラの匂いがして、ふと情事の甘い香りを思い出す。「これ置いてくるわぁ」と彼は部屋に俺と大問題を残して出ていった。
「ちょ、あにき!?反則なんやけど!」
ばたばたと彼を追い、後ろから半ば襲うくらいの勢いで抱きついてみる。体幹が強いからか受け止めてくれるのはこの人の凄いところのひとつだ。
「反則も何もルールなんてあらへんわ」
「それはそうだけど!いっつも突然やんか!」
「予告すればええってこと?」
「それもなんか違う!」
わがままやなぁ、と髪に触れた。今度から予告するな、と言ったこの人はその”今度”には忘れていて、また俺が心臓に悪い思いをするんだろうなと理解はしていた。
「顔がええんやもん、びっくりすんねん…」
「それは同じやから仕方ないと思っとって」
「あにきもびっくりしとんねや、じゃあ俺はちゃんと予告しよ〜」
「俺もせんけどお前やて予告せんやろ」
「あはは、正解!可愛いな〜思って抱き着いたりちゅーしとるんやもん、言うの忘れるやんかぁ」
「せやろ?…つかほら、料理すんならはよし?」
ぺし、と肩を叩かれる。あんな事をされてしまったらイチャつきたいと邪な気持ちがしゃしゃり出てくるのも無理はないだろう。
「んー…ねぇ頑張るからご褒美ちょうだい?」
「何がええの?」
「明日休みやん?やから…したいなぁ…って?」
一瞬きょとん、と驚きがあったようだ。しかしその後にはなんで照れているんだ、とばかりに笑われた。
「あっはは、そんなんでええの?」
「なんで笑うんよ!ええやん別に!」
「いっつもそんなん言わんやん、ご褒美とか言われんのおもろいなぁって思って?」
「俺にとってはそうやもん!」
「いやごめんて、忠犬みたいで可愛ええなぁ…ええよ、今日はしよーな?」
わしゃ、と髪を撫でられる。嬉しいものはあるが俺が攻めなのに猫可愛がりをするのは如何なものかと思うが、年下だし撫でる時にふにゃりと笑う表情が大好きなので何も言えない。
「はー…じゃあ今日声我慢すんの禁止ね」
「それは嫌や」
「ご褒美って言うたもん」
「それでも嫌なもんは嫌やねん、なんか適当なプレイくらいなら付き合うで?」
「…それは考えとく、でもなんでやなの? 」
「ん?嫌やから」
「理由無いと納得出来へんねんけどなぁ」
「なにから言えばいいか分からへんねん」
「え、前の彼氏がとかそういうやつ?」
「彼氏ではないけd「セフレかなんか?」
「おん、まぁそうやな、音楽友達?」
やっぱり、と言うわけでは無いがなんとなく誰かに言われたのだろう、とは当たっていたらしい。
「俺はあにきの声好きなの、やから聞かせて?」
困っている…いや、迷っている表情を見せた。言葉が出てこない訳でも無いだろうが、多分傷付けない、傷付かないように選んでいるのだろう。
「…そんな嫌な顔するほどなん?」
「俺からすれば、やけどな?あんあん言うてるの結構きついねんて」
「別に営んでるのに普通やない?」
「後から聞いて嫌やったんよ、その撮ったん聞かせたりたいくらいやわ」
「は?撮ったやつあるん?」
墓穴を掘ったことを察したのだろうか、少し焦った様子で言葉を続けた。
「む、昔のやつな!若気の至りやし、!俺ので撮って、流出とかさしてないから、大丈夫!」
「待って、それ見る、見たいから見せて。」
「…他の男に抱かれとるけど、」
「今は俺のもんやから大丈夫」
「あー…後でな」
「…いいの!?」
「ええよ、まぁ…どっちかにはなるやろ」
「やったー!はよご飯作ってくるねっ、仕事頑張って!」
「おん、お願いな」
「まろ、今いい?」
「ん?」
お皿でも洗おうかな、と思っていたところ声をかけられる、
あまり区切れがよくない所から察しはついていた。
「あの…動画自体は二時間くらいあるんやけど」
「あ、え、そうなん?そんなやってん?」
「でもマシなやつやで?もっと長いのもあるん」
「他にもあんの?何個?」
「え…の、残ってんのは三つくらい、そういう癖の人やってん。 ぐだぐだ撮ってるだけやから、適当に飛ばしとってや、そんな見んといて?」
ほら、と言ってパソコンの前に座らせられる。画面は真っ暗で何かで塞がっているところからスタートするらしい、再生ボタンや枠ががないと写っていないのだと勘違いしそうだ。
「ヘッドホンはそれ、やる事あるから好きに見とって」
「はーい」
「他の見たいなら同じフォルダにおるから、」
「見ていいの!?」「別にええよ、そんな変わらんし」
「わーい、ありがと〜」
「…帰ってきたら俺に構うんよ、そんなんやなくて。
なぁ、分かった?」
「分かってるよあにき、大丈夫」
確かに二時間、というのは行為に対すれば長かったかもしれない、本当に最初から最後まで撮っている感じがする。そこだけ見ようと飛ばせば一時間超くらいに収まっているのではないだろうか、と思う程度だったが。
感想を一言で言えば本当にやばい。なんて言えば分からないくらいエロい。他の男に抱かれてるとか関係なくエロい。写実できないのは本当に悔やまれるほどに艶かしい映像だった。
強いて言えば喘ぎ声の合間に入る吐息が凄くえっちだしいつものハスキーで低めな声が少し高くなって柔らかく可愛らしさが増した辺り、少し唸るような低音が入るのもとても良い。俺としている時もする髪の毛を搔きあげるのも格好いいし、昔の短い髪が揺らされる身体に合わせ動くのも愛らし い。大人しく快楽を享受している受け身なところも可愛らしさがあって好きだが、今のリードしてくれる彼も格好いいし、俺の上で揺れ動く身体と恍惚する表情は俺にしか見せないで欲しいと思う。組み伏せられてきゅっと目を細めるところも、小さく喘ぐ声も息遣いも、もっと、って強請るところも大好きだ。
だがいくら好きだからと言って、途中から痛いくらいに反応している下半身は欲望に素直すぎる。
「見終わった?」
唐突に後ろから声を掛けられる。熱中していたのが起因して居た事に気が付かなかった。ベットに腰掛け、ふわふわの髪を下ろしたままにしている
「うん…」
「どう、嫌やろ」
ふい、と目を逸らした彼に跪き、身を寄せ抱き締める。
「全然嫌やない、どっちも好きやわ俺」
「どっちもなん」
「声抑えてても好きやし、たくさん喘いでくれてても可愛かったよ」
「…ふーん」
「リードしてくれるんも好き、あれが最初やもん。でも受け身で居るんも愛でられて好きやから」
「ん。」
多分照れているのだろう、顔を染め口元をぎゅっとつぐんだままこちらを見ようとしていない。
「お風呂行ってくるから待ってて、」
「別にこのまますればええやん」
「いやでも「今日家に居たし、どーせ入るし、」
跪いた脚の間に彼の足指が、つつ…とズボンの縫い目を撫でる。
「苦しないの、それ」
「…結構痛いです」
そう答えて目を逸らせば、少し怒ったような表情で輪郭を掴む。紅潮した頬に触れた両手は少し冷たかった。
「お前、風呂行ったら一人でするんやろ? 」
「まぁ…そうかも…」
「据え膳食わぬは男の恥、って言うやん」
「…うん」
「なぁ、男やろ?」
強引に唇を奪われ、咥内を蹂躙していく。上顎を撫で、舌が絡むようなミント味の口付け。つい、と銀糸が口端に引き、悪戯な表情でにっこりと笑った。あぁ、この人にはいつになっても勝てないんだな。
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